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ジャンル・やかた  作者: あしゅ
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ジャンル・やかた 64

はあ・・・

余暇は引きこもろう、と思って寝室改造をするのに

その暇が取れなくなるハメになってんじゃねえよ!

 

アッシュは書斎で、電卓を前に頭を抱えていた。

ジジイのいらん采配で、余分な物は自腹扱いになってしまった。

経費だと思っていたからこその、ゲームハード全揃えであって

残り寿命でプレイしきれない量のソフトも買ってしまったのに。

 

もう全部注文しているので、キャンセルはどうだか。

てゆーか、キャンセルしたら、私のパラダイス台無しじゃん!

ぜってー、ノークレームノーリタ-ン! と、もう一度、電卓を叩く。

 

何行にもなる足し算を、アッシュがまともに計算できるわけがなく

3度やって3度とも違う合計数が出てきた日にゃ

どれが間違ってるのか、すべて間違ってるのかすら、見当が付かない。

英語どころか数学、いや算数も弱いアッシュは

全体的に薄らバカだという結論になるわけだ。

 

 

とてつもない巨額になりそうなのに、正確な数字がわからず

脳が発酵しているところに、リリーが入ってきた。

 

目の前に積み上げられた書類を読みもせず

やたらめったらサインをする。

 

「これ、自筆サインじゃなく、シャチハタじゃダメなんですかねー?」

いつもなら、そうゴネるアッシュが、黙々とペンを走らせるので

所在なさげに、リリーが机の上の明細書を手に取る。

 

「金策ですか?

 あの趣味の道具の数々は普通、経費扱いにはなりませんよ。

 考えなしな事をしましたね。

 諦めて貯金を崩したらどうですか?」

「・・・貯金、ないんですー。」

 

何に使ってるんですか、食費もいらないのに、と驚くリリーに

「日本の化粧品ですー。」

「ああー、メイド・イン・ジャパン、高いですよねえ。」

「・・・・・・・・・・」

 

沈黙に耐えかねて、またリリーが話し出す。

「だったら、主様の写真集とか出したらどうですか? ほほほ」

 

アッシュがペンを走らせながら、気がなさそうに答える。

「・・・要望があれば、水着までオッケー、とかー?

 ・・・んで、次は主様開運グッズとかですかねえー?」

「・・・くだらない話をしました・・・。

 申し訳ございません。」

 

いけないいけない、主様が言うようなたわごとを言ってしまったわ

主様が無口だと、どうも調子が狂ってしまう

自重せねば・・・、と、リリーは心底恥じた。

 

 

にしても、だったらどうやってお金を稼げば良いんだろう・・・

何でいつもこう、どこにいても何をしても、最終的には貧乏になるんやら。

サインをし終わり、グッタリと机につっ伏して

自業自得と呼ぶべき己の “不運” を呪っていた時だった。

 

あっっっ、そうだ!!!!!

 

引き出しをまさぐって、敷地内の地図を出して広げる。

ここで作ってる物をチョロまかして、ネットで売れば良いんだよ!

私ってどうして、こう天才なんやら。

 

 

そんなほぼ犯罪な目論みで、地図を見る内に疑問が生じた。

自分のいたらん手段にではない。 館の産業についてだ。

 

「ここ、結構な数の食物とかを作ってるけど

 それ、どっかに売ってるんですかあー?」

「そういうのは総務部の方に問い合わせてください。」

 

リリーがいつものリリーへと体勢を立て直し

相手にしてくれないので、総務部にダッシュした。

 

 

総務部ではアッシュが初めて話に来たので、全員直立不動になった。

構わずアッシュは熱心に質問をする。

 

その姿に、主様が自分たちの仕事に興味を持ってくださっている

と、部員たちが感動した矢先だった。

 

ひととおり話を聞いて、何となくだが理解できたアッシュは

ああ・・・盲点だった・・・

こんな基本中の基本をおろそかにしていたなんて

私のクソバカ野郎ーーーーーーーーっっっ!!!

と、心の中で叫び、無言で机に頭をゴンゴン打ち付けた。

総務部中が凍りついた。

 

総務部がアッシュの計画を知るのは、すぐ後の事で

それはアッシュにしては、珍しく良い企画ではあったのだが

その前に必ず、周囲の心にダメージを与える方式は控えた方が良いと思う。

 

 

その約1ヵ月後に、長老会は再びアッシュの特別会議開催の要請を受けた。

前回の会議は、ガックリと肩を落としたアッシュで幕切れになっていた。

 

間もなく寝室の改築工事が始まると聞く。

注文した品も、次々に館の倉庫に運び込まれているらしいので

メンバーの全員が、金の無心だろう、と予想していた。

 

そしてその推理は、ある意味当たっていた。

 

 


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