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「・・・アクセル殿なら、きっと大丈夫ですよ。彼は第二小隊の誰よりも剣の扱いや戦闘力にも長けています。まぁ、だから小隊長になった訳ですが・・・」
「分かってます・・・でも・・・」
「心配ないですよ。道化師自体の相手はグントラムがしています。イツキもリンドウも居ます。何より、道化師に操られているとはいえ、魔物程度に後れを取るような方でないことは、貴女が一番良く御存知だと思います。それに、今探査の魔法で森の中に何かを見つけました。様子を見に僕の硝子式も飛ばしましたし、これでもかと言うくらい強化して、且つ一番強い水晶製を送り出したので、何かあればスグ僕に伝わります」
そう優しく微笑んで、メルヴィンは俯いたままのエリザの頭を撫でる。
今回彼女が付いてきた理由は、彼女の双子の兄であるアクセルを心配してのことだった。
元々、シュテンの監視役として彼女には残って居て貰う予定でいたメルヴィン。
エリザとは別の回復術師の選抜を行っていたのだが、どうしても一緒に行きたいという彼女に負けて連れてきたのだ。
「大丈夫です。例えどんな怪我をしていても、僕が治します。その為に僕は此処に来ましたから。ね?」
ヨシヨシと子供を宥めるように・・・否、エルフであるメルヴィンから見れば大抵の者は子供のような年齢なのだが・・・彼女の頭を撫でつつそう告げる。
彼のその言葉に、漸く顔を上げたエリザの目には涙が溜まっていた。
普段の彼女であればこのような姿を見せることはあまり無いのだが、どうやら前回の道化師との戦闘の被害を知っていたが為に、不安になってしまったようだ。
「・・・全く、あっちもこっちも、鬼人達は泣き虫ですね・・・」




