セカイノシハイシャ
アレックスは宇宙船修復に向け、政府への交渉を行うためのルート探しから始めていた。
政府を相手に交渉を持ちかけるにしても社会の最上位に対し、社会から不要とされ追い出された不適合者の自分たちが、そう簡単に政府に直接連絡をとれるわけがない。
だからまずは政府へ繋がる事の出来るルートをギルト長、軌道エレベーター管理公社、裏社会の運び屋などあらゆるルートを模索していた。
だが、、、
決意の日からわずか1週間後の夕食
「、、スイレンどうかしたの、何かいいた事でも」
食事中も常に喋っているスイレンがじっと黙って、じっと見ていてるのに、目を合わせるとさっと目線をさらすことを繰り返している。。
スイレンが黙っている時は、何か深刻な話がある時だ。
だからアレックスは作り笑顔で怒らないよと強調し、優しく尋ねる。
「あのさ、政府に交渉するためにさ、
みんなが一生懸命何とかしようって、闇社会の人とか、ギルト長とかにさ、
連絡つけようとしてるのに、私だけ何もできないっていうのがさ、
悪いと思って、ダメもとで、昔のゲストで来てた政府の人のID覚えてたから、それ使って、政府の中枢の非常アドレスにメール出したの」
「馬鹿な!なにしてんの!!アレックスまずいよ!政府にハッキングだなんて、正気の沙汰じゃない!!宇宙船の修復どころじゃないよ!今すぐ逃げるぞ」
クラッキングでよければ、時間をかければ先生にもできる事だ。
だが、それをしなかった理由はその事リスクが高すぎるからだ。
今回はクラッキングではないにしろ、かつての政府要人のIDを使い内容の如何はともかく、痕跡を消す技術のないスイレンが連絡を取ったのだ。
ばれるものすぐなら、この世界で最も重罪な政府への反逆行為そのものだ。
裁判などありえ話ない、不適合者の自分たちであれば、問答無用で皆殺しになるはずだ。
「ダメだよ。おそらくメールを送信した時点で、送信主がスイレンだと特定されている。今逃げた所で、ここは『国』の外とは言え、『国』の影響下、すぐに見つかる。それにスイレンは地上に降りてからずっと具合が悪いんだ。
体調が良くなるまでは無理はさせられない。」
「ここにいたら殺されるぞ」
「殺させないよ。」
アレックスが見せる強い意志
「あの、私も、よく分かりませんけど、スイレンさんが危ないのなら、微力ながら、お力添えさせていただきます。」
「、、、、双葉が戦えば、、、、政府の軍隊でも勝てないだろ。」
「あ、あのさ、盛り上がっているところ悪いんだけど。それがさ、出したメールに対して返信が来てね。直接会いたいって、」
「はぁ?」
先生はスイレンの見せたメールを分析する
「、、、本物だ。しかもこれ、僕たちが一生お目にかかる事のない最高権限の証明書だ。差出人は、最高意思決定権を持った、議長ってなってる。」
「やっぱり、罠かな」
「どうだろうな。」
「どうだろうなって、、、君はなんで笑ってるんだよ。」
アレックスが嬉しそうに微笑む
「ただの不適合者に罠を張る理由がどこにある。そんな事をしなくても、殺そうと思えばすぐだし、無視する事だってできる。」
「た、確かに、」
「それに何より、スイレンがいなかったら僕たちはこんな事は絶対に無理だった。
僕たちがこの世界の最高権力に大勝負できるんだ。
結果がどうであれ、それはすごい事だろ」
「なんかいつものアレックスっぽくない、、、」
「スイレン、ありがとう。君がいてくれたおかげで」
アレックスは力強くスイレンの手を両手で握りお礼を言う
「ねぇ、双葉、私、今ひょっとしたら、アレックスに恋になっている、こういう感覚であってる?」
「、、、どうでしょう、私心は読めませんから、そうとも言える気もしますが、褒められたことが売れいいだけ様な気もしますし、何か違う気もします。要は分かりません。」
「なんだ、残念。」
「なんか、ごめん。」
「なんでアレックスが謝るのよ」
「いや、こっち見られて残念そうな顔で見られたから、一応、謝っとこうかなって、で、何の話」
「秘密よ、あなたは知らなくていいの、それより、一応で謝らないでもらっていいかしら。そういうのあまりいい気しないんだけど。」
「ご、ごめん。」
「、、、今はなんで謝ったの」
「えっと、、、そのなんか機嫌悪くさせたみたいだから。」
「だ、か、ら、理由も分からないのに謝らないでって言ってるでしょ。」
「そんな、くだらない話はどうでもいい。それよりどうするつもりだアレックス、行くのか?スイレンがこれ見せるの遅れたせいで、約束の日、明日だぞ。
ここから約束の場所までの距離考えたら、現時点でもアウト気味だぞ。」
「それじゃ、急ぐか」
「あの、私もついて行っていいでしょうか?」
「双葉は駄目だよ、もし何かあったら大変だ。」
「何かあったら大変なのは皆さんも一緒です。罠かもしれないんでしょう。
大丈夫です、服を着てれば普通の人と変わりませんし、センサー類はこちらのシステムでごまかせますし、重量も斥力を使って調節します。
私の事で皆さんが危ない目にあうかもしれないのに、じっとしていられません。
だからお願いします。」
「、、、どうする」
「私はいいと思うけど、あ、ちなみに私も行くから、招待されたの私なんだからね、
後は先生次第?というより先生はどうするの」
「僕も行くに決まっているだろ、双葉に関しては賛成だ。
実際双葉がいた方が、万が一の事態の時に対応できるし。」
アレックスは賛成していないが、それでも3対1、この宇宙船のリーダー的な立場ではあるが、別に最高意思決定権ではない。
アレックスは多数決に従い双葉を含め4人で交渉に臨むことになった。
「ねぇ、見て見て、何あれ!飛んでるよ!」
「あれはたぶん鳥っていうやつだよ。」
「あれはカラスですね。すごく頭のいいですよ。」
4人が約束の時間約束の場所、『国』の国境際の特別地区に向かうと、
そこには、目元をサングラスで隠した男が4人を待ち構えていた。
招待人数は3人だと聞いていた為、男性はどこかに連絡を取り、連絡が終わると、これから目的地に連れて行くとこの世界では珍しい、小型の飛行機に案内をする。
小型の飛行だけでも珍しいのにそれも自動操縦機能を持たず、コンピュータ制御もほとんどない双葉が生きた時代よりも昔を思わせるものだ。
4人は、安全上の問題と目的地も告げられず飛行機に乗りこみ時間、やっと窓が開くようになり、外の景色を見れるようになって1時間、政府の首都に向かうのかと思いきや、方向は違う立ち入り禁止の環境保護区の上空を低空で飛んでいた。
それを不安に感じるのは方向、距離を正しく認識出るアレックスだけ、先生たちは、どこを飛んでいるかもわからず見た事もない環境保護区の景色に目を奪われ興奮していた。
「鳥じゃないじゃない」
「知らないよ、僕も資料でしか見た事ないんだし、」
「あの、カラスも鳥の一種ですから間違えていません。」
「鳥にはいっぱい種類がいるの?」
「はい沢山、」
「沢山って何種類いるんだ?」
「うーん、そうですね、私の生きた時代だと数千種類はいたと思います。」
「そんなに!そんなのがああやって空を飛んでたわけ?」
「まぁ、そうですね。でも、日常で見られるのはせいぜい十数種類ですよ。
後はそれぞれ自分たちが住みやすい世界の地域にいましたから私も直接見た事はありません」
「それじゃ、あの走っているのは?」
「、、、私の時代にはいなかったものですね、でも見た感じ豹だとかチーターだとかネコ科の動物が進化したんだと思います。ほら、その先にヌーの群れがいるでしょ。たぶんあの群れを狙っていると思います。」
「狙っているって、何をするの」
「?それはもちろん捕まえて食べるんですよ。」
「同じ動物どうして、共食いするの?!」
「共食いじゃありませんよ、ヌーは草食動物ですけど、あっちの方はたぶん肉食動物ですから。生きる為に食べるのは当たり前の事です。
あの動物だけじゃありません、さっきから見える動物の何種類かはそういう肉食動物です。」
3人はその事が理解できない。
3人には人間以外の動いている生き物を見ること自体が初めての事で、実際、さっきからそれ以外の動物も目にしているが、それぞれの生き物の区別もほとんどついていない。
そういう知識は皆無に等しい彼らは認識する事が出来ない。
「、、、、なんだか、怖い所ね」
3人は眼下に広がる見た事のない綺麗な世界の中でそういう事が繰り広げられている事がショックのようだ。
そしてその様子に自分たちのまるでそういう怖い世界に向っている気がしてきて、改めて、自分たちが首都に向かっているのではないという事を認識する。
「どう思う?、、、首都の政府中枢センターじゃなくて、こんな場所に
パイロットに聞いても何も答えてくれない。
招待主が最高意思決定機関になっているけど、そんな施設がこの先にあるとも思えない。
罠のような気がしてきたな。」
先生は不安に駆られてしょうがない
「ごめんね、私が余計なことしたばっかりに」
「スイレンが謝る事なんて何もないよ。大丈夫何かあっても、どうにかするから」
「なんなんだよその自信は」
双葉も含め不安に駆られる中、アレックスは3人の手を握る。
それはアレックスの癖だ。怖がる人の手を握る事でその人に力を上げられる気がする。
人が困っている時ほど、アレックスは頼もしく見える。
アレックスは誰かの為にという事で、恐怖心を消して行動できる。
飛行機に乗って4時間後、4人はやっと目的地に到着した。
パイロットの男は自らの役目を終えると、4人に目的地がこの道の先にある事だけを告げると、一切の質問に答えず、引き返していった。
着陸した場所には他に小型機が4台。運転した事はないが、ずっと操縦席を見ていたアレックスであれば操縦する事は出来る、つまりは逃げることもできる。
「すごい、、綺麗、、、こんなの地球でも見た事ない。」
一面が草花で満たされ、緩やかな丘陵に作られた道が続く中、双葉はこの幻想的な光景に目を奪われる。そして丘陵を上った先から見えたのは2階建ての白い家。
横には厩舎、家の向こうには放牧された牛も見られる。この自然環境の中にたった一つの人工物。まるで昔の海外ドラマのような光景だ。
「すごい、コレ、花?本物なの?本物にしては色々な色があるし、作り物かな、」
家の周りは一面の色とりどりの花が綺麗に咲き誇っている。、
「それはポピーというケシ科の通年草だよ、品種色は違うけど、そこらに咲いているものは全てね。全部本物の花さ。」
双葉には馴染みのある、3人にとっては珍しい天然素材で作られた服装の青年が近づいてくる。
「花は生きるために咲くから美しい、飾り立てるための紛い物じゃない。
ほらこうして手折れば、この花の命はあと数日。
こうしてしまえば種も残せず、何もなせずに、この花は枯れる。
昔の人間はこうして摘み取り飾るために花を利用したそうだよ。
おめでたい祝事で、悲しい弔事で、生を死を飾り立てる為に生きる為に咲いた花の生死を
己がものとして利用してきたまったく狂気な事さ。」
突然現れた青年は摘み取った花をスイレンに差し出す。
どうしていいかわからないスイレンはその花を受け取る。
「それでもこの花を生み出したのは人の品種改良、人が手入れしなければ存在できない、人とともにある事を選択肢進化した花さ。でもだからと言って僕はその命を自由にしていいなんて思わないけどね。、、、予定では、3名と聞いていたんだが、1人多いね。」
「すみません。こちらが伝え漏れていまして、でも、どうしても、みんな一緒がいいので」
「僕は構わないよ」
「あなたが構わなくても、今回の僕たちの交渉は相手はそうはいかないでしょう。
そもそも、この状況どういう事ですか、招待状は罠という事でいいですね。」
「先生!」
「何を言っているんだい、いいや、思っている事は分かっているよ。君たちはきっと数多くの人間が会議室で座っている事を想像しているのだろう。
でも、君たちに会うのを決めたのも、君たちが合うべき相手も、僕一人さ。
君たちが交渉したいといった政府、それは僕の事だよ。
初めまして僕はグロリア=アインヘル。アインヘルは自分の親から受け継いだ姓。自分がどこの何者かである事を知らせる為に昔の人間が作ったシステムさ。
それは気にせず、僕の事はグロリアと呼んでれ、僕は両親から姓以外何も受け継いでいないからね。」
「、、、、」
「僕はこの世界の最高意思決定権にして、オリジナルに近い形で産まれた人間だよ。」
アレックスは宇宙船修復に向け、政府への交渉を行うためのルート探しから始めていた。
政府を相手に交渉を持ちかけるにしても社会の最上位に対し、社会から不要とされ追い出された不適合者の自分たちが、そう簡単に政府に直接連絡をとれるわけがない。
だからまずは政府へ繋がる事の出来るルートをギルト長、軌道エレベーター管理公社、裏社会の運び屋などあらゆるルートを模索していた。
だが、、、
決意の日からわずか1週間後の夕食
「、、スイレンどうかしたの、何かいいた事でも」
食事中も常に喋っているスイレンがじっと黙って、じっと見ていてるのに、目を合わせるとさっと目線をさらすことを繰り返している。。
スイレンが黙っている時は、何か深刻な話がある時だ。
だからアレックスは作り笑顔で怒らないよと強調し、優しく尋ねる。
「あのさ、政府に交渉するためにさ、
みんなが一生懸命何とかしようって、闇社会の人とか、ギルト長とかにさ、
連絡つけようとしてるのに、私だけ何もできないっていうのがさ、
悪いと思って、ダメもとで、昔のゲストで来てた政府の人のID覚えてたから、それ使って、政府の中枢の非常アドレスにメール出したの」
「馬鹿な!なにしてんの!!アレックスまずいよ!政府にハッキングだなんて、正気の沙汰じゃない!!宇宙船の修復どころじゃないよ!今すぐ逃げるぞ」
クラッキングでよければ、時間をかければ先生にもできる事だ。
だが、それをしなかった理由はその事リスクが高すぎるからだ。
今回はクラッキングではないにしろ、かつての政府要人のIDを使い内容の如何はともかく、痕跡を消す技術のないスイレンが連絡を取ったのだ。
ばれるものすぐなら、この世界で最も重罪な政府への反逆行為そのものだ。
裁判などありえ話ない、不適合者の自分たちであれば、問答無用で皆殺しになるはずだ。
「ダメだよ。おそらくメールを送信した時点で、送信主がスイレンだと特定されている。今逃げた所で、ここは『国』の外とは言え、『国』の影響下、すぐに見つかる。それにスイレンは地上に降りてからずっと具合が悪いんだ。
体調が良くなるまでは無理はさせられない。」
「ここにいたら殺されるぞ」
「殺させないよ。」
アレックスが見せる強い意志
「あの、私も、よく分かりませんけど、スイレンさんが危ないのなら、微力ながら、お力添えさせていただきます。」
「、、、、双葉が戦えば、、、、政府の軍隊でも勝てないだろ。」
「あ、あのさ、盛り上がっているところ悪いんだけど。それがさ、出したメールに対して返信が来てね。直接会いたいって、」
「はぁ?」
先生はスイレンの見せたメールを分析する
「、、、本物だ。しかもこれ、僕たちが一生お目にかかる事のない最高権限の証明書だ。差出人は、最高意思決定権を持った、議長ってなってる。」
「やっぱり、罠かな」
「どうだろうな。」
「どうだろうなって、、、君はなんで笑ってるんだよ。」
アレックスが嬉しそうに微笑む
「ただの不適合者に罠を張る理由がどこにある。そんな事をしなくても、殺そうと思えばすぐだし、無視する事だってできる。」
「た、確かに、」
「それに何より、スイレンがいなかったら僕たちはこんな事は絶対に無理だった。
僕たちがこの世界の最高権力に大勝負できるんだ。
結果がどうであれ、それはすごい事だろ」
「なんかいつものアレックスっぽくない、、、」
「スイレン、ありがとう。君がいてくれたおかげで」
アレックスは力強くスイレンの手を両手で握りお礼を言う
「ねぇ、双葉、私、今ひょっとしたら、アレックスに恋になっている、こういう感覚であってる?」
「、、、どうでしょう、私心は読めませんから、そうとも言える気もしますが、褒められたことが売れいいだけ様な気もしますし、何か違う気もします。要は分かりません。」
「なんだ、残念。」
「なんか、ごめん。」
「なんでアレックスが謝るのよ」
「いや、こっち見られて残念そうな顔で見られたから、一応、謝っとこうかなって、で、何の話」
「秘密よ、あなたは知らなくていいの、それより、一応で謝らないでもらっていいかしら。そういうのあまりいい気しないんだけど。」
「ご、ごめん。」
「、、、今はなんで謝ったの」
「えっと、、、そのなんか機嫌悪くさせたみたいだから。」
「だ、か、ら、理由も分からないのに謝らないでって言ってるでしょ。」
「そんな、くだらない話はどうでもいい。それよりどうするつもりだアレックス、行くのか?スイレンがこれ見せるの遅れたせいで、約束の日、明日だぞ。
ここから約束の場所までの距離考えたら、現時点でもアウト気味だぞ。」
「それじゃ、急ぐか」
「あの、私もついて行っていいでしょうか?」
「双葉は駄目だよ、もし何かあったら大変だ。」
「何かあったら大変なのは皆さんも一緒です。罠かもしれないんでしょう。
大丈夫です、服を着てれば普通の人と変わりませんし、センサー類はこちらのシステムでごまかせますし、重量も斥力を使って調節します。
私の事で皆さんが危ない目にあうかもしれないのに、じっとしていられません。
だからお願いします。」
「、、、どうする」
「私はいいと思うけど、あ、ちなみに私も行くから、招待されたの私なんだからね、
後は先生次第?というより先生はどうするの」
「僕も行くに決まっているだろ、双葉に関しては賛成だ。
実際双葉がいた方が、万が一の事態の時に対応できるし。」
アレックスは賛成していないが、それでも3対1、この宇宙船のリーダー的な立場ではあるが、別に最高意思決定権ではない。
アレックスは多数決に従い双葉を含め4人で交渉に臨むことになった。
「ねぇ、見て見て、何あれ!飛んでるよ!」
「あれはたぶん鳥っていうやつだよ。」
「あれはカラスですね。すごく頭のいいですよ。」
4人が約束の時間約束の場所、『国』の国境際の特別地区に向かうと、
そこには、目元をサングラスで隠した男が4人を待ち構えていた。
招待人数は3人だと聞いていた為、男性はどこかに連絡を取り、連絡が終わると、これから目的地に連れて行くとこの世界では珍しい、小型の飛行機に案内をする。
小型の飛行だけでも珍しいのにそれも自動操縦機能を持たず、コンピュータ制御もほとんどない双葉が生きた時代よりも昔を思わせるものだ。
4人は、安全上の問題と目的地も告げられず飛行機に乗りこみ時間、やっと窓が開くようになり、外の景色を見れるようになって1時間、政府の首都に向かうのかと思いきや、方向は違う立ち入り禁止の環境保護区の上空を低空で飛んでいた。
それを不安に感じるのは方向、距離を正しく認識出るアレックスだけ、先生たちは、どこを飛んでいるかもわからず見た事もない環境保護区の景色に目を奪われ興奮していた。
「鳥じゃないじゃない」
「知らないよ、僕も資料でしか見た事ないんだし、」
「あの、カラスも鳥の一種ですから間違えていません。」
「鳥にはいっぱい種類がいるの?」
「はい沢山、」
「沢山って何種類いるんだ?」
「うーん、そうですね、私の生きた時代だと数千種類はいたと思います。」
「そんなに!そんなのがああやって空を飛んでたわけ?」
「まぁ、そうですね。でも、日常で見られるのはせいぜい十数種類ですよ。
後はそれぞれ自分たちが住みやすい世界の地域にいましたから私も直接見た事はありません」
「それじゃ、あの走っているのは?」
「、、、私の時代にはいなかったものですね、でも見た感じ豹だとかチーターだとかネコ科の動物が進化したんだと思います。ほら、その先にヌーの群れがいるでしょ。たぶんあの群れを狙っていると思います。」
「狙っているって、何をするの」
「?それはもちろん捕まえて食べるんですよ。」
「同じ動物どうして、共食いするの?!」
「共食いじゃありませんよ、ヌーは草食動物ですけど、あっちの方はたぶん肉食動物ですから。生きる為に食べるのは当たり前の事です。
あの動物だけじゃありません、さっきから見える動物の何種類かはそういう肉食動物です。」
3人はその事が理解できない。
3人には人間以外の動いている生き物を見ること自体が初めての事で、実際、さっきからそれ以外の動物も目にしているが、それぞれの生き物の区別もほとんどついていない。
そういう知識は皆無に等しい彼らは認識する事が出来ない。
「、、、、なんだか、怖い所ね」
3人は眼下に広がる見た事のない綺麗な世界の中でそういう事が繰り広げられている事がショックのようだ。
そしてその様子に自分たちのまるでそういう怖い世界に向っている気がしてきて、改めて、自分たちが首都に向かっているのではないという事を認識する。
「どう思う?、、、首都の政府中枢センターじゃなくて、こんな場所に
パイロットに聞いても何も答えてくれない。
招待主が最高意思決定機関になっているけど、そんな施設がこの先にあるとも思えない。
罠のような気がしてきたな。」
先生は不安に駆られてしょうがない
「ごめんね、私が余計なことしたばっかりに」
「スイレンが謝る事なんて何もないよ。大丈夫何かあっても、どうにかするから」
「なんなんだよその自信は」
双葉も含め不安に駆られる中、アレックスは3人の手を握る。
それはアレックスの癖だ。怖がる人の手を握る事でその人に力を上げられる気がする。
人が困っている時ほど、アレックスは頼もしく見える。
アレックスは誰かの為にという事で、恐怖心を消して行動できる。
飛行機に乗って4時間後、4人はやっと目的地に到着した。
パイロットの男は自らの役目を終えると、4人に目的地がこの道の先にある事だけを告げると、一切の質問に答えず、引き返していった。
着陸した場所には他に小型機が4台。運転した事はないが、ずっと操縦席を見ていたアレックスであれば操縦する事は出来る、つまりは逃げることもできる。
「すごい、、綺麗、、、こんなの地球でも見た事ない。」
一面が草花で満たされ、緩やかな丘陵に作られた道が続く中、双葉はこの幻想的な光景に目を奪われる。そして丘陵を上った先から見えたのは2階建ての白い家。
横には厩舎、家の向こうには放牧された牛も見られる。この自然環境の中にたった一つの人工物。まるで昔の海外ドラマのような光景だ。
「すごい、コレ、花?本物なの?本物にしては色々な色があるし、作り物かな、」
家の周りは一面の色とりどりの花が綺麗に咲き誇っている。、
「それはポピーというケシ科の通年草だよ、品種色は違うけど、そこらに咲いているものは全てね。全部本物の花さ。」
双葉には馴染みのある、3人にとっては珍しい天然素材で作られた服装の青年が近づいてくる。
「花は生きるために咲くから美しい、飾り立てるための紛い物じゃない。
ほらこうして手折れば、この花の命はあと数日。
こうしてしまえば種も残せず、何もなせずに、この花は枯れる。
昔の人間はこうして摘み取り飾るために花を利用したそうだよ。
おめでたい祝事で、悲しい弔事で、生を死を飾り立てる為に生きる為に咲いた花の生死を
己がものとして利用してきたまったく狂気な事さ。」
突然現れた青年は摘み取った花をスイレンに差し出す。
どうしていいかわからないスイレンはその花を受け取る。
「それでもこの花を生み出したのは人の品種改良、人が手入れしなければ存在できない、人とともにある事を選択肢進化した花さ。でもだからと言って僕はその命を自由にしていいなんて思わないけどね。、、、予定では、3名と聞いていたんだが、1人多いね。」
「すみません。こちらが伝え漏れていまして、でも、どうしても、みんな一緒がいいので」
「僕は構わないよ」
「あなたが構わなくても、今回の僕たちの交渉は相手はそうはいかないでしょう。
そもそも、この状況どういう事ですか、招待状は罠という事でいいですね。」
「先生!」
「何を言っているんだい、いいや、思っている事は分かっているよ。君たちはきっと数多くの人間が会議室で座っている事を想像しているのだろう。
でも、君たちに会うのを決めたのも、君たちが合うべき相手も、僕一人さ。
君たちが交渉したいといった政府、それは僕の事だよ。
初めまして僕はグロリア=アインヘル。アインヘルは自分の親から受け継いだ姓。自分がどこの何者かである事を知らせる為に昔の人間が作ったシステムさ。
それは気にせず、僕の事はグロリアと呼んでれ、僕は両親から姓以外何も受け継いでいないからね。」
「、、、、」
「僕はこの世界の最高意思決定権にして、オリジナルに近い形で産まれた人間だよ。」