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ふぁんたじーわーるど  作者: あっぽ
26/55

存意。


 俺達はあいつ等から恐らく逃げられたのだが、ここの辺りに住んでいればまた出遭ってしまう可能性は拭い切れない。

あの盗賊達がどのような目的であそこにいたのかはおおよその見当はついている俺だがこの話をルカにするかどうか悩んでいる、純粋なこいつの事だ助けたいとかいう可能性は高いし、まだ憶測の域を出ていない話をするのもどうかと思うが万が一ではあるがあいつ等は俺達の顔を見ている為、ルカも中々の可愛さではあるので狙われる事も考えられる。

それに無関係ではないのだし危機感を持ってもらうという意味では憶測でも構わないのかもしれないな。

ただし、それで助けたいと言いだすリスクは伴う。俺がもし断ったとしても一人でも行くと言いかねない、その場合俺はこいつを放って置けるだろうか?

 普通の人からすればまだ一週間程度の付き合いかもしれない、だが俺にとってはかけがいの無いほど充実した期間だったのだ。

ある程度の情が湧くし、俺だって助けたくない訳ではないのだ。助けられるものなら助けてやりたいし、だが相手が悪い。

 人との戦いに慣れているあいつ等とモンスターしか戦闘経験が無い俺達、まず戦い方からして違うのだ、モンスターのようにある程度のパターンがあるわけでもなく勝つ為ならなんでもするのだ。

最悪の場合はルカだ。あいつがもし非情になれず割り切れないことが一番恐ろしい、相手は勝つためになんでもするような奴だ、そいつを人質に取りルカまで捕まってしまう可能性は無きにしも非ずと言ったところか。

 人質に取られルカを要求された場合もう人質は諦めるしかない、それでこれから捕まるだろう人達とこの村の人の安全、真由花も守れるならいいと捉えるしかない。これが最悪の場合だ。

 憶測だということを念入りに言っておけば、こいつもそこまで馬鹿ではないだろう無闇に突っ込んだりすることはないと、話すのもいいだろうと思い俺は横に並んで歩いているルカの肩を叩き話掛けた。



「何?」


いきなり肩を触られて不機嫌なのか、それともただ疲れてイラついているのか知らないが八つ当たりは勘弁願いたい。


「肩を触ったことは謝るが、聞いて欲しい話がある」



「別に怒ってないわよ、ちょっと疲れてるだけ。頭が痛くなる話は勘弁して貰いたいところだけれどそうはいかなさそうね顔を見る限り。」



「そうだな、悪いが頑張って聞いて頂きたい。」



「いいわ、話して頂戴。誰かと話せば気も紛れるかもしれないし。」



ごめんな、気の紛れるような楽しい話だったらいいんだがそんな話は用意していないのは分かっているのだろうが、話しておかなければならないんでな。



「あいつ等があそこに居た理由は恐らくだが、誰かを捕まえて売ろうとしている、それを偶々俺達が見てしまった可能性が高い。そして今度はお前が標的になる可能性もある。だけど俺達にはどうする事も出来ないのは分かってくれ。それに俺達が騒げば村の人達も危険になる可能性もあるんだ。」


誰かを捕まえてのところでルカの顔が強張ったが最後の言葉を聞いて何も言えないという顔だ、誰でもそうなる。こいつが悪いわけではない。



「別にお前が悪いわけじゃない、誰が悪いかと言えばあいつ等なんだ。でも一つ聞きたいことがある、これを聞いてお前はどうする?」


 ちゃんと聞いておかないと、取り返しがつかない事態になる可能性もある。


「私は助けたい、でもまだ捕まっていると決まったわけじゃないでしょう?アンタの眼がいいのは知っているけれどあの暗さで先が見えるとは思わないし、私達だけでは決めかねるわ。真由花の意見も聞きたいわね。」


「俺も同意見だ、まあ第三者が居た方が意見も纏まるってこともあるだろうし、あいつ等の所為で時間もまだあるしちょっと顔出すか」



「そうわね、こういう事は早めに済ませて悪いことはなさそうだしね。」



若干日が落ちてきたがまだ日は照っているし、近場まで来ているので真っ暗になる前には着きそうである。






「おいっす」


「こんばんわ」



友達の家に入るというより家に帰って来たと言わんばかりの気軽さである。

 

 俺達が入るとドアに備え付けられた鈴が鳴り、来客を伝えてくれるという仕組みになっているのだが、そんなに広い工房でもないのでドアが閉まる音で気づくには充分なのだが、集中していたりするとドアの開閉音じゃ気づかないのかもしれないな。



「おお、よくきたね。今日はどうしたんだい?二人一緒に来るなんて久々じゃない?」



「そう言われればそうだな、一週間ぶりくらいか?」


「まあアンタはそういうところあるわよね...用が無かったら来ちゃいけないとか思ってそうだし。」


「まあそうだな、用が無いのに来ても気まずいだろ。冷やかしかよ」



「そんな事ないよ、カズサなら大歓迎だよ!」


するとルカが不貞腐れた顔で唇を尖らせた。



「なによ、私は歓迎されてないわけ~?」



「それは言葉の綾と言うか...もちろん歓迎だよ?」



「あはは、ごめんごめん。からかっただけ、ごめんね!」


さっきまで暗い顔をしていたこいつが笑うとは友達の力恐るべしだな。俺も見習って友達を増やしていきたいところである。



「ちょっと~心配して損したじゃない!それで今日は何の用?二人って事は何かあるんでしょ?」


意外と勘がいいのは助かるな、どう切り出していいか悩まなくて済みそうだ。



「そうだな、ある事に気づいてしまったというより、気づいてはいけないものに気づいてしまったというべきか。」



「なにそれ~、哲学?中二病って奴なの?」


「いやちげーよ、聞けば分かる、そして意見が欲しいんだ。」


 おいおい、勘違いしないでくれよ。

 

 俺は腕に包帯を巻いたり、眼帯つけたりしてないだろ。あとそんな台詞も言ってないだろ。言ってないよね?



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