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「唐突だな?・・・別に、リリィが報告しとけって言ったから言っただけで、モノが欲しい訳じゃ・・・」
「・・・お前は本当に欲がないなぁ?っていうか、しっかりリリアンの尻に敷かれてるのか」
あははっと楽しそうに笑いながら判子を押し終えたシュテンは、処理し終えた書類をメルヴィンに手渡す。
「そこは放っといてほしい・・・」
書類を受け取りながら、メルヴィンはそう言って苦笑した。
リリアン。
メルヴィンの妻の名前である。
エルフ族で元冒険者。
優秀な魔術師なうえ、三人のパーティメンバーでもあった。
現在は彼女も冒険者を引退し、シュテンの作った研究所で最小限の魔力量で複数の魔法を同時に発動させられる魔法陣を作る研究をしている。
その魔法陣が出来上がれば、魔力量の少ない種族であっても魔力切れを起こす事無く、それなりに魔法を扱えるようになるということであり、エルフであるにもかかわらず、魔力量が平均よりも少なめであるという彼女自身の弱点であり、コンプレックスを克服するためでもあった。
最も、そういった用途の魔法陣は既にあるのだが、それは彼女のオリジナルであり、エルフの使う文字や詠唱で形成されているために、全種族の共通語である人族の言葉に直して且つ、全種族で扱えるように調整しなおさなければならないのだが・・・今は子供が出来たために休職中である。
「そもそも、僕のことはどうでもいいんだよ。今は子供の話してたろ?」
「はいはい。ごめんって!で、どっち?男の子?女の子?」
「あ、ソレ自分も興味あります。まぁでも、メルヴィン様とリリアン様の子供ならどっちでも美人なんだろうなぁ?」
「そうか?リリィは兎も角、僕は普通の顔だと思うが?」




