回想
「あーーーつかれたああああああああ」
そう言って寝室のベッドに倒れこんだ。
今日は金曜だが、7時間目の授業があり、すっかり精神を削られていた。
窓から外を覗くと、美しい夕焼けが写っていた。夏は終わってしまったが、明日は先週のように暑くなり、あの日のようになるだろう。
「夏の終わりが寂しいなんて言うやつもいるけどなあ。」
そんなことはもう昔の話。今は地球温暖化が進み、秋になっても暑さは続く。
しかし暑さとは早く離れたい。夏が終わってくれないと逆に悲しい。
「あ、やべっ!」
机にしまっていたキャンディが溶けて、木の机に甘い汁がたれていた。
キャンディは後回しにして、自分の通学かばんを見た。ボロボロの答案、使わなくなった本がごちゃごちゃになっている。
最近のだるさはこれが原因か、塵となったものがかばんの質量と体積を上げている。肩が痛い。
しかしそれも後回しにする。動きやすく清潔なTシャツに着替える。冷房を18℃に設定し、眠りにつく。
「ハアックション!」
自分のくしゃみで目を覚ました。
切りタイマーをつけるのを忘れていた。机からいまだに甘い匂いが漂う。
急いで冷房を切り、下着をつけ、セーターの上にパーカーを着た。
この部屋は冬だ。それからクローゼットの中にあった毛布を取り出し、掛布団の上に被せる。
そして夢の中へ向かう。
砂漠、氷の都、火山、滝のある洞窟。
目の前の風景が移り変わる。どんな映画のシーンよりも鮮明だ。
鉱石が並ぶ通路で視界が止まった。
一体いくらの金になるのだろうか。
視界が止まったのはほんの一瞬だった。
腰の周りを鉄の箱が覆い、箱が動き出す。
レールに沿って動くトロッコ。鉱石は虹のように輝き、やがて視界から消える。
ついに、暗闇に落ちた。
「あなたが‥‥かい…‥すけ‥」
耳のそばでささやかれた。
「なっ!」
俺は目を開けると、ベンチに座っていることに気が付いた。
よかった。歩ける。
尻に敷いていたチラシに目が行った。
『ゴンロ青果 15周年大サービス!』