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ジョージの大冒険  作者: 海山雷魚
4/7

回想

「あーーーつかれたああああああああ」

そう言って寝室のベッドに倒れこんだ。

今日は金曜だが、7時間目の授業があり、すっかり精神を削られていた。

窓から外を覗くと、美しい夕焼けが写っていた。夏は終わってしまったが、明日は先週のように暑くなり、あの日のようになるだろう。

「夏の終わりが寂しいなんて言うやつもいるけどなあ。」

そんなことはもう昔の話。今は地球温暖化が進み、秋になっても暑さは続く。

しかし暑さとは早く離れたい。夏が終わってくれないと逆に悲しい。

「あ、やべっ!」

机にしまっていたキャンディが溶けて、木の机に甘い汁がたれていた。

キャンディは後回しにして、自分の通学かばんを見た。ボロボロの答案、使わなくなった本がごちゃごちゃになっている。

最近のだるさはこれが原因か、塵となったものがかばんの質量と体積を上げている。肩が痛い。

しかしそれも後回しにする。動きやすく清潔なTシャツに着替える。冷房を18℃に設定し、眠りにつく。



「ハアックション!」

自分のくしゃみで目を覚ました。

切りタイマーをつけるのを忘れていた。机からいまだに甘い匂いが漂う。

急いで冷房を切り、下着をつけ、セーターの上にパーカーを着た。

この部屋は冬だ。それからクローゼットの中にあった毛布を取り出し、掛布団の上に被せる。

そして夢の中へ向かう。



砂漠、氷の都、火山、滝のある洞窟。

目の前の風景が移り変わる。どんな映画のシーンよりも鮮明だ。

鉱石が並ぶ通路で視界が止まった。

一体いくらの金になるのだろうか。

視界が止まったのはほんの一瞬だった。

腰の周りを鉄の箱が覆い、箱が動き出す。

レールに沿って動くトロッコ。鉱石は虹のように輝き、やがて視界から消える。

ついに、暗闇に落ちた。


「あなたが‥‥かい…‥すけ‥」

耳のそばでささやかれた。




「なっ!」

俺は目を開けると、ベンチに座っていることに気が付いた。

よかった。歩ける。

尻に敷いていたチラシに目が行った。


『ゴンロ青果 15周年大サービス!』


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