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思いの光、希望の羅針盤

一方宇宙に戻ったアレックス達は、再会を喜ぶまもなく、二人を置いて特別動力室に走って行く、そこで自らを氷漬けにした双葉を見つけると、急いで彼女を助け出し、

先生のラボに運び入れ、先生が双葉の状態を確認する。

「双葉の様子は?」

「今は落ち着いているけど、、、それは彼女が無理矢理力押さえつけているだけで、回復する見込みはない最悪の状況だ。

彼女の体は崩壊を始めている。長くてあと数日だ、、、」

「どうにかならないのか!」

「無理だ、今の僕じゃ彼女を救う術はない。だいたいなんでこんな無理をした!彼女の力を使えばこうなる事は分かっていたはずだ!」

「アル!落ち着いて」

「僕たちの事は見捨てておけばよかったんだ、あの星に残るのを望んだのも、グロリアと一緒に逃げる事を選んだのもの僕たちなんだ。僕たちの事なんか見捨てておけば、、」

「そんな、事、言わないでください。私、後悔してませんから、先生たちが無事で本当によかった。」

「双葉!気が付いたか!」

「えぇ、まぁ、、でも、自分でわかります。もうそろそろ限界だって、あの、2つお願があります。」

「なんだ」

「一つは私が自分の力を抑える事が出来なくなる前に、私の動力炉を壊してください。」

「なにを、言っているんだ」

「そうしないと、暴走した私の力が、この宇宙船なんか一瞬で蒸発させてしまいます。」

「ふざけるな!そんな事できるか!」

「そしてもう一つ、お願いがあります。その為にも、一つ目の約束守ってください。

もし地球にたどり着けることが出来たなら、私のこの体、地球の地面に埋めてもらってもいいですか、機械なんですけど、地球じゃ人が死ぬと、火葬して、埋めるんですけど、私こんな体だから、燃えたりしないからそのまま、」

「馬鹿なことを言うな、生きて帰るんだろ地球に約束したんだろ。」

「無茶言わないでください、自分の事は自分が一番よく分かっています。もう、どうしようもない事です。でも後悔なんかしていませんよ、私皆さんの役に立てたなら幸いです。」

「ふざけるな!君は死なせない、僕が必ず救って見せるだからそんな弱気になるな!」

「ふふ、相変わらずですね。あ、カメラ復旧した、、わぁ、お久しぶりです、先生さん、直接お顔を見るのは3年ぶりですか、、でもあまり変わってないですね。

もう少し大人になっているかと思ったんですけど、」

「3年ぶり、何を言っているまだ2年も経ってないぞ。しっかりしろ」

「あれ?そうでしたっけ、頭がボーっとしているのかな、そういわれればそういう気もしてきました、、、、あの、すみません。少し眠くなっていたんで、少し眠りますね。」

「あ、おい、、、」

「眠るって、今まで双葉寝た事なんかなかっただろ!大丈夫なのか?」

「おそらく自動休止モードに入ったんだと思う。大丈夫じゃないけど、打つ手のないこの状況だとそっちの方が延命できる可能性は高い。とにかく、残された時間はあと数日それまでに何とかする方法を考えるべきだ。」

「何か手があるのか?」

「、、救う手だてという意味で一番可能性が高いのは、彼女が機能停止に陥る前に地球にたどり着く事、そうすれば、彼女を修復できる技術が残っている可能性はある。

だが、君たちが出て言って一年半たどり着けなかったんだ。今から見つかる可能性は低い。

だから正直残された方法は僕たちで彼女を何とかするしかない、でもそれでも絶望的な状況さ、彼女の体を修復しようとしたのは彼女に出会った時からだ。

だけど僕は結局彼女の体を修復できる手がかりにすら至っていない、ここの設備じゃどうしようもない、それでも、希望があるとすれば、それだけだ。」

「、、、、、あのさ、先生。さっきから気になっているんだけどさ、」

「なんだ、いいアイディアでもあるのか?」

「嫌そうじゃないけど、僕と双葉が先生たちと別れたのって今から三年前だ。

だとすれば惑星で暮らしていた先生たちからしてみればそれ以上の時間が経過しているはず、なのに一年半しかたっていないっていうし、

先生たちの格好もあの最後の映像と変わらない格好をしている。

それにグロリアさんの服の汚れなんか映像のままだ」

「何の話だ。」

「だからスイレンが送ってきてたメッセージの最終分の直後にグロリアもメッセージを送っていたんだ。君たちを助けてくれって、だから僕は双葉の力を借りて超長距離ワープで戻ってきた。でも、そのメッセージを受信したのはメッセージ送信から一年半後。

だから先生たちが生きている確証もなかった。

でも実際にこうして会ってみると先生たちは生きていてメッセージを送った直後みたいな状況なんだ。」

「?」

「だからさ、僕と双葉はここに来るまでに3年この宇宙を旅していた。

そして1年半前のグロリアさんのメッセージを聞き超長距離ワープで戻ってきた。

でも戻って来てみると、時間がさらにたつどころか、過去に戻ってたんだ。

3年間かかった距離を体感で数分で移動してた。つまり僕が言いたいのは、

それと同じ事が出来るんなら、双葉が死んでしまう前に地球に行けるんじゃないかってことだよ。」

「ちょっと待て状況を整理したい、まずは通信記録、そしてその超長距離ワープの履歴を見せてくれ。」

先生は逃亡生活で疲れたから体にムチ打ち徹夜でデータの解析と、仮説に基づく検証を行ったそして二日後、先生はアレックス達を呼び出し、自らの結論を口にした。

「結論から言おう、君たちが行ったのは超長距離ワープなんかじゃない、次元転移だ。」

「次元転移?」

「時間も空間も一瞬にして飛び越え、望んだ時、望んだ瞬間に戻る事の出来る机上の空論の技術だ。」

「空論ってことはできない事だって事だろ。」

「あぁ、まったく、双葉の親はどこまで天才なんだ。彼女の体のブラックボックス、その一部が解放状態になっていた。

それは羅針盤と名付けられた機関で、次元転移すらも可能に出来る超技術だ。

どこに行ってしまっても必ず帰って来れるように、その為の技術だ。」

「双葉は自らをこの宇宙船の動力とする時、無意識にこの力を開放した。そしてそこに君の僕たちを助けたいという念を強く念じる事で、僕たちが助かる助からないの分岐点まで時間をさかのぼり空間を飛び越したどり着いた。

つまり、同じ事が出来れば、彼女の父親が生きている時代、彼女が宇宙に出た直後の地球に行けるかもしれないってことだよ。」

「それじゃ、もう一度、ワープが出来ればいいんだな。」

「あぁ、当然その為には双葉の力が必要となる、あれから双葉は休止状態で変化がない。起きる兆しもない彼女を強制的に宇宙船に接続し、こちらから、制御を開放させ動力炉として利用する。

おそらくチャンスは一度、失敗すれば彼女だけじゃない、僕たちも生きていられない。」

「まぁ、双葉が助かる可能性があるならやるべきだな。もしもの時もみんな一緒なら、な」

「私も、それでいいよ。このまま双葉さんが死んで行くのを見ていられない。元々、双葉さんがいなかったら私たち殺されていたわけだし、」

「分かった。やろう。でも次元転位を行うには目的地の位置と時間を強く念じ、認識する事で、ここと目的地を繋ぐ必要がある。それが彼女の羅針盤だ。

そして羅針盤で彼女の帰る場所を指し示すのは、ダイレクトリンクで繋がる事の出来る君だ。アレックス」

「僕が?双葉じゃなくて?」

「彼女が目覚めるまで待つ時間は残されてはいない。」

「彼女は今も自分から流れ出るエネルギーを自分自身で押さえつけている。その事でエネルギーは急速に減少している。彼女が目を覚ますまで待っていたんじゃ、もう次元転移できるエネルギーは残されていない。リミットは正確には分からないけど、今すぐに準備しても、間に合うかどうか分からない。でも、それだけが残された道だ。

アレックス、できるかどうかなんか聞きはしない。

彼女に繫がり、見た事もない地球を想像しろ、彼女の記憶をたどって、彼女の思いを理解し、地球へ針路を向けるんだ。」

「そんなむちゃくちゃな」

「無茶でもやるしかない、君がやるんだ。こっちに戻ってくる時、君は、偶然とは言え双葉の記憶を思いを垣間見た、今度は自分の意思でだ。いいな」

「あぁ、分かったそれが双葉を助ける方法なんだよな」

やると決まると、先生は意識のない双葉を再び特別動力室へと運び込み、無理矢理彼女を動力炉として宇宙船に接続する。

いしきのない彼女を無理矢理つなぎ命を削らせる。

罪悪感が先生を襲うが、それでもこれが最善と自分の心を殺し、操舵室に戻ってくる。

「いいかアレックス、覚悟を決めろよ。」

「あぁ、分かった」

先生はスイッチを入れ、双葉を動力炉として認識させ、彼女自身が押さえ込んでいた力場を消滅させ、エネルギーを宇宙船の中に流入させる。

「エネルギー効率250%、いいか、失敗すれば僕たちも確実に死ぬ。双葉の出力限界は1時間それまでに何としてもたどり着け!」

「分かった。」

「出力調整システム制御は僕が引き受ける。お前は地球に行くことだけを考えろ!」

「私は、、、その、、」

自分が何をすればいいか分からないスイレンは戸惑っている

「スイレン!手を、」

「僕を支えてくれ」

「君がいれば、僕は神様だって超越できる」

「アレックス!つながった!あとはお前次第だ!!!」

次元転移空間に入ると音が消え、景色が消える自分が自分でなくなるような不思議な感覚がまたアレックスを襲う。そして知らない光景がアレックスに流れ込んでくる

「これは双葉の記憶、

そうか、双葉は宇宙をさまよっていたわけじゃない。あの時あの黒いのと一緒に、閉じ込められていたんだ。

、、、そうか、双葉の記憶に触れて分かる、グロリアが言っていた事、僕たちの世界は歪で不完全で変で不可能な形をしている。そういう事か

彼女が何もない世界で夢の中で思い描いた世界それが僕たちの世界、何もなかった異次元に星が生まれ、命が生まれ、世界を作り出した彼女が永い眠りにつく中で、彼女が生み出した命が観察者となって、世界を変えていく。

でも、今はそんな事はどうでもいい、僕たちが何者でも、僕たちの世界がどんなものであっても今大切なのは彼女を助ける事、もっと前だ。もっと奥だ。

彼女の心の中で一番強い思いを、、、、

大丈夫、あの時二人を助けられたように今回も大丈夫、人の思いは次元も空間も、時間さえも超えるさ。」

アレックスの意識がこの宇宙船と双葉と一体化し、記憶をたどる。

そして次元転位空間内に前からやってくる宇宙船を見つける。

それは少し形が違うが、この船だ、ずっとずっと昔、双葉が地球を旅立った時の宇宙船。

すれ違いざま、艦橋に双葉を感じ取る、

「行っちゃだめだ!」

これから彼女に待ちうけるものを知っている為、アレックスが必死に叫ぶが、双葉はその事に気づかず、通り過ぎていく。

「、、、でも、絶対に君を死なせないよ、もっと前、双葉が来たこの方向。これより先、見えたこれだ!」

「、、、、、、」

「どうなった、、、アレックス!」

意識が飛んで、激しい頭痛が遅い、何もわからない先生がアレックスに向かって叫ぶ。

「大丈夫、あれが地球、そしてこれが、双葉の守りたかった宇宙だよ。」

眼前には青色の星がそして暗闇の中には数えきれないほど多くの星が輝いている。

感動のあまり、言葉を失いそうになるが、宇宙船が警告音を上げる

「まずい、双葉の命が!いつの間に、こんなに、、まずいぞ、双葉が機能停止に近い、」

「あれは、地球、、、良かった私、戻ってきたんだ。皆、、、私、約束、守ったよ」

動力炉が停止し、体に流れているわずかなエネルギーで、双葉は眼を覚ます、目は見えない、耳は聞こえない。そして何より、今いる場所から外の様子などうかがい知る事は出来ない。だが彼女は自分が戻ってきたことを確信していた。

「アレックス!双葉の命がもう持たない!」

「死なせるもんか、約束を守って終わりじゃないだろ、何のための約束だ。大丈夫、君の命の救って見せる。先生、このまま地球に降りる!しっかりつかまっていろ!」


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