装備。
両手剣より大分軽い、しかし剣の重みはしっかりとある。
オークの血やらで汚れているが、太陽が当たっていなくともその輝きは健在だった。
「まあ若干汚ねえけど、男の傷は勲章とも言うし剣の血は同じ様なもんだろ」
男の傷を勲章って言うけど、あれって相当傷深くないと残らないだろ。
そんな傷負ってもこの世界の回復を使えば治るし、この世界の人には通じないネタかもしれないな。
「へぇ~!綺麗な剣だね。どうしたの?まさか人から...」
疑問の眼差しを此方へ向けてくる
「ちげーよ、ゴブリンから入手したんだよなんかレアドロップとか書いてあったから珍しいとは思う」
剣のステータスは装備しないと見れないので見た目しか分からないが、それでも鍛冶屋をやってる真由花だ、見たり触れば大体の剣の価値、強さは分かるのかもしれない。
装備しないと、といっても実体化させるのも装備するのも同じようなものだ、装備すれば実体化する。捨てれば実体化する。見せるだけなら装備すればいいだけの話で、むしろ捨てたら所有権のような物も消失するため、その後最初に触れた人に所有権が移ってしまうので相当信頼できる相手かたくさん拾える武器出なければ無闇に捨てるで実体化は避けた方がよさげだ。
真由花は俺がきっと自慢するために能力も見せようとしてると思っている所為で、触れるのを躊躇っているのだろう。
「真由花、装備してるから心配しなくていいよ」
「あ、やっぱり分かっちゃう?こんな綺麗な剣を見るのは二本目だからね。分かってたみたいでよかった」
安堵の顔を浮かべ鍛冶屋としてなのか、ただ剣が好きなのか分からないが楽しそうに剣に触れる。
「ねぇ、カズサいまのってどういう事?装備してるからとかなんとか」
ルカはこの世界に来てから日も浅いのか、まだ知識はそこまでないようだ。
「ああ、俺も最近知ったばっかりだけど武器とか捨てたりすると、所有権が無くなり、次最初に触れた人に移るんだよ」
「へぇ、そんながあるのね、あんたがさっきくれた剣の時は捨ててからくれたって事?」
「そうだ、それ以外の方法での渡し方は知らないからな」
「でもそれって他に人がいたら横取りとかされちゃう可能性があるって事だよね、出来れば他に方法があれば安全に受け渡しとかできそうなのにね」
こいつが思っている疑問は俺も思っている、時間なんて無駄な機能というか物のあるし、トレード系の何かはありそうな気がする。
「俺もそれは思っている、真由花何か知らないか?」
剣に夢中になっているポニテの女に尋ねる
「そうだね、一応私、商人じゃん?そしたら商人スキルってのが使えるようになってね、トレードしたい相手を視認することで交換窓のような物が開けるようになったの」
「へぇーそれはいいな、どうやったら商人になれるんだ?特別な事をするのか?」
「村長さんが言うにはね家を持ち、自分で名前を決めればいいみたいだから別に商売人にならなくても家を持って名づければいいんじゃないかな?」
「でも家って高そうだね、真由花みたいに丁度空き家があったならともかく」
「商売人にならなくていいならあり難いな、物を売るってのは簡単に見えて大変そうだしな。」
物を売って稼ぐ位なら、戦った方が早いしな。
「そうね、アンタに商売は向いてなさそう、どっちかっていうと戦った方が向いてる」
こいつ意外と鋭いのか?それともただ俺を馬鹿にしてるだけなのかだろうか。
「その通りだ、それに家がなきゃ商売もできないしな。でもトレードは出来るようにしたいな。」
恐らくここ意外にも土地はあるだろう、でも建てると空き家に住むとじゃ掛かる金が違う。
こんな村の空き家なら安く手に入るだろうが、如何せんここの村に他の空き家があるか分からないが、ここに家を持つのはあまり気乗りはしない。なんせ俺にとってはまだ真由花がいる以外に利点が思い当たらない。
「話が逸れたんだが真由花、その剣の鞘を頼んでもいいか?」
「おっけいー、また同じ素材にする?この剣いい物だからもうちょっと上のをオススメするけど。」
「ああ、じゃあもう一ランク上を頼む」




