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アルヘイム領 ガラス細工の街『オーガ』
ガラス細工店『モクレン』
「アーサーギー?」
「・・・・・・・」
「アサギさ~ん?」
アルヘイム領『オーガ』にある有名ガラス細工店『モクレン』。
誰も居ない店舗から奥の部屋に向かってシュテンは大きな声で呼びかける。
三回ほど名前を呼んだところで部屋の奥からこちらに向かって軽快な足音が聞こえてきた。
「はーい!はいはーい!!」
漆黒の短い髪を揺らしながら現れたのは鬼人族の女性。
この店『モクレン』の店主の娘でガラス細工職人でもあるアサギ・モクレンだ。
作業中だったのか、青いツナギにエプロン姿で現れた彼女は、シュテンを見つけると嬉しそうに微笑んだ。
「アルヘイム様、いらっしゃいませ」
「どうも。今日店主は居ないの?」
「ああ~、父は今ガラスの材料を補充に出掛けてまして・・・」
「そうなんだ?」
「はい。それよりも、アルヘイム様は今日はお一人で?」




