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それを聞いて満足そうに頷き、シュテンは意気揚々と体を起こして先程投げ捨てた書類を手に取った。
小さく溜息をつき、仕事を再開してくれたことに安堵しながら「そう言えば、」とメルヴィンは先程シュテンが途中で止めた話を思い出す。
「そういえば、アルはさっき何を言いかけたんだ?」
「ん?嗚呼、そうそう・・・お前んトコ、子供生まれたんだって?」
「・・・よく知ってるな?アルにはこの仕事が終わった後に報告する予定だったんだが・・・」
「え・・・マジで?自分初耳なんですけど?」
「そりゃそうだろ。今初めて言ったし・・・で、アルは何で知ってるんだ?」
驚きを隠せないイツキに、肩を竦め乍らメルヴィンは答えた。
そうしてそのまま視線をシュテンに移し、問いの返答を求める。
「さっき師匠から聞いた」
「グントラム様ですか?」
「あー、あのおっさんか・・・」
「いやいや、師匠もメルにだけは『おっさん』呼ばわりされたくないと思うぞ?エルフどの」
「そうか?僕なんかまだまだ百十歳程度しか生きてない若造ですけども?人間でいうとこの青年ですけども?」
「それでも人間から見たら百十歳はジーサンだよ、メル。それより、お祝いに何か欲しいものある?」
話が長くなりそうだと察したシュテンは、先手を打って話題をすり替えた。




