プロローグ&第一章
~プロローグ・少年~
夕暮れの海に、ひとりの少年が、さびしそうな笑みを向けていた。
少年は、高校一年生。病気で、余命三ヶ月を宣告されていた。
「最後にあれだけは・・・」
少年はぽつんとつぶやいた。
~第一章・美桜~
それから一年後の秋の日。
美桜は学校からの帰り道を急いでいた。
美桜は小学六年生。ひとりっこで、今は家にいとこの沙也姉さんが住んでいる。
美桜の両親は海外で働いていて、美桜は二年前から沙也にめんどうをみてもらっているのだ。
沙也は推理小説が大好きで、話の中の犯人を、半分も読まないうちにあてることができる、すごい推理力をもっている。まるで本物の探偵みたいだ、と美桜はいつも思っていた。
美桜には親友がいた。いつも一緒にいる、二人の親友だ。もっとも、今は一緒にいないが。
ひとりは奈々。もうひとりは千里だ。
奈々は少し気が弱くて、いつもだれかと一緒にいる。その多くは、美桜と千里とだ。
千里は、奈々とは反対に気が強く、だれとでもすぐ仲良くなれる。さらに、まがったことが大嫌いで、困っている人はほうっておけない性格だ。
何故、今美桜とその二人が一緒にいないのか。
そのきっかけは、美桜が、今日は沙也よりも早く家に帰ってゆっくりとしていたい、と言ったことだった。
「なによ!わたしたちと一緒にいるよりも、ひとりでゆっくりしていたほうがいいっていうの?」
そんな千里の言葉が、美桜の頭から今も離れない。
その言葉が引き金となり、美桜と千里の口げんかが始まった。奈々はただ、二人の口げんかを、おろおろと見ているだけだった。
結局、千里とは、けんかをしたまま別れてしまった。
「はあーっ」
家に帰った美桜は、居間のソファの上にねっころがって、大きなため息をついた。
・・・・・・
美桜はそのまま、ねむりこんでしまった。




