表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふぁんたじーわーるど  作者: あっぽ
12/55

気づく。

「かかってきな豚野郎!」


 大きく啖呵を切ったはいいが、こいつの行動は殆ど分からない。

 唯一分かると言えば斧の振り下ろしくらいだ。あれなら先ほどより正面に居る分攻撃はしやすいだろうが、もしも発動しなかった事を考えると賭けなので余り使いたくない。使用すれば楽に倒せるのは分かるが、ここはゲームの中の様でもゲームではないので本当に痛いし、普通に死ぬ。

 相手がパリィのような事をしてこないとは限らないし、使って命中したしてもあと一撃で倒せる保障はない。

 怒ることで行動が奇抜になったりするのは人間も同じだし、理性の無い動物なら尚更の事だ、先程までは耐えれていたが次耐えられる保障はないし、見たところ俺よりも戦闘初心者のこの少女は戦わせたくはない。それに...



決め台詞も言ったしな!




今俺は死ぬ恐怖と同時にワクワクもしている。本気でやらなければ殺される。



視る事ができる攻撃は回避、できそうになかったら剣技を発動し攻撃。


 頭の中では動きはイメージできている、あとは思い切りとやれることをやるだけだ。


 オークは今にも襲ってきそうな気配を漂わせ、赤く輝く目がどちらを捉えているのか分からないが恐らく俺だろう。

 あいつに攻撃されるより俺に向かってくれたほうが反撃もしやすいし戦いに集中できる。


 俺は剣をしっかし握り自分で巨漢に向かった、落ちている草木をパキパキと鳴らしながら駆ける。



半径一メートルに入ったところでオークは高く吼え、先程とは異なり斧を両手で握り三倍くらいの速さで振り下ろした。



 振り下ろしを待っていたが、いきなりとは思わず俺は回避しようとしたが反応が少し遅れたせいで腹に傷を受けてしまった


「ぐッ...」



 背中の方から声が聞こえた気がするが、いまは気にしてる余裕は無いのと同時に回復する余裕も無い。正直痛みで倒れそうだが、ここで俺が倒れてはあの子もやられるだろう、もし生き延びたとしても自惚れるつもりはないが、自分のせいで人が死んだという事を考えないとは思い難いあの子には、いや自分以外にはなるべく自由に幸せに生きて欲しい。

 

 【それが俺の少しでもあいつに向けた罪滅ぼしになるなら。】




 オークは回復できないようにか、止めを刺すつもりなのか間髪いれず斧を振ろす行動に移った。

 正直もう後に引けるほど俺の体力も無ければ大きく回避したとしても立ち上がれるか分からない。それ程までに先程の攻撃は深かったのだ、まともに喰らえば一撃だったかもしれない。そう考えればぞっとする。

次の攻撃を避けるには剣技を使って流しながら攻撃するしかない、100%発動するか分からなく、あの速さに完璧に合わせられるかは分からない。しかしやるしか生きる道はない。

 そう思うと自然と痛みが消えたように感じ、合わせらる気がしてきた。


 オークはニタァと不敵な笑みを浮かべ、両手で全速力で振り下ろした。


 

 俺は相棒のドュリンダナをきつく握り締め叫んだ――




「クロスッブレードッ!」



 

 期待に応えるように体が動き出し高速で振り下ろされる斧に向かい、ライフルの弾丸のにも勝るようなスピードで真横に振られる体に、初めは驚きで流れるままだったが、今度はしっかりと握り締めスイングに合わせて自らも力を込めた。



「うおおおぉぉッ!」



渾身の雄叫びと共に剣と斧がぶつかり合う金属音が轟き、斧を綺麗に弾く。



 いける。



 次を考える暇もなく、体は次の動作に移る。

普通じゃ決して飛べないくらい飛躍すると同時に自分でも踏み切り、前回より高く、さらに高くまで飛び、それでも剣技は途切れることなく真下を目指して垂直に剣が振り下ろされる。


丁度オークの脳天から腹をも流れるように斬りつけ、怯んだ隙を見逃さず剣技は発動させず、自分の腕で、全力で自分が持てる最後の力を振り絞り剣技のような綺麗さや、スピードはなくてもざくざくと夢中に斬りつけた。



もうだめだ...




そう諦めかけた時オークは奇声をあげ、色々な所から血を噴出し倒れてくれたのだ。



「終わった...」


呼吸を整えて気づく、腹の出血が痛いことに。


急いでストレージから回復を取り出し消費する。


この一気に回復する感じはなんともいえず例えるならば冬の冷え切った手足のまま風呂に入ると痺れるような感じと同じだ。いまいち慣れそうにはないな。


ふと、少女が気になり俺は振り返る。



「おい、なんだその笑顔」


そこには天真爛漫な子供な笑顔で金髪の少女がこっちを見ていた



「いやぁ、びっくりしたわ!あんた見かけによらず強いのね?」



「まあ、少なくてもお前よりはな。あいつに挑んだ勇気だけは認めてやる」



「うるさいわね!あんたの助けなんていらなかった!私一人でも勝てたわ」



「素直じゃないやつだ、助けに来た時のお前も気弱で可愛かったぞ。でもその方がお前の見た目にあってると思うぜ」



足早に俺はこの場から去ろうとする。



「うっさい!忘れなさい!あとあんた聞きたいことはいっぱいあるけど名前は?」



「ああ、そうだな。シャーロックホームズとでも名乗っておこうかな、またなワトソンくん」


俺が今思い浮かぶ渾身のボケ、果たしてこの世界にシャーロックホームズがあるのかは分からないがとりあえず言ってみた。



「絶対嘘よね!?あんたいかにも日本人顔じゃない!本当の名前を教えなさい!」



「日本人...?お前何を言って...」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ