ふたりの刑事
結局、その後、坂井氏の考えで、捜査は内密にとり行われた。
「坂井詩織。首吊りによる、窒息死。死亡推定時刻は、午前九時四十分から十時三十分までの四十五分間です」
若い刑事さんが、ゆっくりと言った。
「ちょっと待って」
沙也が口を挟んだ。
「犯行・・・は、私たちがこの家におじゃましてからおこったのよ。その時刻は十時。そのときには詩織ちゃんは生きていた。・・・美桜も見たよね?」
美桜はしっかりとうなずいた。
坂井氏もきっぱりとした口調で言った。
「私も見ています」
「それでは、死亡推定時刻は、午前十時から十時半までの三十分間ですね」
刑事はうなずいてそういった後、隣にいた、もう一人の刑事に声をかけた。
「その時間帯に、ここら辺で怪しい人物を見かけなかったか、調べてください」
命令を受けた刑事は、大げさにうなずいて走っていった。
「私、この事件を担当する、荷田と申すものです。さっきまでいたもう一人が、小岸です」
残された刑事が、沙也に説明した。
「刑事さん」
沙也が声をかけた。
「一つ質問してもよろしいですか」
「はい」
「先日のデパートアリアールの件と今回の件はつながりがあると、私は思うのですが、警察の方々のお考えは、いかがなものなのでしょうか」
荷田刑事は、ちょっとうなずいて、答えた。
「私どもも、同じ考えです。なのでその件につきましても、私と小岸が担当することになりました」
「どうも」
沙也は、心ここにあらずという感じだった。
「ほかに、質問等ありますか」
荷田はたずねたが、沙也は少しうつむいたまま、首をかすかに横に振っただけだった。




