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わたしとビートと大怪獣さんの物語。  作者: 小空Q
第1章 ~はじまり~
3/70

マツダは嫌いか? いいえ、普通車が苦手なんです。


 結局、もういちどライフは車検を通し、2年が過ぎた。


 ――少しときは流れてむかえた2013年。


 法事で実家へ戻っていた私を、駅まで兄様がマツダの青いミッションのスポーツカー(名前知らない、ごめんなさい)で送ってくれていた。(※注3)

 どこまでクルマきなのか、兄様はマツダで開発の仕事をしていたりする。


「車、見つからない?」


「……うん」


「マツダは嫌いか?」


「普通車が苦手なの」


 助手席に座って、ガチャガチャとシフトレバーを操作する兄様の手をちらっと見つつ、私は溜息をついた。

 180万で恐れおののく私に普通車なんて絶対むり。


 歳の離れた従妹イトコたちや、おいめいも、とうとう免許を取って車に乗り始めた。全員もれなくミッション車。

 車探しを始めたからこそ感じる事だけど、一族いちぞく総出そうでで時代に逆行していると思った。


「マツダからも軽自動車は出てるけど、でも何でもいって思ったら、今のライフのままでもいかなって思えて」


「けどライフは限界ガタがきてるんだろ?」


「……うん、まあ」


 そもそもが父の御下がり。私の荒い運転と雑な整備。オイルやプラグの交換はおろか洗車もロクにしない。

 そのせいで限界が近づいている。


「でも私は思うの。車を大事にしないこんな人間に新車は勿体もったいないし、貧乏だし、ほんと10万円くらいの軽自動車がお似合いじゃない?」


「…………」


 兄様はしばらく口を開かなかった。

 駅が近づく頃、兄様はようやく喋った。


「いちど、新しくて綺麗な車に乗ってみたら変わるんじゃないかな」


「…………」


「新車なら大事にしようって思うだろうし、整備もマメにするようになるだろ」


 私は兄様から目を背けて「……どうかな」って心の中でつぶやいた。





注3)兄様が美化されてます。

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