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邪魔することなかれ  作者: 佐竹慎二
散歩のお邪魔虫
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2話 蛸と少女と買い物かご

第一章 散歩のお邪魔虫

今いるここは、中央公園と呼ばれるこの街の中で一番広い公園だ。

僕が住んでるアパートから最も近いスーパーへは、ここを突っ切るのが一番早い。

最初からそれがわかる人などいるはずがない。

いや、年がら年中舐め回すように地図を見ている変態なら一発で気づくだろうな。

引越してまもないかなえがそれを知ってるとは、さてはこいつ相当歩いているな、この街を。


「お前、よくこの公園を突っ切るのが最速ルートって知ってるな」


「ええ、私地図を見るのが好きなので。この街のマップなら頭に入ってます」


まさか変態の方だとは、、、


「・・・てか、お前はいつまでそれをやっているつもりだ」


目の前にはキィ、キィ、と音を鳴らしながら、古いブランコを必死になって漕いでいる小柄の女の子。

これじゃあ、側から見たらただ公園に遊びに来た親子のようだ。

だが僕はこいつと親子なんかではないし、そうなるくらいなら死んだ方がマシだ。とまで言える。


「先輩もやってみたらどうです?結構楽しいですよー」


無邪気な笑顔を見せる少女はまるで、今すぐ散るにも関わらず満開に咲き誇る桜のようだった。

昔から見せるこの表情は相変わらずなんだなと思った。

正直うざい。


「いや、いい」

「それより早く行こう」


そんな笑顔の少女を目の前にして、僕は無表情で言った


「・・・そうですね。では行きましょうか」


この公園は隣に線路が敷かれている。

そのすぐ向こう側にスーパーがあるのだ。

線路を渡るための歩道橋を登り、上まで来ると暖かい風が頬を撫でた。

あまり外に出ないから気付かなかったがもう春なんだな。とか思いながら僕は後ろを確認する。

そこにはさっきまでのあいつがいる。


「暖かいですね〜」


「そうだな」


歩道橋を渡れば目の前にはこの街で3番目か4番目にでかいスーパーがある。

あいつが公園で遊んでいたからもうお昼は過ぎていた。


「よし!やっと着きましたね」


やっととか言ってるがお前が遊んでいたから遅れたのだろう。思っても口にはしない。

買い物かごを手に取りいざ入店。

買うものを知らないし、なんならそんなものなんか無いのだけど、なぜ僕が買い物かごを持っているのかというと、答えはシンプルである。

じゃんけんに負けたのだ。


「先輩って昔から弱いですよねー。じゃんけん」


「・・・うるさい」


ああ、うざい。


「ところで、いったい何を買うんだ?」


「あーそれについてはノープランなんですよねー」


「はぁ」


こいつといるといつも無駄な時間が過ぎていく。


「流石にため息は酷くないですか?あっこれいいな」


そう言ってあいつはたこ焼きの粉を手に取った。


「先輩ってたこ焼き器持ってましたよね?」


「よく覚えてるな」


一人暮らしを始めるとき、高校生なら自分家に友達を呼んでたこ焼きパーティーぐらいするだろ。

なんて浮かれて親から貰ったたこ焼き器のことを思い出した。


「それじゃあ今日は先輩の部屋でタコパですね!」


「は?」


なんでそうなるのかなぁ。

僕は訝しんだ表情で少女を睨んだ。


「だってまだ入学祝いのパーティーやってないんですもん」


だから?そんなの関係ないだろ。と思ったが、圧に押し負けてしまった。


買い物かごにはいっぱいたこ焼きの材料が入っている。

たこ焼きパーティーする気満々だというのは周りの人は、言うまでもなく分かっているようだった。


「買いすぎましたね」

 

材料が入ったかごは結構重い。これを今から持ち帰るとなるとかなり気が滅入る。

というかこんなに買って支払いはどうするんだ?

こいつにそんな財力は無いはずだが。


「先輩!申し訳ないんですが、お金を貸してはいただけないでしょうか?」


分かっていた。

今日だけで何回ため息を吐いたかもう分からない。

財布をズボンのポケットから出して足りない分は僕が払った。というよりほとんど払ったのは僕じゃないか!

なんで財布の中身と相談せずにあれこれかごに入れちゃうのかなぁ。

そんなこと考えても意味はないので、諦めて考えるのをやめにした。

そしてここからこの材料を持って家まで歩くと考えると、やはり気が滅入る。


「先輩、ごちそうさまです!」


「いや、あとでちゃんと払ってもらうからな」



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