神様エンド (5月28日投稿「一つの終わり方」)
この話は当作品を思いつき、プロローグを書いた後、一緒に出来た話です。
恋愛ゲームで言う所の、男友達エンドとった感じです。
今後、物語の節々でこう言うアナザーエンドを書いていけたらいいと思っております。
第2章開始に伴い、こちらへ移動となりました。
いつか見た場所に、ティグはいた。
最後にここを訪れたのはいつだっただろうか。
何も無い空間の中で、眼前に浮かぶ一振りの刀。
見間違えようの無いその形姿は、ティグがこの世界で打ち上げた、最高の一振りだった。
「やあ、ひさしぶりだね、おつかれさま」
「ああ、ひさしぶりだ」
久方ぶりの再開だが、感動に打ち震えるようなことも無い。
場に漂った沈黙は、決して不快なものではなかったが、それでもティグは口を開いた。
「ちゃんとあなたの所に届いた、という事かな」
「そうだね、ありがとう、いい刀だよ」
浮かび上がるように現れた淡く光る人型が、浮いていた刀を手に取った。
人型は刀を持ったままティグに背を向け、大きくその眼前の空間を一薙ぎした。
広く何も無い空間を横断するように切れ目が走り、僅かにずれて見えた後、ほんの数秒の間もなく、何事も無かったかの様に元の状態へと戻っていた。
「本当にいい刀だね、間違いなくこの世界で最高の一振り、君は約束を果たしてくれた」
「ああ、だけど、言いたい事があるんじゃないか?」
「そうだね、この刀は、やっぱりあの刀工の作ったものには及ばない」
「だろうな」
分かっていた事だ。他の誰よりも、ティグ自身が一番それを感じていたのだから。
刀を造るというただその一点に関して、ティグはとうとうあの刀工に及ばなかった。
「だけどね、この世界の君の人生は、見ていてすごく面白かったよ」
その言葉で浮かぶのは、ティグが出会ってきた無数の人々の姿だった。
懐かしい家族達、愛する者達、出会いと別れを繰り返した仲間達。
「色々と思い残した事はあるんだけどな」
「普通はそんなもんだよ、あの刀工が特別だっただけさ。
彼の屠竜王ですらも未練を持って逝ったんだ、余人ならば推して知るべしって所さ」
「そうか、はは、それなら仕方ないな」
ティグは笑った、最後に笑えるなら、それは悪くない人生だろう。
「それじゃ、さよならだ」
人型が消え去って、刀だけが残る。
「ああ、そうだな、さよならだ」
そう言ってゆっくりと目を閉じた。
「おやすみなさい、ティグ」
ティグは何も答えず、静かに世界へ溶けていった。