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秋雨  作者: アレックス
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第1章 二人の出会い

2000年秋 京都市山科区

 2000年は林がS社に就職した年だった。三ヶ月の新入社員研修が終わった後、林は京都工場に研究開発部に配属されていた。元々文系出身の林は水質調査やら酵母培養やら全く知らなかった。仕事は資本提携のある中国Y社との日常連絡と通訳だった。聞こえはよいが、実際やるのが雑務ばっかり、所属の研究開発部は前の年から新商品の開発で残業の連続で、新入社員の林も当然の事に毎日残業続きだった。林の人事が中国市場を開拓するためだと誰も知っていて、林自身もこのことをよく理解し、毎日可もなく不可もなく雑務をこなしていた。平日ほぼ毎日JRの終電時間まで残業し、土曜出勤は当たり前だった。ちょうど入社して半年した頃、新製品のプロジェクトも終わり、年明けに輸出の営業部門に転属するのも決まった。

 この半年、平日毎日の残業と土曜出勤、日曜になっても昼まで寝て、掃除洗濯などをしたら一週間の生活が終わった。給料に残業代、さらに初めてボーナスを含めて知らないうちに銀行口座に100万円ぐらいの貯金ができた。やっとプロジェクトが終わり、定時で帰宅できるようになった。

 林は突如出てきた時間と金銭的な余裕の前に多少戸惑い、将来のために何かしようとずっと思っていて、英会話教室を通うのが自然の答えだった。山科駅近くに賃貸マンションを借りていたこともあって、駅の近くの英会話教室にしようと考えていた。9月ある日の夕方、仕事終わりの林が駅前留学のN社を訪ねた。受付の女性の巧みな営業トークの前に林は為す術もなく、その場で半年の授業料を払った。N社を出た際、もうちょっと何軒か回って比べたかった、と林は多少後悔していたが、もう選択の余地はなかった。授業は10月から6ヶ月、毎週水曜と土曜の夜7時半から8時半までネイティブな外国人教師が教えてくれる英会話だった。

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