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クスリと笑って、メルヴィンはシュテンの時と同じように自身の胸元にへと彼女の頭を抱え込む。
「・・・メルヴィン、様?」
「実は隣に座った時から、僕達の周囲には人払いと遮音結界が張ってあります。今のうちに泣きたいだけ泣いて、弱音は全部吐いてしまうといいですよ。僕が全部聞いてあげますし、お望みならばこの事は墓まで持って行って差し上げますから。その代わり、この結界を解いた後はいつも通りのエリザ嬢でいてください。貴方が機能してくれないと回復術師達の指揮が取れませんからね」
「・・・シューちゃんとのやり取りを見ていて、ずっと思っていたのですが・・・メルヴィン様は、他人を甘やかすのが上手ですね」
シューちゃんみたいに、私まで駄目にされそうです・・・。
一度メルヴィンを見上げたエリザはそう言って泣き笑いを見せると、再び彼の胸に顔を埋めた。
縋る様に彼にしがみつき、泣いている。
この場には居ない兄の名を小さく呼びながら、彼の無事を祈って泣いていた。
メルヴィンはジッと付き合い、黙って頭を撫で続ける。
そうして彼女が泣き疲れて眠ってしまうと、結界を解きながら抱き上げ、テントの中に入って行き、野営用の折り畳み式のベッドに彼女を寝かせて自身はその場を離れた。
硝子式が例の一団を発見したからだ。
外に出たメルヴィンは静かに目を閉じ、硝子式の視界をジャックする。
先刻の森の中の風景が映り、休憩中なのであろうボロボロな調査隊一行が生き残ったサバナの住人達と一緒に居た。
ざっと見た限り、怪我で自力で動けそうにないのは三人程で、そのうちの一人がアクセルだった。
とはいえ、彼の命が脅かされるようなものでは無く、単純に一番大きな怪我が足にある為に自力で歩けないだけのようである。




