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命の光、星の光

目的地に着くとアレックスはゆっくりとスイレンをおろし、座るように促した。

「もういいよ、目を開けて」

「アレックス、ライトは?これじゃ何も見えないわよ。」

「大丈夫、ほらよく見て、、、」

そう言われ、スイレンは黙って前を見る。だがそこには何も見えない、そう思った時、何かが光った、それも一つじゃない、たくさんの小さな光が、ついたり消えたりして動いている。

「すごい、何これ。緑色の光、何か光ってる」

「これは蛍っていう昆虫が光っているんだ。」

「何で、何で光っているの」

「冷光って言って発光物質のルシフェリンが酵素ルシフェラーゼの働きで酸化して光るんだって、まぁでもホタル自身はそういう事関係なくて、光るのは一種の求愛の光なんだって。」

「求愛の光?」

「まぁ、簡単に言うと、好きな子に振り向いてほしくて、一生懸命、僕はここだよって言っているみたいな感じかな。不思議だよね。」

「うわー!すごい、すごい、すごい。」

興奮のあまり、立ち上がり光に近づこうとするスイレン、

「危ない!」

それを感じ取り、アレックスが双葉を止める。

二人がいたのは滝のそばの岩の上。

前に出ていこうとしても、そこは空中、下は深い水だ。

アレックスの制止むなしく、スイレンは空中に一歩を踏み出す、当然、宙を歩けるわけでもなく、スイレンは水に落ちそうになってしまう。

慌てたアレックスはそんな双葉の腕をつかむが、急な事で体は中腰で前かがみ、スイレンを支えることが出来なかった。

アレックスはとっさの判断でスイレンの下になって水の中に落ちていく。

幸い、滝壺の近くで水深は深く二人とも怪我はしていない。

だが、二人が初めて経験する水に落ちるという経験、予想以上に冷たい水に驚きながらも、アレックスは川辺にスイレンを引き上げる。

「ご、ごめんなさい。ちょっとびっくりしちゃった。ヶホ、ケホ」

「僕こそごめん、最初に言っておくべきだったよ。それより大丈夫?」

「少し、水が変な所に入ったかも、、それにしても、頭からつま先まで濡れちゃったね。」

「さすがに、これだとまずいね、、服を、乾かそう。少しだけ、ここで待ってて」

水を飲んでしまったスイレンを残し、アレックスは、服を乾かすため、火がつく物を探しに行く。

アレックスはデバイスで枯れ木が燃える事を知ると画像と照らし合わせながら探していく。

暗闇だと怖がるだろうからと、ライトをスイレンの所に置いて来てしまった為、デバイスの光だけを頼りに枯れ木と思われるもの拾っていく。

そして足りない分は、乾燥していないと燃えにくい事を知らない為、容赦なく木を折って回収する。そして火をつける為に枯葉も手にもてるだけ集めてくる。

「お待たせ、、、何しているの?」

川に脚をつけ、楽しそうにしているスイレンを疑問に思い尋ねる。

「お帰り、アレックス。あのね、こうして足を水につけるとつけてると変な感じがして気持ちいいの、っくちゅん。」

「ごめんすぐに火を起こすよ」

アレックスはデバイスの知識を頼りに燃えやすいように、枯れ木を組むと、ライトの動力源をショートさせ、火を起こす。

「おお、ホントについた。」

「アレックス、でもこれどうするの、ライト壊したら、帰れないでしょ。」

「まぁ、道は覚えているから、大丈夫かな、それに最悪、明日の朝まで待てばいいし、それより今は服を乾かそう、濡れたままじゃ気持ち悪いし、スイレンは髪の毛もかなり濡れているだろ」

二人は上着を脱ぎ、たき火の近くにかざすと、アレックスは再び、枯れ木の回収に向かう。

十分な枯れ木を集めたところで、スイレンの横に座って同じように足を水につける。

「ごめん、こんな事になって、」

「別に、アレックスのせいじゃないでしょ。それに水の中に落ちるのも、動力炉とグロリアさんのキッチン以外で物が燃えるのを見るのものでは初めてだし、何よりこんなに綺麗なのも、初めてばかりで、私超楽しいわよ。

でもどうしてこんなことしようと思ったの?」

「スイレンの笑顔が見たかったから」

アレックスは即答する。

「嫌な事があって色々考えていたから、今日は一日中スイレンの、為に時間を使おうとって思ってたんだ。でもどこに行くとか話してたら、やっぱり実際に連れて行きたいって

それに、実際に観光しようと思ったら、僕ばっかり楽しんじゃって」

「私は、それでも十分楽しかったよ。アレックスがあんなに楽しそうにしているのを見るのは、それはそれで楽しかったわよ」

「今日は僕がスイレンに何かしてあげたかったんだ。だからどうしてもここだけはって思って、

でもよかった、この時期にこの地域の水辺にいるという事は分かっていたけど、

ここら辺は民間人立ち入り禁止だし、必ずいるわけでもないから見られてよかったよ。」

「何よそれ、調べてきたっていう割には迷ってるし、その上、確信もなかったわけ?

それで見れなかったらどうするつもりだったの?」

「ごめん、そう考えたの、飛行機に乗った後だったから、他に夜に見られる観光地なんて知らないから、もう引くに引けなくなってた。」

「まぁ、そういう後先考えないのはアレックスらしいかな。」

「そう、僕自分では慎重派だと思ってたけど、」

「普段はそうでも、一回スイッチは行っちゃうとそうじゃないわよ。

私そのせいで、何度危ない目に合わないように祈った事か、アレックスあえて難しい仕事引き受けるんだもの、しかもそう言う時、楽しそうにしてるし、」

「確かにそういわれてみれば、そうかも、、」

二人は服が乾くまでの数時間、会話が途絶える事はなかった。

スイレンはその何気ない会話で心の影は薄くなり、いつものスイレンに戻りつつあった。

「ねぇ、なんか、明るくなってきてない?」

スイレンのその言葉にアレックスは時計を確認する。時計は4時30分。

後30分ほどで日の出を迎える。

「だいぶ遅くなったね。そろそろ帰ろうか、」

アレックスは火の後始末をする。

スイレンは自ら足を出し、歩こうとするが、不自然にしか歩く事が出来ない

「ごめん、アレックス、私どうも、落ちた時、足ひねって、もうそろそろ大丈夫かと思ったんだけど、やっぱりダメみたい。」

「なんで、最初にいわないの!痛みは」

アレックスはスイレンを座らせ、足首を確認する。

「水につけてた時は感じなかったんだけど、正直ちょっと痛い、」

ずっと水につけていたせいか、腫れはそこまでひどくはないが確かに赤くなっている。

「歩け、、ないよね」

「うん、ちょっとあの距離は厳しいかも、」

「帰りもおんぶでいい?」

「アレックスが迷惑でなければお願いしていい?」

靴を履くのが難しいのではないかと判断したアレックスは裸足のままのスイレンを背負い、靴を手に持ち、川沿いに飛行船に戻っていく。

迷う必要もなく、飛行機にある救急セットを一刻も早く使いたいアレックスの足取りは非常に早く、とても低重力で長時間暮らしている人間とは思えない体力で、来た時の半分以下の時間で飛行機に戻って行く。

飛行機についたころには山間から恒星の光漏れ出し、徐々に世界の色を変え始めていた。

アレックスはスイレンの足の治療をし、足首を固定し終えると、一安心し、どっと疲れが出、全身を披露が襲う。

治療が終えるとスイレンは、動くこともつらいアレックスを誘い飛行機のタラップに座り、日の出を眺める

アレックスは初めこそ乗り気ではなかったkが、太陽が山間から半分以上顔を出すと辺り一面が本当に輝いているように見える景色に思わず言葉を奪われ、見入ってしまう。

「ねぇ、アレックス、私今日ここにこれて本当に、良かった。ありがとう。」

「僕は、スイレンの笑顔が見れただけで満足だよ。僕の方こそ、元気になってくれてありがとう。さて、そろそろ帰ろうか。」

日の出を堪能したアレックスは、再び、スイレンを担ぎ飛行船に乗り込もうとする

「ねぇ、アレックス。このまま二人で世界中まわろっか」

「そういう訳にもかないよ、双葉を待たせてるし、先生もそろそろ戻ってくるはずだよ」

「、、、、」

「、、、、そうだよね。」

「スイレン?」

「冗談よ、行ってみただけ、次はみんなで来よう。ここだけじゃない。私たちのまだ見た事ないもの沢山あるでしょ?」

「、、、、そうだね、でもその為に少しだけ、下見がてら寄り道して帰ろうか」


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