失踪
次の日。火曜日。
美桜と沙也はまた、デパートアリアールの「関係者以外立ち入り禁止」の部屋へ入った。今日も取り調べの続きがあるのだ。
二人が部屋に入ったとたん、荷田刑事の声が部屋中に響き渡った。
「容疑者の彩島来美さんが、いなくなりました!」
ギラ。沙也の茶色い目が光を放った。
「どういうことですか」
責めるような口調で尋ねる沙也。荷田は冷静を保ち、説明する。
「容疑者のお二人には念のため、警察署に一晩お泊まりいただいたのです」
机についていた皆崎が、大きくうなずく。
荷田刑事は続けた。
「そして今日の朝、彩島さんがいなくなっていたのです」
逃走した可能性があるという。
やれやれ。美桜はため息をついた。一週間の休みをもらっておいてよかった。……美桜は今朝、学校から許可をもらってきたのだ。
それとともに、沙也も休みを伸ばしてもらった。事件が長引くことを予想して。
……と、そのとき……
バタン!
ドアが勢いよく開き、小岸刑事が飛び込んできた。
「彩島は近所の居酒屋で日本酒を飲んでいたそうだ。昨晩にな」
小岸は相当怒っているらしく、彩島来美のことを呼び捨てにしている。
それはそうと、あの来美さんが日本酒なんて。美桜は場違いと思いつつも、そんなことを考えていた。
「……ったく、あの彩島が……また酒飲んで……見つけたらタダじゃおかねぇぞ……」
小岸刑事は宙を睨むと、ぼそぼそと呟いた。
そんな小岸をなだめ、荷田刑事は問いかけた。
「それで、彩島さんは今、どこに?」
「……いや、わかりませんでした……」
うつむく小岸。
…………
沈黙。
…………
「あのぉ」
美桜が恐る恐る話しかけた。
「これから来美さんを探しに行くなんて……無理ですか?」
誰に問いかけたというわけでもない。ただ沈黙を破りたかったのだ。
その問いかけに、荷田刑事は答えた。
「そうしますか……皆崎さん、あなたは小岸刑事と一緒に、ここにいてください」
皆崎は軽くうなずいた。
小岸刑事も、しっかりとうなずいた。




