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丁寧な口調を崩さず、先程までの虐殺とは打って変わって紳士的に挨拶をする『道化師』。
「丁寧な挨拶をどうも。俺はアルヘイム領の騎士団所属、ルートヴィッヒ・イェルク・グントラム。早口言葉でなくとも舌の噛みそうな名前だが・・・しっかりと覚えとけ。お前に喧嘩を売る者の名だ!」
名乗り終わると同時に地を蹴り、グントラムは道化師との距離を一気に詰める。
ザリリッと剣先で地面を抉りながら逆袈裟斬りの要領で剣を振るった。
「・・・チッ!」
寸分違わず道化師の体を捉えたはずであったが、グントラムは舌打ちをすると同時に振るった剣を途中で止め、素早く跳んで後ろに下がる。
数舜前まで自身が居た場所に魔法陣が現れ、同時に炎が上がった。
「おや?貴方も避けますか」
「・・・やはりキャスターか・・・【めんどくせぇなぁ?俺は魔法が嫌いなんだよ・・・】」
クスリと嬉しそうに言う道化師に、ため息混じりに呟いて後半は心で愚痴るグントラム。
ポワンとありがちな効果音と共に道化師は自身の胸の前に魔法陣を展開、雷魔法で作り上げた矢を連続で射出してグントラムに打ち込んだ。
それを剣を振るう事なく躱すグントラムは、もう一度道化師に斬りかかる間合いを図っている。




