アナザーワールド
2ヶ月後・・
「いきなりですが、ジョージ君が行方不明になりました」
先生の一言で教室が静まり返った。
少しの間の後、みんな騒ぎ出した。
「静かに!警察はすでに捜査を開始しているんです。ジョージ君にもきっとまた会えます
よ。」
一方その頃・・・
ジョージは石造りの町に立っていた。
俺は知識から、ローマなどの都市にいるのだと思ったが、武器や防具が売られていること
から、現代ではないと見た。
町を見渡すと、見たこともない人や動物、見たこともない文字が書かれた看板があ
った。
俺はまず、食べ物を求めた。
なぜここにいるのだという疑問よりも、2日間何も食べていないときにおこるような空腹
が勝ったのだ。しばらく歩いていると、果実や野菜が並んだ店があった。
「さあさあどんどん買っていってくれ!」
数十人の客と共に迎えられた気がした。しかし俺はいま、金がない。
「あの 何か食べ物をくれませんか?」
いつもより小さく、元気のない声で俺は言った。
「なに?食べ物をタダで?こっちは商売なんだ。金がないなら帰った帰った!」
店主は俺に言った。諦めてため息をつき、店から出ようとした。 その時。
「おい待てよ!」
店主が俺に向かって言った。そしてまじまじと俺の瞳を見た。
「元気ねえなあ。これでも食って元気だしな!」
店主は俺の手に赤い果実を乗せた。
林檎だ!