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【審判】の殺人鬼録

今回はキャラクター紹介です。

今後も登場するキャラをこんな感じで紹介していきます。

審判(ジャッジメント)


《本名》レザリック・シージ

・通称、復讐鬼。

・女性。犯行当時の年齢は18、今は20歳。

・銀髪で赤い目をしている。長髪で長身。男勝りな気性で喧嘩っ早い。


《殺害人数》21人

・姉の自殺の原因でもある、常習的に性犯罪を犯していたサークルのメンバー全員。

・それ以外では誰一人として殺していない。よく他の不良と喧嘩していたが、最悪でも半殺しに留めている。


《凶器》斧

・本人曰く、『拾ってきた』とのこと。


◎好きなもの

・犬

・姉さん(昔は『姉貴』と呼んでいたが、嫌がられたので『姉さん』と呼んでいる)

・意外と可愛いものが好き


◎嫌いなもの

・ゲーム(超が付くほど下手)

・辛い食べ物



『生い立ち』

 幼い頃に母親が家を出て行き、放任主義の父親と姉の3人で暮らしていた。実質、姉が母親のようなものだった。生まれつき男勝りな性格で、身体能力が人間離れしている。本人は、ぐれたつもりも悪ぶっているつもりもなかったが、学生生活を送っていくうちに不良と見なされて以来、自分から不良やワルだと自称するようになる。優秀な姉とよく比較されていたが、そのことに関しては特にどうとも思っていない。

 中高生の頃は不良仲間と連んで他校の不良生徒とよく喧嘩していた。未成年で酒を飲んだりタバコを吸ったりしていたが、両方口に合わずにやめた。バイクの運転が得意だったが無免許であったため、公道を走るのは避けていた。その代わりに校庭で爆走して退学になりかけたことがある。気性は荒いが、無闇に暴力を振るうわけではなかった。しかし見た目が怖いので初対面の人にも避けられる。最早父親すら意見することができなかったが、唯一姉にだけは頭が上がらなかった。

 そんな姉が一人暮らしを始めて将来を意識したのか、それを契機にちょっとだけ学業に精を出し始める。少しだけ上がった成績表を胸に納めて、いつかまた姉に会った時に見せようと思っていた。が、終ぞ再会することはなかった。


『殺人の特徴』

 ターゲットが一部屋に集まっているところを見計らい、突入し、釘バットを振るう要領で斧を振るって惨殺した。裏口を塞ぐなど多少の細工はしてあったが、ほぼ無計画で無鉄砲な方法で全員を逃さず仕留めているあたり、手口の杜撰さを補えるほどに身体能力が高いことが窺える。




***




 その日の空はどんよりと曇っていて、今にも雨が降りそうだった。ほとんどの学生が帰宅しているというのに耳障りな喧騒が外まで聞こえていたので、奴らのいる教室にたどり着くのにはさほど時間はかからなかった。

 まずは野外にある非常階段を登り、裏口に回る。近くに捨てられていたダンボール箱をドアと階段の柵の間にすっぽりと嵌め込む。こうすれば、内からドアを開くのは困難になるだろう。ドアの小窓からこっそり中を覗くと、奴らの顔が見えた。

 当然のことながら、奴らは多くの人々に恨まれていて悪い意味で目立っている。なので同じ大学の人間や奴らの性犯罪の被害者とコンタクトを取り、奴らの顔写真を入手することは難しくなかった。まぁ、写真を提供してくれた人たちも私が何をしようとしているかまではわからなかっただろうが。閑話休題、全員が揃っていることを確認してから、私は表口に回り建物の中に入った。


 奴らのいる教室に入るとムワッと酒臭い匂いがした。大勢で集まって酒盛りとはいい身分だ。馬鹿騒ぎしているお陰で私の存在にも気づいていない。

 好都合だ。

 背負ってきたギターケースから黒々とした斧を取り出す。斧をそのまま持ち込むわけにはいかなかった故にギターケースに入れていたのだが、私を軽音楽部の部員に擬態させる効果もあったようで、ここまで怪しまれずに入り込むことができた。


 ガキィィン──ッ


 鋭い金属音が響く。私が斧でドアノブを叩っ斬った音だ。これでもう、逃げられない。ガヤガヤと騒いでいた奴らも流石に静かになり私の方を振り向いた。だがもう遅い。


「えっ……誰だ?」

「おい、斧持ってやがるぞあいつ!」

「やばくない? もしかして、ドッキリ?」


 怯える人、驚く人、面白がる人、反応は様々だが、まだ誰も動こうとはしなかった。なのでこちらから仕掛けようと思い、斧を持ったまま歩み寄る。すると近くにいたリーダー格のような男が、ゆっくりと立ち上がった。


「おい、お前何なんっ」


 言葉はそこで途切れた。セリフの続きの代わりに血を吐いて、男は床に倒れ込んだ。斧で首を半分くらい斬りつけたのだ。確実に死んだだろう。

 言葉を交わす必要はない。私の目的は、ただ殺すことだ。


「ひっ──ぎゃあああぁぁぁあああっ!?」

「うわあああぁぁぁ!!!」

「お、お前らどけっ! 邪魔だッ!」


 大勢が叫び声を上げる中、何人かが裏口から逃げようとする。だがドアの向こうにあるダンボール箱が邪魔になり、開かない。ドアを壊したり、ダンボール箱をプレス機のように押し潰す力があれば開けただろうが無理なようだ。


「うるせぇーなぁ」


 斧を持っていない左手で、側にあった長机の脚を掴む。ぐっと力を込めて、ゆっくりとそれを持ち上げる。妙な持ち方をしたから少し大変だった。奴らは驚いて、一瞬だけ静かになった。机に載っていた缶ビールやつまみものが、けたたましい音を立てて落ちていった。高く掲げたそれを、私はおもいっきり投げつけた。


 ドゴッ! と鈍い音がした。この攻撃を皮切りに、私も襲いかかる。


「ぎゃあああぁぁぁ!」


 一撃で仕留めるために、狙うのは首か頭だ。机や椅子や死体の上を跳び回り、機敏に殺していく。斧をバトンのように振り回す度に、鮮血が舞った。たまに生首も。大した抵抗もせずに逃げ惑うだけだったので、1分も経たない内にほとんど始末できた。残りはあと3人くらいだろうか。


「ま、待って……お願い、謝るからやめて……。私はただ、数合わせでここに入っただけなの」


 部屋の隅で怯えてへたり込んでいる女がそんなことを言った。奴らの中には少ないが女性もいた。男ばかりだと警戒されるからなのだろうか。

 ともかく『謝る』なんて言葉が出てくるということは、殺される理由に心当たりがあるということだ。しっかり自覚できているようで何より。自分が殺される理由くらいは知っていて欲しかったので安心した。当然、命乞いになど耳を貸さずにぶっ殺した。


「ああああああ———ッ!」


 今度は、大柄な男が椅子を振り上げて立ち向かって来た。はっきり言って隙だらけだったが、せっかくなので受けて立つことにする。

 椅子が振り下ろされる。私はその攻撃を左腕でガードした。このくらい、屁でもない。前の喧嘩で鉄パイプで殴られた時の方が痛かった。ダメージを受けるどころか一歩も動くことのない私を見て、男は慌てて斧を奪おうとする。


「無駄だよ」


 男が斧の柄を掴んだ瞬間、私は右足で男の顔面に蹴りを入れる。


「ぶふぅっ!?」


 バキッと骨が砕ける音がして歯が何本か折れた。即座に斧の回転斬りを頭に食らわせると、頭蓋骨が割れて脳が飛び散った。思ってた以上に凄惨な殺し方をしてしまったものだ。


 残すところはあと1人。

 いつの間にか開かれた窓から冷たい風が吹き込んだ。最後の1人は勇敢にも窓から飛び降りて逃げたようだ。この教室は4階なので地面までの距離は10メートル以上はあるだろう。そんな高さから飛び降りれば既に死んでいてもおかしくなかったが、幸運にも生き延びていた。


「がぁ……ぐっ……」


 とはいえ、足が折れたのか地面に這いつくばって呻いている。これじゃ『生き延びた』というより『死にぞこなった』といった方が良いのかもしれない。落ちた瞬間に死んでいれば、これ以上苦痛を味わうことも、“こうして”私に殺されることもなかっただろうに。


「よっと」


 後追い自殺でもするかのように、私も窓から飛び降りた。当然のことながら自殺ではない。殺すのは自分ではなく地に伏した彼だ。


「ぐぼぉっ!!!」


 バキバキと骨が砕ける音がする。10メートル以上もの高さからの踏み付けは、人の命を奪うのに十分過ぎるくらいの威力があった。私は捻挫にすらならなかったが、彼は血反吐を吐いて痙攣した後、ぐったりと動かなくなった。


 これで終わった。総勢21名もの人間を殺し尽くした。きっとこんなことをしても姉さんは嬉しく思わないのだろうけれど、こうでもしなければ私の気が収まらなかった。そして、後に残るのは達成感と一抹の虚しさだけだった。


「あ……雨だ」


 ぽたぽたと、空から雨滴が落ちてくる。おかしいな、今日は降らない予報だったのに。しかしまぁ、大量に浴びた返り血が洗い流されるのでありがたい。


 これだけ派手に殺人を犯したので、既に通報はされているだろう。そうでなくても、捕まるのは時間の問題だ。私は逃げる気も抵抗する気もなかった。死体の上に座って、次第に強くなっていく雨足を肌で感じながら、ただ空を見上げていた。

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