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ふぁんたじーわーるど  作者: あっぽ
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なかま。

「~とまあそんな感じなんだ。あいつ等がまだ俺達を捜しているのなら、逃げた方角からこの村に住んでいる事はすぐばれると思う」


端折る事無く、正確な状況を知ってもらうために精一杯熱弁したお陰なのか、しっかり伝わったようで無駄にならなくてよかった物である。


「うん、状況は理解したけど、ルカとカズサはどうしたいの?」



痛いところを突いてくるな、説明するのも疲れたのでルカに任せるように顔を見る。



「こいつとほぼ同意見だからこいつに説明を任せた」



ルカはそうなるだろうと思っていたようで、呆れることもなく話しを始めた。



「誰かが捕まっているなら助けたいわ、でも真由花やこの村の人が危ない目に遭う可能性も高くなってしまう。このままここに留まっていても可能性は無くならないけれど、下手に刺激するよりは安全だと思う。が私達の意見よ」



「私は別に構わないよ。一緒に戦ってあげる力はないけど、それで誰かを救えるなら。誰かを見殺しにするのは悲しいもんね。例え可能性の話だとしても。」



中々に正義感の強い奴が集まったもんだな、俺達はヒーロー戦隊かよ。

 

 勝手に死ねとか放っておけとまでは言わないにしろ目を背けるなり、知らない振りをするのが大勢だと思うし、悪いことだとも思わない、だってそれが一番安全で他人に迷惑を掛けないのだ。



だがこれでもし助けるのに成功したとしよう、それはそれで問題があるのだ。


どんなやつらでも人なのだ。


人を殺したという汚名を背負って生きていかなければならなくなってしまう。


まだ十五かそこらのこいつ等のような女の子には重過ぎる。それを背負う覚悟があっての発言だとは思うが男として、一人の仲間としても抱えさせたくはない。




「まあ時間も時間だし、また明日にしようぜ。腹減った」


突然な俺の発言にルカは呆れたようにも見えたが、自分も腹が減っていたようで同意をしてくれた。


「あんまり遅くまでいるのも悪いしね、じゃあまた明日って事で」



真由花も軽いあくびをして大変眠そうだ、毎日のお仕事でお疲れみたいだ。


「うん、じゃあまた明日ね」


「またね。」



 ここに来るとのんびりしちゃうな、今日のことをすべて忘れてしまいそうだ。俺はもしかして恋をしているのだろうか、この工房に。

そう思うとこの無機質な物全てに愛着が湧く様な...。気のせいか。

できればすべて忘れてなかった事にしたいのだが現実はそう甘くないな。



「あ、ちょっと真由花に話があるの忘れてた、すぐ終わるから先に帰っててくれ」


「なによ、あんたから言い出して、まあいいわ。先行ってるからすぐ来なさいよ」


「おう、すまんな」



ルカが扉から出て行くのを見送ってから、真由花に振り向いた。


突然の事で驚いているようにも見えたが、ある程度察してくれたようだ。



「悪いな、ちょっと奥にあるあの剣を貸して欲しいんだ。理由はそうだな、

――振り心地を試してみたいでどうだ?」



「いいよ、でも一つ聞かせて?なんであの子を、ルカを裏切る様な事をするの?」



「重すぎるから。」




 これは俺が一人でやるべきだ、洞窟を見つけたのも俺だし、オークへ行こうと誘ったのも俺だ。

全ての原因は俺にあるといっても過言ではないし、元よりルカと一緒に助ける気なんて無かった、つくべき嘘というのもあると思う。

それにただの憶測で済むなら戦う必要もなく、逃げればいいだけだ。

 

――真由花に借りる剣はただの保険だ。



「はい、くれぐれも気をつけてね?剣よりも命が大事だからね?」


真由花が手に持っている剣を受け取り、ストレージに収納した。



「そうだな...剣も大事だ。遅くなると怪しまれるしもう行くよ、悪かったな。」



踵を返し背中を向けたまま手を振り、ルカの元へ急いだ。



幸いルカはまだそこまで離れていなく、軽く走って合流した。




「何話してたの?」



聞くなと言うのが無理であって、この場合適当にごまかすよりも、ある程度真実を混ぜた方がばれにくい。



「工房の奥にある剣を見させて貰ってただけだ。あの剣綺麗だからな」



「へぇ、そんな剣があるのね?奥に行った事がないから見たこと無かったわ。明日見せてもらうとするわ。あんた意外と剣フェチとか?」



剣フェチってなんだよ、どこで役に立つんだ。


そんな事言ったら俺より100倍は真由花が好きだと思うぜ、もう恋人は剣レベルにな。




「そうじゃねえよ、ただの鑑賞だ、鑑賞。深い意味はねぇよ。」



「明日の楽しみにしとくわ、ほら見えてきたわよ私達の家!マイハウス!」



「やめろ、俺達は夫婦じゃねえよ、それと俺達の家でもない」



「こういうのは雰囲気が大事なのよ!あんたなんでそんなに冷めてんの?歳?」



 歳で冷めるとか冷めないじゃないと思うんだが、老夫婦でもお熱い人達もたまにいるしな。

 あと悪いな、今日の夜次第ではお前のたのしみを奪ってしまう可能性もあるんだ。まあ期待しないで待って頂きたいとは言えないな。

あいつ等に勝てる可能性は五分五分と言ったところだが、戦うための秘策はある。

それが失敗したなら逃げるのも辞さない程それに賭けている。



「悪かったな、わーいおれたちのいえだー。ほらこれで満足か?」




「はいはい、有難うございましたー。着いたわよ。もうお腹ぺこぺこ」



こいつには特に何もしてやれなかったし、些細なことだが最後くらいレディーファーストでもしてやろう。


「俺もだ、よっと。」


宿屋のドアを開き、中に入るのを促す。



「ほらお嬢様?」



「なんかむずむずするけど、悪い気はしないわね。あんたもだんだん私の使い方が分かってきたじゃないの」


お前は使われて喜ぶとかどMかよ、使われて喜ぶなら自分で自分の攻略本でも作ってくれると使いやすくて助かるんだけどな。



「「ただいま」」



今日はたくさん食べて夜に備えないとな、食べ過ぎには注意しないとな。

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