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目覚め
長い間、眠っていたような気がする。
ここは、どこだ?
いつもと違う布団の肌触り…。
部屋にはバラの香炉のにおいが漂っている。
俺の部屋じゃない。
横からドタドタと音が鳴り、誰かが部屋から出て行った。
「待って!」
俺が声を出した時には、廊下に出て行ってしまったようだ。急いで追いかける。
「あ、ジョージ。おはよう」
その青年は俺の名を呼ぶ。
「あなたは…」
一瞬戸惑った。夢に出てきた、鎧をまとった男の姿にそっくりだ。
「バミン!」
「よっ!相変わらず今日も元気そうだね。朝食を頼んだから、一緒に行こう」
夢ではなかった。どうやら本当に、石造りの堅牢に守られた都に来ていたようだ。
パジャマを脱ぐために部屋に戻ると伝え、着替えることにした。
「これも…」
黒い鞘に包まれた刀、柄を持って引き抜くと白く光る刀身が姿を見せた。
これはこの、ジョージの旅の証明だ。