33/110
1-26
ニタリと笑う道化師。
心底楽しそうにそう告げると同時に、彼を拘束していたはずのナイフが影から外れていた。
「さて、ついでにもう一つ種明かししておきますね?頑張って追い詰めて頂いたところを申し訳ないのですが、私はそろそろ時間切れでして。三つ目の答えですが、先程の時間稼ぎは彼に掛ける呪いの発動までの時間稼ぎであると同時にもう一つ。私の本体はこちらには無いのですよ。ここよりももっと遠いところにあります」
「本体じゃない・・・?」
「どういう意味だ?!」
「簡単なことですよ。これは私の力の一部を移した依り代にすぎません。つまり、そろそろ効力が切れる。ということですね。お疲れさまでした。また遊びに来ます」
ペコリとお辞儀を一つして、道化師は消えた。
今の今まで彼が居た場所には、道化師に傀儡にされていたであろうライオンの獣人族が倒れている。
「消えた・・・クッソ、マジか?」
「メル!イツキと師匠を頼む。俺はあっちを」
「了解。イツキ?」
「・・・ごめん、いま、うごけない・・・でも、コッチはあとでいい・・・」
魔法陣と結界を解除しながら答えるイツキの様子をチラっと確認し、回復魔法を掛けていた兵士が自力で動けるまでに回復したのを見届けると、メルヴィンはシュテンに言われた通りグントラムの方にへと向かった。




