6/110
0-6
何より耳障りなのは、それらの音に負けず聞こえる
不気味に、そして楽しそうに嗤う『道化師』の声だ。
「アハ、アハハハッ。良いぞ、愚民ども!もっと啼け!叫べ!我に平伏すがいい!!」
そんな典型的な、使い古されたセリフと共にニタリと歪められる口元。
心底楽しそうな表情を浮かべる『彼』の全身は血に塗れ、長めの艶やかな緑色の髪からは赤が滴った。
ベットリと右手に付いた血をぺろりと舐め、至福の笑みを浮かべている『ソレ』を『悪』と例える以外に表現のしようはなく、それと同時に民たちは悟ったのだ。
『道化師』に平伏そうが伏すまいが、同じであると。
なぜなら『彼』の機嫌一つでその後の人生は決まるのだから。
「アハハッ!ハハハハハッ!!逃げ出す者は殺せ!歯向かう者も、降伏する者も殺せ!ありとあらゆるものを奪え!!この地を我らのモノに!!」
アハハハハハッ!!
そう部下たちに告げて笑うその背後には大きな赤い月が昇って居たという。
*****