表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふぁんたじーわーるど  作者: あっぽ
19/55

はつもうで。

あけましておめでとうございます!今年ものんびり書いていきたいと思いますので、何卒よろしくお願い致します!

一月一日、朝五時半 


左右の手のひらを勢いよく重ねる。


「いいことありますように。」


 クリスマス朝食のあったあの日、話しながらのんびり食事をしていたらいつの間にか時間になり、ルカと真由花の所へ行き適当な世間話をし、鞘を受け取った。


それ以外に無かった、そのまま宿に帰り、寝た。


 クリスマスから六日、これといってすることも無かったのでいつも通りのランニングと筋トレをして適当に剣を振り回していただけ。


だがそれは決して無駄ではなかった、あの時以来使っていなかった剣技。



毎日疲れ果てるまでスライム相手に鍛錬していた、おおよそ百回、三日目くらいでレベルが上がったのだ。


 見た目はいつもの如く身体には変化は無かったが、スキル欄のLv1だったクロスブレードがLv2になっていたくらいだな。

Lv2になりスライムに試した所、上段からの振り下ろしで終わっていたのに続き、下段からの振り上げが追加されたのだ。


 レベルが上がるほど攻撃回数が増えるのは確定ではないが、それ以外にレベルが上がったことによる恩恵は感じられてない。

ダメージ、威力などが上がっているのかは判断のしようが難しい。

 残金の少ないルカと共にスライムやゴブリンは狩っていたが、あいつは俺が剣技と使う度にずるい、せこいなどと小言を呟くので、できるだけあいつの前では使わないようにしようとも思ったが、使わないと倒すのに余計に疲れるし、レベルも上がらないだろうしな。そう考えると俺はすっかり剣技に嵌ってしまっているという事なのかもしれない、身体が勝手に動く、というのは不思議な感覚なのだがいまいち引っ張られている感じなのは否めない。

 オークと戦った時は自分でも踏み込み更に高くという事ができたのだが、あれ以来成功しない。集中力とかいう問題なのだろうか?たぶん技術が足りないだけだな、あの時は奇跡というかマグレで成功しただけの実力ではなかったみたいだ。

 話が逸れてしまったが、現在一月一日。日本で言うならばあけおめの季節なのだ。だが生憎この世界がどうかは分からないが、この辺りには神社や寺などはない為初詣とは行かない。

 友達のいない俺だったが初詣には気の毒に思ったのか、それともただの気まぐれなのか誘ってくれる奴がいた。そいつは小学生の時から何故か初詣には誘うのだ、普段は会話どころか顔も会わせる事もないが、初詣の前日。十二月三十一日になると電話をしてくる。特に電話番号を教えた覚えもないが、問うのは面倒だし何よりアイツが怖かったのだ。普段はぶっきら棒で親父臭い喋り方と言われる俺だが、あいつの前ではどこぞの青少年の様な、「~~だよ」「~~かな?」とかそんな草食系男子ならぬ装飾系のような取って付けた話し方になる。

 何故そんな話し方にするのかと言えば、そいつが


「その話し方やめて、顔に合ってない」


などと言われてそのまま素直に変える俺ではないし、むしろ意地でも変えてやる者かと思っていたりした、昔からこんな喋り方をしていた訳じゃない、むしろ小学生の時はナチュラルにそんな話し方をしていたので変えることは難しいことではなかったが人に言われて変えるのは恥ずかしいし、反抗したい気もしたので、とことん使ってやったらあいつは恐ろしい言葉を言ったのだ。



「ねぇ?やめてって言ったよね?分かったわ、いくら払えばやめてくれるの?」



何でこいつは話し方を金で変えようと、いやこの場合は買うのだろうか?となどと考える余裕はなく、その声は低く、冷たく、背筋の凍るような感情のない言葉だったのだ。

 決してお金を貰って変えた訳ではない、そんな事を言う奴に対抗しても不幸なことしか生まれそうじゃなかったし、それは初めてそいつと初詣に行った小学四年生の事だったので、初対面の奴には仲良くしようと思う心が俺にもあったのだ。


 そんなに演技派でもない俺は、人と話す時は優しい語尾を気をつけているのだがたまに素面が出てしまう。どっちが素なのかと考えれば分からなくなるくらいには俺の中に浸透してしまっているが、まだ完全には侵略されていないらしい。

 

 それくらいに強い強制力の様な物を感じていたので金の力というかあいつの力というか雰囲気は恐ろしい。初詣の時しか会わない奴なんて無視してもいいだろうと思った事も有ったのだ、あの事があった年である。

 

 なんであんな怖い、恐ろしい奴と一緒に行かなきゃならないんだよ、だってあいつ何を話しても笑顔だけで喋らないし電話も、

「明日だからね、迎えに行く。」

の簡潔過ぎる程なので大変宜しいのだが、それくらいしか声を聞かないので次の年になるまで声を覚えていないのだ。

 

 それに電話に出ないという反抗をしたこともあるのだが、無視がてら風呂に入ってのんびりした後も電話はずっとコールしていた、三十分以上の間ずっと鳴らしていたのだ、ずっと鳴らされても困るので仕方なく電話に出たのだが、去年と恐らく同じ声のトーンとセリフを言ったのだ。いつまで出ないのか検証してやろうかとも思ったりしたが、ずっと鳴らされた場合出るしかなくなる訳で、次の日顔合わせるのが怖かったので断念。


 そんな事もある初詣なのだが、あいつがいなかったらこんな習慣はなかったのだからあいつには一応感謝している、初詣に一人というのは全然オッケーな俺だが周りが仲間同士で集まっているのを見ると小学生の俺には如何せんこみ上げる物があったので、一緒に行ける相手というのは嬉しかったと同時に恐怖していたが。一つ問題があった、小学生というのは異性を意識しすぎるからだろうか男は男、女は女同士というのが普通であり、変に異性を一緒に居れば馬鹿にされるのが当たり前だろう。

 

 まあ友達の居ない俺はまだしも、俺が先程からあいつと呼んでるのは女の子であった、それも普通にしていたら学校の中で一番可愛い、美人だと俺の主観では感じた、見た目はな。

 なぜあいつが其処まで俺に拘るのかは分からないが、いつか尋ねてみようとは思っていたがここに来てしまってはどうしようもあるまい、今年のあいつはどうしたんだろうな、いくら電話かけても届かないだろうし家に来ても俺は居ないだろうし反応を見たい気持ちもあるが、いつかあの世界に戻れるのかは分からないが唯一の心残りである。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ