容疑者
数十分後。
美桜・沙也・奈々の三人は、デパートアリアールの通路にいた。
「関係者以外立ち入り禁止」
そうかかれたプレートが貼られたドアを、沙也がそっと押した。
「大川さん、どうもご苦労様です」
小岸刑事が顔を出した。沙也が会釈をする。
美桜もあわててお辞儀をした。
奈々が美桜を見ている。その瞳が、「この人誰?」と問いかけていた。
「この事件の担当の、刑事さん」
美桜は奈々の耳元でささやいた。
小岸刑事が口を開いた。
「どうぞ、中にお入りください」
部屋には、二人の人がいた。
一人は、おどおどしている、やせて背の高い男の人だ。
そしてもう一人は……助番だった。長い髪を金色に染め、ポニーテールに束ねている。鋭い目つきで沙也たちを見つめていた。
美桜が、恐る恐るたずねた。
「あのぅ、この人も、デパートアリアールで働いているんですか?」
ギラ……鋭い目が美桜を睨んだ。
そしてその目のように鋭い声が、部屋中に響き渡った。
「あたしはちゃんと、この店で働いてんだよ。だからなんだ。文句あんのか?あ?」
「ごめんな……さい」
美桜は細い声で、つぶやくように謝った。




