18/22
千里の葬式
その夜、奈々・美桜・沙也の三人は、森上家へ向かった。千里の葬式は、家で行われるそうだ。
千里の家には、クラスの大半が集まっていた。皆の顔に、悲しみが浮かんでいる。
美桜はふと気づいた。奈々の瞳が不思議な色をしている。いつもより濃い、限りなく黒に近いこげ茶色だ。
「悲しみの色なのかな」
美桜は誰にも聞こえないような小さな声で、呟いた。
美桜は千里の母親に、そっと尋ねた。
「千里に……千里に会ってもいいですか?」
「ええ、もちろん。美桜ちゃん、最後までありがとう」
千里の母親は微笑んで、美桜の肩にそっと手を置いた。
美桜はそっと棺に近づく。棺の窓から、千里の顔が見えた。
彼女は美しかった。いつもと同じ千里の顔が、美桜にはなぜか美しく見えた。
それだけだった。それだけで美桜は、千里はもう近くにいないと感じた。
千里の葬式は、涙で終わった。
少し遅めの葬式。それが美桜の心に、何かを刻み付けたのだった。




