第二の事件
ドタドタドタドタ
ガチャ。ドアがいきなり開いた。
「旦那様、大変です!お嬢様が・・・・・・」
使用人のような四十代くらいの女の人が、部屋に飛び込んできた。
坂井氏は立ち上がって、
「詩織が・・・詩織に何かあったのか!?」
と叫んだ。
女の人は、悲しそうな目をして、
「お嬢様が、なくなられました」
と言って、うつむいてしまった。
坂井氏は、さすがにショックを受けたらしく、しばらく目をきょろきょろさせて立ちすくんでいた。
だが、そのうちに、落ち着きを取り戻したかのように、話しだした。
「あの子は・・・死んでしまったのか・・・・・・ついに、わたしの子供たちは、みんないなくなってしまった。おい、時田さん、詩織はどこにいるのだね?詩織に会わせてくれ」
時田さん、と言うのは、その女の人のことのようだ。
時田さんは、軽くうなずくと、話しだした。
玄関から外に出ると、坂井家の裏庭の、木がたくさん植えてあるところへ行った。 薄暗く、人も通れない、殺人には絶好と思えるような場所だ。
その木のうちの一本に、詩織の首つり死体が、だらんとつり下がっていた。
「詩織ちゃん・・・・・・」
美桜は思わず、つぶやいた。
つい先ほどまで生きていたはずの詩織の顔は、もうすでに血の気が失せていた。
詩織ちゃんを・・・誰が殺したんだろう?・・・・・・
それとも・・・・・・それとも自殺?あの詩織ちゃんが?
詩織ちゃん、あんなに明るい子だったのに。
もうこの世にはいない。
わたし、犯人を、絶対に見つけてみせる。
美桜は、かたく決心した。
「詩織・・・」
坂井氏が低く、うめくように言った。
美桜が坂井氏を見ると、彼の目が、涙できらりと光っていた。坂井氏のほおを、涙がつぅっと流れていく。
「つらいだろうね」
沙也が、ほとんど聞こえないような声でつぶやいた。




