考え。
オークはRPGで言うところのボスに当たるんだろう、再復活するのかは分からないが、近々確かめに行こうとは思っている。
何故今更オークについて考えているのかというと...
「で、ワンランク上はどれだけ金がかかるんだ?」
「そうだね、ざっと一万五千pzくらいかな?タイミングが悪いことにいま素材が高騰しててね。本来なら一万くらいで作れたんだけど。」
値段を聞いた途端、ルカの顔が引きつっていた。
此方に着たばかりのルカにはとても払えない額だろう、まあ俺も似たような物だけど、初日に狩りまくったというか戦うのが楽しくて仕方なかったのだ。
この世界に来る前の俺は、毎日走って、勉強するだけの日常。
体を動かすのは好きだった、嫌いだったら走らないだろう。
でも他人を蹴り落として自分が上に立つ、野球でいうところのレギュラー争いだ。俺はそれがとてつもなく嫌だった。
人を落としてまで自分が上の立場になりたい、普通の人間ならばライバルという競い合いも青春の1ページに刻めるようになるかもしれない。
だから俺は小学生の頃やっていたサッカーや野球、バスケは実力だけならレギュラーになれた、でもその頃から疑問だった、他人の幸せを蹴落としてまで俺は楽しいのか?とお前は何様だよと思うだろう。
だから俺はレギュラーを貰ったスポーツはわざと体調が悪い振りをして休んだ。何度か繰り返すと決まってレギュラーから外される。それでいい。
そうすることで誰かが悪いということには為らなくていい、だって誰も悪くないし強いて言うなら俺の性格、生き方が悪い。
小学校の頃から俺には友達がいなかった、何故なら俺が自分でも思うほどいけ好かない奴で、何でも出来るくせに何にもしない奴だからだ。
運動会などになると先生は俺の実力を知っていてリレーの初めに持ってくる。それは俺の有無に関わらず決められる、何故なら俺より足が速い奴がいないかった。その為、俺が嫌がってしまうと次に選ばれた奴は妥協、2番手だったのにということになってしまう。そうなり悪い結果などになってしまうと、あいつのせいだ、あいつが最初に走ったから負けたんだ、と責められる対象になってしまうのはダメだ、そうなった場合俺の所為、なのだから。それなら初めからその可能性は俺に向けられたほうがそいつの為でもあり、俺の為でもある。
それに俺は自分の性格でクラスに迷惑を掛けるつもりはなかったし、年に1度や2度のお祭りなので結果はどうあれ騒げれば満足ってやつが多い事もあり、全力で自分に任されたことはやった。俺も選ばれて悪い気はしないしな。
たかがお祭り、されど祭りだ。目立った奴は注目されるし、顔もそこそこいいからモテた。
中学生の時、母親がアイドル事務所等にも応募したこともあり、オーディションにも行った、でも俺はやっぱり他人を蹴落として自分が楽しい生き方をするのは無理だった。オーディション会場を無断で抜け、迷惑を掛けたかもしれない。でもしょうがなかったんだ。
俺の性格は中学になっても変わらなかった...
正直、あの鞘は高くもないが安くもなかった。結構財布にダメージはあったけど男らしくやるといったし、貸しには思って欲しくなかった。
「どうしたルカ?お前に上げた奴はいくら掛かったか覚えてないくらい安かったから気にしないで使ってくれ」
「そう?でも感謝するわ。ありがとう。」
ルカは少し首を傾げ笑顔を作った
人にお礼を言われるのは苦手だ、その上女の笑顔ときた女に嫌、人との関わりがそこまでなかったんで悩んでしまう。
「あ、ああ。お前みたいな美少女に持って貰えて剣共々喜んでるぞきっと。」
若干いい淀んでしまったが、照れ混じりについからかってしまった。
「わ、私が美少女!?ま、まあそうね!もっと褒めなさい!」
素っ頓狂な声を共に顔を真っ赤にして精一杯言い放った。
こいつもからかいがいがあるかと思っていたら、期待はずれだな。
褒めなさいって言われたら褒めたくなくなるのが人間の性という奴なんだ。
「気が向いたらな。」
眉毛をしかめ呆れ顔で軽く口角をあげる。俗に言う苦笑いだ。
「ああ真由花、金渡すからトレード使ってくれ」
ルカの隣で一緒に笑っている真由花に話しかけ、ちょっと心配だったアイテムストレージを開きポイントゼニーと確認する。
【21640pz】
・・・?あれ?俺こんな持ってたっけ?オーク倒してから金は確認していなかったが多くて千くらいだろうと思っていたが、俺の記憶が正しければ八千くらいは貰っているはずなのだ。スライムやゴブリンなどとは比べ物にならないが、死にかけたと思えばこの位の対価はあってもいいかもな。
これがオーク再復活しないか悩んでいる理由なのだ。




