表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/18

第14話 折れた心

「ねぇコウキ〜。アレン、今日も学校来ないね。

 やっぱり……あの日のこと、気にしてるのかな〜」


教室の片隅で、アイネが小声で言った。

それに対して、コウキは露骨に顔をしかめる。


「っせぇ。近づくな、アイネ」


「でもさ。アレンは頑張ったよ。

 どう転んでも、全員が生き残れる道なんて……無かったと思う」


「……」


コウキは何も言わず、視線を逸らした。


「それに……あの子、サナだって——」



「サナ。本当に……すまなかった」


アレンは拳を握りしめ、深く頭を下げた。


「頭、上げてよ」


セナは静かに言い、少し困ったように笑った。


「すごく悲しいよ。正直、今も胸は痛い。でもね……不思議と、心は少しスッキリしてるの」


アレンは顔を上げる。


「アレンくんがいなかったら、私は彼に会えなかった。

 話もできなかった。ちゃんと、気持ちを伝えることも……」


サナはそっとアレンの手を取った。


「でも、アレンくんがその未来を変えてくれたの」


「……」


「だからね。アレンくん、ありがとう」


その笑顔は、最初に会った時とはまるで違っていた。

悲しみを抱えながらも、前を向いている、清々しい笑顔だった。


——だが、その瞬間。


アレンの頭が、ぐらりと揺れた。


《お前は守れなかった。また》


《誰も守れない》


《お前は、この先も——大切な人を守れない》


どこからともなく、そんな声が響いた気がした。


アレンは何も言えず、その場を去った。

そしてその日から、自分の部屋に閉じこもるようになった。



「おーい、みんな〜。授業始めるぞ〜……アレンは今日も...か」


ベルダ先生が呟くと、教室のあちこちから小さな声が漏れる。


「やっぱ裏で何かやってんじゃねぇの」

「怪しいよな」

「お前らもそう思わね?」

「どうでもいいわ」

「……僕は興味あるよ。彼に」


「おい、静かにしろ」


ベルダ先生が注意するより早く、

コウキが勢いよく立ち上がり、机を叩いた。


「おめぇら、うるせぇぞ」


教室が静まる。


「人がいねぇところで、勝手なこと言ってんじゃねぇ」


「いや、お前だって——」


「俺は見た」


コウキは睨みつけるように言った。


「誰かのために動くアレンを。

 勇気を、希望を与えるアレンをだ」


「……」


「なんでアレンが来てねぇかも分かんねぇのに、

 適当なこと言ってんじゃねぇよ!」


「コウキ……」


「悪ぃな、先生。俺、アレンのとこ行くわ」


「ちょっと〜、私も——」


「来んな。これは漢の話だ」


そう言い残し、コウキは教室を出ていった。


ベルダ先生は、生徒たちを静かに見渡す。


「……この学園で、過去に何があったかは分かっている。

 だが、それはアレンを傷つけていい理由にはならない」


「今後の発言には、気をつけろ」


その声には、重みがあった。



アレンの部屋の前で、コウキは立ち止まる。


「おい、アレン」


少しだけ間を置いて、ドアを叩いた。


「いるんだろ。……開けろ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ