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おかえりなさい、ただいま 行ってきます、行ってらっしゃい。

夢の最後に私は地球を見ました。あれだけ帰りたかった地球、

手を伸ばせば届きそうなのに私の体は動きません、

体の自由がきかなくて、ゆっくり、ゆっくり私の目は閉じていきます。

そしてまた再び闇の中へ、とても長い時間を過ごした闇の中、私はまたここに戻ってきてしまいました。

すごく怖くて、すごく寂しくて、でも、どこか安心する

でも、今までと違う事があります。それは暗い暗い闇の底で、声が聞こえます。

頑張れって、信じているって、

大切な人たちの声、それに暗い闇の中、自分の体さえも認識できない機能停止状態のはずなのに、私の手を握る熱を感じます。

それはアレックスさんのだったり、

スイレンさんのだったり、

先生さんのだったり、

ななちゃんのだったり、

そしてこのカサカサでごつごつした感じはお父さんのだったり、

かわるがわるその手のぬくもりが伝わってくるんです。

いつもいつも、途切れることなくずっとそのぬくもりは伝わってくるんです。

ここにいちゃだめだよ、さぁ、みんなが待ってるから、その手は私をここから連れ出そうとするんです。もういいのに、私はもう十分なのに一生懸命生きた。

もう十分つらい事も楽しい事も経験したそれで、満足なんです

「本当にそうかい?本当に君がそれでいいというのなら、君はやはりただの人形だよ」

この声はグロリアさん。よかった、生きていてくれたんですか

「当たり前さ、僕はそう簡単に死んだりしないさ。」

あれだけ死にたがっていたのに、

「僕は死にたかったわけじゃないさ。死んでいるように生きるのではなく、生きている実感を得るために死をも恐れないだけの事さ」

願いはかないましたか

「まだだよ、まだこれからさ、この世界を変える、君たちの生きた世界よりもずっとずっと素敵で、素晴らしい世界に変えて見せるさ。今はまだその過程さ。

それに人は常に強欲さ。僕の望む世界が手に入った所で、僕は満足なんてしない、僕は次の欲望のために進むだけだ。」

グロリアさんがそんなに暑苦しい人だって知りませんでした

「僕は君なんかにすべてを見透かされるほど単純じゃないよ。

それにお互いが理解できないから、人は個性を持ち、他人を認識し、人らしく存在できる、それより何だい君は、チキュウが見られれば、それで満足かい?それで終わりかい」

どういう意味でしょうか

「君がどうして地球に戻りたかったかっていう話だよ」

それは約束だからですよ

「それは何のための約束だい?君の約束した相手は何のためにその約束をしたんだい」

それはえっと、、

「彼らは待っているよ、君が目を覚ますのを、君とまた学校に行く事を、そしてまた君と一緒に生きる事を望んでいるよ。」

そうだ、そうでした、約束したんです。戻ってきたら私の卒業式をするって、それに卒業旅行も、どれだけかかっても待っているって、

「そうか、小さな望みだね」

それでも大切な事なんです

「まったく、世界を滅ぼせるほどの力を持ちながら、なんて小さな存在だ。」

グロリアさんはただの人間なのに、なんて大きな存在なのでしょう。私の意識が生み出した命の系譜のはずなのに、完全に私の想像を超えています。

「当たり前だよ。僕は君とは違う。悪いけど君の作り出した世界は僕がもらうよ。

君では神様としてあまりに不適合だ。僕は君に不適合者の烙印を押すよ。

君はせいぜいそちらの世界で小さな幸せでもかみしめていればいい。」

はい、そうさせていただきます。すみません。グロリアさんには何から何まで押しつけて

「言ったはずだよ、これは僕の望んだ事だ、君なんかがどうこう口をはさむ権利すらない。すべては僕の思うがままに、world is mine 

君のでる幕はないよ、さぁ、サッサと目を覚ますことだ。これ以上待たせるなよ」

はい、わかりましたそれじゃ、グロリアさんお元気で、さようなら

「あぁ、それじゃね。次にもし合う事があるとすれば、僕は君に正式に敵対させてもらうよ。僕の世界が君のいる世界押しつぶす。

覚悟しておくといい、僕は君の父親違って甘くはない。

君の力は戦う為にだ。

さ、早く、目を覚ますんだ君の世界へ、それで君と僕の世界の因果は完全に終わる。」

私が目を覚ました時、私の手を握っていたのは、少しだけ神も背も伸びて大人びた先生さんでした。

ここは私の良く知っている場所、ここは私の家、私の部屋

「帰ってきたんだ私、、、」

私が目を覚ました事で先生さんは怒りながら泣いて喜んでくれました。

先生さんだけじゃありません。アレックスさんもスイレンさんも、化粧をして大人びたななちゃんも、お父さんも喜んでくれたんです。

だから私もつられて涙が出てきました。

変ですよね。今までどんなにつらくても涙なんて流したことなかったのに


私は、2年間眠っていたようです。

その間に先生さんは、あらゆる知識をお父さんから教わり、私の体を一生懸命治してくれくれました。

でも結局、私が目を覚ました理由は分からないって言っていたので。

皆さんの思いが通じたんですよって言うとそんな非科学的な事で片付けるなって怒られてしまいました。

あれから2年間の間に先生さんはスイレンさんと結婚したそうです。

結婚式に出られない事を残念だっていうと、結婚式は上げていないっていうんです。

スイレンさんもそういうのは別にいいって言ってたんですけど。

女の子には特別な事だって私とななちゃんで説得してつい先日結婚式を挙げました。

先生さんは恥ずかしがってましたけど、それでも最後は笑顔で喜んでくれていました。

今、二人はお父さんのラボで助手をしています。

今までなんでも一人だったんですけど、生意気で負けず嫌いで、挫けば倍以上の力で立ち上がってくる先生さんの事を気に入ったみたいです。

スイレンさんは、どこかお母さんに似て世話焼きなところがあるらしく、お父さんも先生さんもスイレンさんの言う事にはおとなしく従っているみたいです。


そして今日は私の卒業式。

「卒業証書授与、七海双葉殿」

「はい」

そして今日は私の旅立ちの日です。

私はアレックスさんと、元クラスメイトで宇宙工学を専攻してる同級生と一緒に4年間の宇宙の研修に出かけます。

あのボロボロだった宇宙船も今では先生さんのおかげもあって、見違えるほど綺麗になっています。

今度は私が望んだ旅立ちです。

皆と一緒に見た事もないもを、楽しい大学生ライフです。

これからの宇宙の旅はみんなでどうするか決めていきます。それは危険な事だとか、何台に突き当たる事はあるかもしれませんが、私が選んだ私の道です。

だから

「お父さん、行ってきます。」

笑顔で旅立てるんです。

行きましょうアレックスさん星の海へ、そしていつかグロリアさんの所へ、


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