第2章 道化師襲来
アルヘイム領 ガラス細工の街『オーガ』
アルヘイム邸 アルヘイム騎士団 医務室
コツコツと軍靴の音を響かせる一人分の足音が部屋の前で止まる。
シュテンの言いつけで、グントラムとイツキの様子を見ていたこの騎士団の回復術師の一人であり、彼の従姉でもあるエリザはスッと扉に向かって手を横に振った。
ガチャリと扉はひとりでに開く。
「うお?!」
「あら、シューちゃん?どうしたの?」
「びっくりした・・・エリザ、イツキと師匠は?」
「大丈夫よ。二人とも今はただ、眠っているだけだから。それよりもシューちゃんとメルヴィン様は大丈夫?結構酷い怪我だったと兄様に聞いたのだけれど・・・」
「俺は平気。メルは・・・怪我っていうよりは魔力切れに苦しんでるよ。まぁ無理もないんだけどさ。アイツ、いくらエルフの魔力量が多いからって、無茶しすぎ」
「それも兄様から聞いたわ。シューちゃんと二人掛かりでも倒せなかった相手だったんですってね?」
「そうそう。俺や師匠が戦ってる間ずっと後ろから上級攻撃魔法で援護してたんだ。信じられるか?」
「メルヴィン様は相変わらずみたいね?私じゃとても無理だわ」
「だろう?そのくせ魔力切れの症状を表に出さねーし、こっちが気づけば自分に使うのは勿体ないとか意味不明な事言って、頑なにMPポーション使わねーんだから最早化け物だよ。アイツ。っていうか、エリザもメルと比べちゃダメ。お前は鬼人、アイツはエルフ。もとより魔力量が違うんだからさ」




