一見、悪徳に見えて、ただ幼馴染に結婚を前提にしたお付き合いを申し込んでるだけの男
この物語はシソンヌじろうさんによる「LIFE!〜人生に捧げるコント」の「一見、悪徳に見えて」シリーズのパロディです。
ようつべで見ることができるので、本家様も是非ご覧ください。
「うぇい、久しぶり~よく来たね~」
「お待たせ、ケンちゃん、待たせちゃった?」
休日のティータイム。ちょっとおしゃれな喫茶店にて。
ケンちゃんと呼ばれた男は大袈裟に手をブンブンと振りながら、幼馴染であるリエを迎えた。
陽気な男とは対照的にリエは申し訳なさそうに肩をすくめている。
「あ、もうぜーぜん。このくらいぜんっぜん大丈夫だから」
「もう、三十分も遅れたんだから少しくらい怒ってもいいんだよ?」
「これから先のことを考えたらむしろ短い的な?」
ケンは店員さんを呼んでリエの分の紅茶と自分の分のエスプレッソを頼むとおもむろに切り出した。
「それでさ、早速なんだけど……この間の件……考えてくれた?」
「うん、でも私たちにはまだ早いかなって……」
「うんうんうん、もっかい言うけど、俺と結婚を前提としたお付き合いをしてほしいっていうお話っ。悪い話じゃないと思うんだよねぇ~」
「ケンちゃんのことは好き……でも結婚ってなるとちょっと……」
リエは瞳を揺らしながら、ケンのことを見つめている。
その頬はわずかに赤らんでいた。
「あぁっ! そうかそうか、まあ最初はビビっちゃうよねぇ~。分かる、分かるよ~、その気持ち」
「ごめんね……」
「あー全然いい全然いい、むしろ俺らまだ二十三歳だし? 就職もしたてでこれからのこととか全然考えられない……そんな感じでしょ?」
コクリと頷くリエ。
二十三歳。結婚も前提に……というお付き合いをするのには少し早いかもしれない。
それにリエは仕事にもようやく慣れてきたところで、先を見据える余裕はあまりなかった。
「分かる、分かるな~、俺もそうだったもん。でも大丈夫、今日は力強い味方を呼んできたから。忙しいのに事情を話したらすぐ来てくれたんだよ~」
「その人って?」
「実は今日……サークルの先輩を呼んでありますっと」
「サークルの先輩?」
今度こそ本当に戸惑いを見せるリエ。
幼馴染とはいえ別々の大学に進んだ二人だ。
ケンのサークルの先輩となると、当然リエに面識はない。
不安に思うのは当然だった。
「あー全然怖くない怖くない。二つ上の先輩で……なんと既婚者!」
二つ上ということは二十五歳だ。
その年齢で結婚しているのは現代日本においては早い方だ。
そんなリエの驚きを察したケンは言葉を続ける。
「あ、今早くない? って思ったでしょ? でもね~、人生設計とか? ちゃんとしてんのよ~。話聞いたら絶対結婚したくなると思うからさっ」
「うん……」
「センパイ、センパーイ」
その声と共にクマのような大男が現れた。
どうやら隣の席で待機していたらしい。
「「うぇいうぇい~」」
コンコン、と拳を合わせたケンとセンパイが並んで座る。
ちょうどリエと向かい合う形だ。
「あれ、センパイ! ちょっとまた太ってません!?」
「そうなんだよ~、また3キロ増えちゃって……」
「はい、幸せ太り~」
息の合ったノリで話すケンとセンパイ。
リエは話には聞いていたが話すのは初めてだった。
「で、彼女がラッキーガール?」
「いや~、そう言われると恥ずかしいですってセンパイ!」
「いや、リエさん、だっけ? こいつはね、いいよぉ。早くしないと別の女にすぐ取られちゃうから。職場でも人気なんだよ~」
「ちょっセンパイ、その話はやめてくださいってぇ~」
「本当なの……ケンちゃん」
「いやいや心配しないでって、俺マジでリエ一筋だから。嘘じゃない嘘じゃない」
「ふはははは、からかってごめんね~、今のはちょっとしたジョークだから。っとまあリエさん」
「はい」
「あらかたこいつから話は聞いてると思うんだけどさ、まぁ俺の場合は大学時代から妻と付き合い始めて……」
センパイはそこで大きく溜めるともったいぶった様に言う。
「今年で結婚 三 周 年」
「三周年!? ってことは私たちの年齢の時にはもう結婚してたってことですか?」
「そうね~、学生時代にケンちゃんと始めた事業が大当たりしてね~、その事業を譲渡する代わりになんと……1000万、二人で山分けしちゃいましたっと」
「だから一人あたり500万! はいこの数字、何の数字でしょーかっ」
シンキングターイムと銘打って、チッチッチッチッと数えだすケン。
心当たりのないリエはゆっくりと首を傾げていく。
「はい、なんとこれはね~、結婚にかかる総費用と、ほぼ同額なんだよね~」
「ケンちゃんそんなに貯金してたの!?」
「全部リエと結婚するためですっ、はい!」
ドンと胸を叩いて誇らし気にするケン。
それは自分を鼓舞するかのようだった。
実際額には薄っすらと汗をかき始めている。
陽気なケンとはいえ不安な所もあるのだろう。
「それにさ」とセンパイが後押しする。
「こいつの職場、知ってる……?」
「都庁勤務、ですよね?」
「そう、つまり……転勤の心配もないんだね~、これが。どう、もう付き合うしかなくない?」
「いやセンパイ、無理強いはダメですってぇ、あくまで自分の意思で決めないとダメなんすよぉ」
「おぉ、悪い悪い。育児で疲れて余計なこと言ったかな?」
「この幸せもの~」
「ケンちゃんもちゃんと育児には参加しろよ?」
「当たり前じゃないすか、そんなの~」
クマのような大男の目の下にはくっきりとしたクマができていた。
夜泣きの大変な時期だ。寝ずの番をしているのだろう。
「それで、どう? 今すぐに……じゃなくてもいいんだけど、考えてくれない?」
ズイっと真剣な目をしながらケンはリエの手を取った。
その誠実な目にやられたのだろう。
リエはついにコクリと頷いた。
「不束者ですが……よろしくお願いします」
「一緒に幸せな人生、歩みましょぃ!」
うぇいー、読んでくれてサンキューで〜す!
実は読んでくれた人にお願いしたいことがあるんだよねぇ。
あ、怪しいと思った? 大丈夫、ぜんっぜん怖くないから。
何回も聞いたことあると思うんだけど、広告の下にある【★★★★★】から評価をつけて欲しいって話っ。
実はね〜、ブクマ登録と合わせてひとり最大12ポイントまでこの作品に入れられるわけ。やばくない?
12ポイントよ!? Tポイントなら1200円払ってやっともらえるポイント量よ!?
え? 換金できないだろって? あた〜痛いとこつくねー。
でも創作活動をする上で人からの反応ってマジで嬉しいわけ、これ全員が全員そう言うから!
しかもね、評価することで発生するデメリットは……マジでないの、これ一番大事!
率直な評価でいいのよ、合わないなーって思ったら★一つでも!
匿名だからなんの心配もありませんっ!
これもう入れるしかなくない!?
ということでまずはこの作品の評価をサクッとお願いしまぁす!