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回復中のシュテンの隣に座り、メルヴィンは彼の容態を確認する。
『鑑定』を使って現在の状態を確認すると、魔力切れにはなっているもののイツキの言う通り、上手く気持ちの発散は出来たらしい。
安堵の溜息を吐いたメルヴィンは、シュテンが起きるまでの間、隣で仕事の書類に目を通そうと、アイテム袋としての術式を入れてある手袋を右手に嵌めて魔力を流し込んだ。
右手の平にある魔法陣に左手を入れるとカサリと書類の束が出てくる。
書類を一枚一枚丁寧に読み、自身のサインを入れては手袋に戻していく。
「うっへぇ・・・こんな時でもオシゴトすんの?メルさん、マジ『ワーカーホリック』!」
「誰がワーカーホリックか!僕も好きで仕事してるんじゃない。やらないと次に進めないから仕方なくやってるんです!」
イツキの担当していた区画の整備が終わったらしく、彼女はメルヴィンの隣に座ると近くにやってきたリンドウを撫でながらそう言って眉間にシワを寄せた。
その心底嫌そうな顔に、メルヴィンは溜息を吐きながらツッコミを入れつつ返す。
ふと手元の書類に影が落ち、メルヴィンは顔を上げた。
「みーつけたっ!あんまり魔力使うと、後でまたシュー君に怒られるよ?メルメル~」
「・・・その呼び方、止めてくださいと何時も言ってますよね?アクセル殿」
「うん。そうだねー。オレ、記憶力あんまりよくないから、何時も言われるまで忘れちゃうんだよね」
「忘れないで下さい」
「う~ん、それはちょっと無理かなぁ?」
「何故です?アクセル殿、普段は記憶力いいでしょうに」




