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第93話 世界を救う意味

アレンが手を伸ばした先には――

一人の少女がいた。


黒い髪。

整った綺麗な顔立ち。

そして、首には貝殻のネックレス。


少女はゆっくりと目を覚まし、静かに立ち上がった。


言葉はなかった。

ただ、二人は見つめ合っていた。


気づけば――

二人とも涙を流していた。


なぜなのかは分からない。


いや、どうでもよかった。

理由なんて、きっと必要なかった。


ただ、心が笑った気がした。


「君の名前は?」


「レヴィア。……あなたは?」


「アレン。」


どこか、誰かに似ていた。


思い出せない。

けれど――とても大切だった人。


そんな気がした。


「僕の……僕のこと、知ってる?」


「記憶がないの……。でも、不思議なの。

 あなたを知っている気がするの。」


一度、失った人。


そんな気がした。


失ったはずの、大切な人が帰ってきた。


それだけで――

アレンには十分だった。


「僕に……君を守らせてくれませんか?」


「はい……喜んで。」


レヴィアは、優しく笑ってそう答えた。


その笑顔を見た瞬間、

アレンの胸にあった絶望が、少しずつほどけていく。


希望に変わっていく気がした。


誰なのかは分からない。

それでも、大切な人であることだけは分かる。


心が、そう教えてくれていた。



アレンはレヴィアを連れて、学園へ戻った。


まずはベルダ先生に事情を話す。


レヴィアにいろいろと話を聞くうちに、

彼女もディアセントであることが分かった。


学園に入る条件は満たしている。


「ここで学びたいです。」


レヴィアはそう言った。


ベルダ先生は少し難しそうな顔をしたが、

最終的には受け入れてくれた。


そして――教室。


レヴィアはみんなの前で自己紹介をした。


アレンが最初に来たときは、

周囲から煙たがられていた。


だが、今回は違った。


誰も疑わなかった。


みんなが見ていたのは、アレンだった。


守れなかったとしても、

誰かのために命を懸けた姿。


その勇気を。


そんな彼を、誰が疑えるだろう。


その彼が連れてきた人を、

疑うことができるだろうか。


教室には、自然な笑顔が広がっていた。


すると――


コウキたちが近づいてきた。


レヴィアではなく、

アレンの方へ。


「……大丈夫か?」


その一言だった。


それだけで、十分だった。


アイネの空いた穴を

埋めたいわけじゃない。


アイネの場所は――

ずっと空いたままだ。


いつか、戻ってこられるように。


でも、今は。


レヴィアを守るという

新しい目的ができただけだ。


そう思った瞬間――


アレンの視界に、

過去のあの二人の姿が一瞬だけ見えた気がした。


そのうちの一人は、

コウキに重なって見えた。


……気のせいか。


アレンは小さく息を吐いた。


もしかしたら――


また、新しい生活が始まるのかもしれない。


前に進めるのかもしれない。


もう一度、

あの頃のような日常を。


だから――


そのために。


僕は、世界を救いたい。


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