【2:1:2】 アンドロ・グラッジ
【キャラクター】
アンドロイド【マヤ】…アラキ博士に作られたアンドロイド。グラッジやグラトニーと剣を持って戦う。
博士【アラキ】……マヤの製作者、グラッジに家族を殺されている。
男性【ユウマ】……グラッジに襲われてる所をマヤに助けられる。事故で記憶を無くしている。
研究者……アラキの助手。事故後に研究所へ入社した。
グラッジ……人の魂を喰らい、グラトニーにする。
モブ……悪魔に襲われている一般人。研究者と兼役。
グラトニー……悪魔に魂を売った人間の成れの果て恨みの感情で人間を食らう。悪魔と兼役。
【配役】
マヤ♀:
アラキ♂:
ユウマ♂:
研究者、モブ♀♂:
グラッジ、グラトニー♀♂:
【本編】
マヤM:私は、目覚めた。闇が世界を覆うそんな日に。
ー間
アラキ:おはよう。気分はどうだい?
研究者:脳波、感情メーター共に異常なし。
マヤ:……ここは。
アラキ:私の研究所だ。君はマヤ。戦闘用アンドロイドだ。
マヤ:戦闘用、アンドロイド。
アラキ:そう。君は、これからグラッジと戦う。
マヤ:グラッジ?
研究者:グラッジは悪魔のようなもの。人はグラッジの誘いにつられ、心を売ってしまう。
アラキ:グラッジに心を売った者はグラトニーとなり、二度と人間には戻れない。
研究者:私たちは、グラッジを滅するために集められ、そして、あなたを作った。
アラキ:マヤ、君の力が必要だ。力を貸してくれ。
ユウマ:アンドロ・グラッジ(タイトルコール)
ー夜。風の音。とあるビルの屋上から地上を眺めているマヤ
マヤM:アンドロイドとして生まれて、数ヶ月が経つ。人間と同じ生活をし、グラトニーの討伐をする日々が続く。ただ1つ、気になることがあるとすれば、夢を見る度に、男の子が出てくる。あれは、誰なのだろうか。
ー遠くから誰かの叫ぶ声が聞こえる
モブ:う、うわぁぁぁ!
マヤ:……っ!
ーモブ、グラトニーに襲われている
モブ:や、やめろ……。来るな、来るなあああっ!
グラトニー:ヴァアァ!!
マヤ:はあああっ!
ーマヤ、グラトニーを刺す
マヤ:大丈夫か?
モブ:……。
グラトニー:う、ググ……..。
マヤ:まだ生きて……っ!
グラトニー:ヴァアアアア!!!
マヤ:クソっ!
ーグラトニー、マヤにトドメを刺され、灰のように消える
マヤ:おい!生きてるか?
モブ:……。
マヤ:ダメだったか。すまない。
マヤM:グラトニーを倒しても何も変わらない。グラッジを仕留めなければ、これからも被害が増えていく一方だ。
ーアラキからの通信
アラキ:あー。マヤ、聞こえるかい?
マヤ:アラキ博士。
アラキ:グラトニーが大量発生し、街中を荒らしているらしい。行ってくれるかい?
マヤ:わかった。
ー街中。マヤ、グラトニーと戦闘中
グラトニー:ヴァアアア…!
マヤ:くっ、こんなに多いなんて……聞いてないぞっ!
グラトニー:ヴァアアア!
マヤ:クソがァっ!
グラトニー:ヴゥ。
マヤ:これで、終わりか。
ー遠くから、男の子の叫ぶ声
ユウマ:うわぁぁぁっ!
マヤ:チッ。あっちもか。
ーマヤ、走って声の方へ向かう
ーユウマ、悪魔に追い詰められている
ユウマ:……っ!
グラッジ:お前、弱そうだな。
ユウマ:う、うるさい!
グラッジ:そうやって、今までも逃げてきたんだろ?
ユウマ:……っ。
グラッジ:周りの声から逃げて、自分を守ろうと殻に閉じこもって。
ユウマ:黙れ!!
グラッジ:そんな自分、変えたいと思わないのかい?
ユウマ:……っ。
グラッジ:オレと契約をすれば、そんな弱い心、すぐに無くせるぞ?
ユウマ:……えっ。
グラッジ:オマエに力を授けよう。
ユウマ:ほ、本当か?
グラッジ:あぁ。
ユウマ:強くなれるのか。
グラッジ:変えたいか?弱い自分を。
ユウマ:……変えたい。
グラッジ:フフ、そうか!なら、お前の願い叶えてやろう!!対価として、オマエの魂を。
マヤ:させるかぁ!
ーマヤ、グラッジに切りかかる
ーグラッジ、マヤの攻撃を避ける
グラッジ:っと。グラッジに対抗できる人間がいたとはな。
マヤ:お前がグラッジか。今、ぶっ潰してやる。
グラッジ:おぉ、怖い。
マヤ:アンタ、大丈夫か?
ユウマ:僕は、平気です。
マヤ:グラッジなんかの口車に乗るなよ。グラトニーになりてぇのか?
ユウマ:……っ。
グラッジ:あーぁ。どうしてくれんのさ!オレの食事ぃ!!
マヤ:お前に食わせる魂はないっ!
グラッジ:あと、もう少しだったのになぁ。
マヤ:うぉおおおっ!
ーマヤ、グラッジに切りかかる
ーグラッジ、攻撃をガードする
グラッジ:っ!いいなぁ。そのお前の強さ!
マヤ:余裕ぶっこいてンのも、今のうちだぞッ!
グラッジ:ぐわあっ!
マヤ:ほらな。
グラッジ:クソっ!人間ごときがッ!
マヤ:言っとくが、私は人間じゃねぇ。アンドロイドだ。
グラッジ:アンドロイド?
マヤ:お前たち、グラッジを滅するアンドロイドだよッ!
グラッジ:よっ、と!へぇ、面白いね。
マヤ:すばしっこいヤツめ。
グラッジ:やーめた!魂食えないならいいや。
マヤ:まて!!
グラッジ:じゃあね、アンドロイドさん!
ーグラッジ、どこかへ飛んでいく
ーアラキからの通信
アラキ:マヤ!グラッジと接触したのを確認したが、大丈夫か?
マヤ:あぁ。だが、逃げられた。
アラキ:そうか。無事で何よりだ。今の戦闘で、少しだがデータが取れた。ありがとう、マヤ。
マヤ:グラッジを減らすには、情報がもっと欲しい。
アラキ:こちらでも、グラッジについてもう少し調べてみるよ。
マヤ:頼む。
アラキ:では、研究所で待ってるよ。
ーアラキからの連絡が途絶える
ユウマ:あ、あの……。
マヤ:あぁ、大丈夫か?
ユウマ:助けてくれて、ありがとうございました。
マヤ:礼はいい。仕事だから。
ユウマ:……あの、名前を聞いても?
マヤ:なんで?
ユウマ:い、命の恩人だから。
マヤ:……マヤ。
ユウマ:マヤ…さん。
マヤ:さんは、いらない。マヤでいい。
ユウマ:ふふ、ありがとう、マヤ!
マヤ:……キミ、は?
ーマヤ、ふらつき突然倒れ込む
ユウマ:マヤ?マヤ!!!
ーマヤの夢。壊れかけの研究所内
マヤ:父さん!■■■!どこにいるさ!!
アラキ:マヤ!ここにいたのか。
マヤ:私は、大丈夫。
アラキ:そうか、良かった。早くここから出よう。
マヤ:待って!■■■が!■■■がいないの!
アラキ:ここも時期に崩れてしまう。その前に先に出るんだ!
マヤ:でも!
アラキ:マヤ!お前は、父さんの大切な子どもだ。
マヤ:私が父さんにとって、大切なのは分かってるよ!でも、■■■を見つけないと!
アラキ:マヤ!!
ーマヤ、■■■を探す
マヤM:これは……夢?
ーユウマ宅。マヤ、ベッドに寝ている
マヤ:ん……。
ユウマ:マヤ?
マヤ:君は。
ユウマ:僕はユウマ。さっきは、助けてくれてありがとう。
マヤ:あぁ、そうか。私は、戦闘後に。
ユウマ:体調は、どう?
マヤ:大丈夫。ありがとう。
ユウマ:まだ動かない方がいいよ!
マヤ:このくらい平気だ。
ユウマ:ダメだって!
マヤ:平気だ。
ユウマ:ダメ!
マヤ:私は、アンドロイドなの。アンタと違って頑丈なんだ。
ユウマ:へ?アンド、ロイド……?
マヤ:そう。だから、体は修復できる。
ユウマ:そう、なんだ。
マヤ:世話になった。
ユウマ:どこに行くの?
マヤ:帰るんだよ。
ユウマ:帰る?
マヤ:研究所に帰る。
ユウマ:マヤは、またグラッジと戦うの?
マヤ:あぁ。
ユウマ:ダメだよ!それじゃ、またマヤが死んじゃう!
マヤ:また?
ユウマ:あれ?どうして、僕。
マヤ:……。
ユウマ:あはは。僕もグラッジに会っておかしくなってるのかも。キミと会うのは、初めてなのに。
マヤ:アンタも休んだ方がいい。
ユウマ:……そうだね。
マヤ:……。
ユウマ:……。
マヤ:……わかった。アンタがゆっくり休めるように一晩だけいてやる。
ユウマ:えっ。
マヤ:だから、一晩だけいてやるって言ってんの。
ユウマ:いいの?
マヤ:グラッジと接触した後だ。不安定になるのも仕方ない。ただし、明日には帰るからな。
ユウマ:ありがとう。マヤは優しいね。
マヤM:なぜだか、分からない。でも今は、ユウマを一人にしては行けないとそう思ってしまった。
ー研究所内。アラキ、PCとにらめっこをし、データを解析中。
アラキ:……ふむ、グラッジは、人の心を奪うために。
研究者:アラキ博士。
アラキ:君か、お疲れ。
研究者:お疲れ様です。新しい研究データですか?
アラキ:あぁ。マヤがグラッジと戦った。
研究者:グラッジと?
アラキ:データはあまり取れなかったが、それでもいい収穫だ。
研究者:そうなんですね。
アラキ:これで、グラッジ討伐に一歩近づけた。しかし時間が無い、早くしなければ。
研究者:博士は。
アラキ:ん?
研究者:博士は、どうしてグラッジを?
アラキ:あぁ……。僕はね、グラッジに家族を殺されたんだ。
研究者:えっ?
アラキ:あれは、5年前だったかな。研究所がグラッジに襲われた。
研究者:襲われた?
アラキ:研究所は爆破され、跡形もなくなった。その日は家族が遊びに来ていたんだが、助かったのは私と息子と数人の研究員だけだった。
研究者:……。
アラキ:私は、グラッジが許せなかった。グラッジに復讐せねばと……。
研究者:……。
アラキ:そして、私は新しい研究所でアンドロイドを作った。
研究者:あのアンドロイドは。
アラキ:あの時亡くなった娘が忘れられなくてね。娘の記憶をインプットさせて作ったアンドロイドなのさ。
研究者:そうだったんですね。
アラキ:すまない。こんな昔話をするつもりはなかったんだかな。
研究者:いえいえ。辛かったですよね。
アラキ:分かってくれるか。
研究者:えぇ。……でも、変ですね。
アラキ:え?
研究者:グラッジは、元々人の心に存在し、現実には存在しなかった。
アラキ:……。
研究者:心の闇、それがグラッジの正体。
アラキ:なぜ、それを……?!
研究者:あなたは人の心の闇を抜き取り、グラッジとして具現化していた。
アラキ:私は、心の闇を研究し、世の中のために!
研究者:世の中のために、グラッジを作った?
アラキ:そうだ!
研究者:今やグラッジは世界を壊している。
アラキ:……っ!
研究者:博士の失態が世界を巻き込んでいる。それを復讐?
アラキ:お、お前は、誰なんだ!!
研究者:私?私は……。
ーマヤ、夢の中
マヤ:君は……。ねぇ、待って。行かないで!お願い、待って!
ーマヤ、目が覚める。
ユウマ:マヤ?
マヤ:……はぁ……はぁ……。
ユウマ:マヤ、おはよう。大丈夫?
マヤ:大丈夫。
ユウマ:ほんとに?
マヤ:平気だ。
ユウマ:そっか。
マヤ:……。
ユウマ:パンケーキ作ったけど、マヤは食べる?あーでも、アンドロイドだから、人間のものは食べないのかな。でも、2人前作っちゃったし、一人で食べきれ。
マヤ:私も、食べる。
ユウマ:えっ?!マヤ、食べれるの?
マヤ:うん。お腹空いた。
ユウマ:良かった!じゃあ、一緒に食べよう!
マヤ:ふふっ。
ユウマ:え?なんで笑ってるの?
マヤ:いや、ユウマが子どもみたいに無邪気にはしゃいでるから。
ユウマ:え?そんなことないよ!子どもじゃないし!
マヤ:そう?
ユウマ:そうだよ!!
マヤ:ふふ。
マヤM:なんだろう。この懐かしい感じは。とても、暖かい気持ちになる。
ー間
マヤ:世話になった。
ユウマ:こちらこそ、助けてもらった恩返しができて良かった。
マヤ:助けたなんて、私は何も。
ユウマ:マヤ。また会えるかな?
マヤ:どうして?
ユウマ:なんだか、マヤといると心地いいんだ。
マヤ:そうか。
ユウマ:だから、またこうやって会いたいなって。
マヤ:……また、くるよ。
ユウマ:ほんと?!
マヤ:あぁ。約束する。
ユウマ:次は、もっと美味しいの作ろうかな!
マヤ:呑気なやつだな。
ユウマ:人生楽しく生きていかなくちゃ!
マヤ:ふふ。……じゃあ、また。
ユウマ:うん。マヤ!無理しないでね!
マヤ:あぁ。
マヤM:みんなが、ああやって笑顔で過ごせるように、早くグラッジをぶっ潰さないと。
ー研究所内、荒らされている
マヤ:ただいまー。って……なにこれ。
グラッジ:おやおや、アンドロイドのおじょーさんじゃないかぁ。
マヤ:お前は、あの時のグラッジ!
グラッジ:覚えていてくれたのかい?嬉しいなぁ。
マヤ:お前が研究所のみんなを?!
グラッジ:半分正解で、半分ハズレ。
マヤ:なに?
グラッジ:オレはただ、手伝っただけ。
マヤ:手伝った?
グラッジ:オレの仲魔から、お誘いを受けたのさ。
マヤ:仲魔…?
グラッジ:あ、そうそう!お前を作った博士は、今頃仲魔たちと楽しく遊んでいる頃じゃないかなぁ!
マヤ:クソが。
グラッジ:おお、怖い。
マヤ:今日こそ、お前を倒す。
グラッジ:あの時、何も出来なかったお前が?
マヤ:うるせぇ。
グラッジ:あれま、すごい殺気。
マヤ:容赦は、しないっ!!!
グラッジ:うわっ、いきなり切りかかるなんて酷いなぁ。
マヤ:余裕ぶっこいてるお前が悪いんだろ?
グラッジ:機械のくせに、生意気だゾッ!
マヤ:消えた?!
グラッジ:う・し・ろっ!
マヤ:ぐっ!
グラッジ:アヒャヒャヒャ!弱い弱い!!
マヤ:……っ。
グラッジ:こんなもんで終わりぃ?アンドロイドってそんなに弱いンだぁ。
マヤ:うるせぇ!!
グラッジ:イヒヒヒヒ。
マヤ:チッ。
グラッジ:そんなんで世界を救おうなんて、馬鹿げた話だよなぁ。
マヤ:お前に何がわかる。
グラッジ:ちーっともわかんないねぇ。けどさぁ、その正義感には虫唾が走るんだっ!
マヤ:くっ…。
グラッジ:アンドロイドのお前は、人間に飼われている。家畜と同じ。イヒヒ。
マヤ:違う!
グラッジ:気に触ったか?攻撃が荒くなっているぞ?
マヤ:……。
グラッジ:そんなにイライラしてるとさぁ。
マヤ:っ!
グラッジ:隙、突かれちゃうよ?
マヤ:ぐわあっ!!
グラッジ:アヒャヒャヒャヒャ!弱い弱い!アンドロイドなんてただの機械。
マヤ:くっ……。
グラッジ:痛い?苦しい?ヒヒヒ。じゃあ、これはっ?!
マヤ:うわああああっ…!
グラッジ:痛そうだねぇ。アンドロイドにも、痛覚があるんだぁ。
マヤ:クソ…がっ……。
グラッジ:まだそんなこと言うの?悲しいなぁ。あぁ、その口も壊そうか?
マヤ:くっ……。
グラッジ:イヒヒ。今日はしないでおくよォ。美味しい魂たくさん食べてオレ、もう満足しちゃったし!あぁ。でも、デザートが欲しいなぁ…。帰りに子どもの魂でも食べて帰ろっかなァ!
マヤ:……っ。
ーマヤ、フラフラと立ち上がる
グラッジ:アンドロイドのおじょーさん、無理しちゃダメだよ?
マヤ:……。
グラッジ:んぁ?黙り込んじゃってどーしたの?
マヤ:お前に魂は、もう食わせない!
ーマヤ、グラッジを一突きする
グラッジ:かはっ……!痛い、痛いぃいい!そんな…そんなぁ……!オレの方が強いのに。なんで……なんで!!
マヤ:……っ。
グラッジ:クソアンドロイド!!機械のくせに!
マヤ:私はお前を許さない。
グラッジ:クソ、クソクソクソ!!魂……魂が足りないぃいい!!
ーグラッジ。魂を求め、研究所の奥へ
ーマヤ、戦闘のキズでグラッジを追いかけられず、倒れかける
マヤ:待て!くっ、早く行かないと。
ー研究所奥。
ーアラキ、研究者にボロボロにされ、壁に磔になっている。
アラキ:く……っ。
研究者:博士、どうです?遊ばれる気分は。
アラキ:……。
研究者:あぁ、何も言えないですか?
アラキ:……っ。
研究者:やはり、人間は無力です。心の闇に犯されて、絶望する。
アラキ:……クソっ。
研究者:苦痛と不安と絶望に満ちた顔。博士、とてもいい顔をしてますよ。このまま、食べてしまいたいくらいに。
グラッジ:魂……魂っ!!
研究者:おや、アナタですか。
グラッジ:絶望した美味そうな匂い……。
研究者:これは、私の獲物です。
グラッジ:オレにもよこせ!
研究者:あなたは、他の研究員をたらふく食べたのでしょう?
グラッジ:オレには、魂が必要なんだっ!
研究者:もしかして、やられました?
グラッジ:くっ……!
研究者:所詮は出来損ない。アンドロイドごときに負傷するなんて。
グラッジ:うるせぇ!
研究者:口の利き方を慎みなさい。
グラッジ:うるせーんだよ!
研究者:慎めと言うのが分からないのか……っ!
グラッジ:ぐはっ!
研究者:お前はもう用済みよ。
グラッジ:や、やめろ!やめろ!!
研究者:ふんっ!
グラッジ:うわああああっ!
ー研究者、グラッジの魂を抜き取り、食す
ーグラッジ、灰となり消えていく
研究者:……やはり、グラッジの魂は美味しいものでは無いですね。
マヤ:博士!
アラキ:マヤ……。
研究者:あら、マヤさん。おかえりなさい。だいぶ、ボロボロですね。安心してください。あのグラッジならもういないですよ。
マヤ:なに?
研究者:私が食べちゃいましたから。
マヤ:食べた?
研究者:えぇ、人間の魂とは違って美味しいものではありませんでしたが。
マヤ:お前もグラッジか。
研究者:ずっと気付いていなかったのですね。意外です。
マヤ:他の人間とはオーラが違うとは思っていたが。
研究者:まぁ、アンドロイドなんて所詮作られたもの。気付かなくてもしょうがないです。
マヤ:……。
研究者:ただ、これ以上あなたに動かれると迷惑なんですよね。
マヤ:迷惑?
研究者:これからは、私たちグラッジがこの世界を支配する。人を家畜のように育て食す。
マヤ:……っ!
研究者: そのためにはあなたの存在が邪魔なのです。
アラキ:マヤ。ダメだ、逃げろ!
研究者:人間はどうして、お互いを助け合おうとするんですかね。笑えてきます。……そうだ。マヤさんは知ってますか?グラッジの正体。
マヤ:グラッジの正体?
研究者:アラキ博士からは、聞いてないですよね?
アラキ:……やめ、ろっ。
研究者:私たちグラッジは、人間の心の闇です。
マヤ:心の闇?
研究者:この世界の全てのグラッジが、アラキ博士の手によって、生成されたもの。
マヤ:……。
研究者:私は、最初に生まれたグラッジ。
マヤ:博士が、グラッジを……?
研究者:ねぇ、博士。一番最初のグラッジは、誰の心の闇か覚えていますか?
アラキ:……っ。
研究者:答えてくださいよっ!
ー研究者、アラキの脇腹を攻撃する
アラキ:ぐっ……!
マヤ:博士っ!
研究者:マヤさんは、手出ししないでくださいね。じゃないと博士の命はありません。
マヤ:くっ……。
研究者:ねぇ、博士?答えてくださいよ。私が誰なのか。
ー長い間
アラキ:娘の、マヤだ。
マヤ:……私と、同じ名前?
研究者:マヤさん、そろそろ思い出したらどうです?
マヤ:なにを。
研究者:人間だった頃の記憶を。
マヤ:私は、アンドロイドだ。
研究者:本当は覚えてるでしょう?
ーユウマ、自室にて
ユウマM:マヤが帰ってから、胸騒ぎがする。マヤに何かが起こっている。
ユウマ:いこう。マヤのところへ。
ー研究所奥
マヤ:私が、人間……?
研究者:そう。5年前、グラッジが研究所を襲い、あなたは死んだ。
マヤ:じゃあ、夢に出てくるあれは。
研究者:人間の頃の記憶。
マヤ:そんな。
研究者:私は、あなたの心の闇。
マヤ:私の、心の闇。
研究者:私とあなたは一心同体だった。
マヤ:……そうやって、私を陥れる気か?
研究者:陥れる?違う。あなたに真実をつたえているだけ。
マヤ:真実を伝えてどうする。
研究者:私は、あなたが欲しい。
マヤ:私?
研究者:今やグラッジは、世界を覆う。私は元の私となり、グラッジの王となるのです!
マヤ:……っ!
研究者:あぁ。拒否したら、博士の魂は私がいただきます。
アラキ:私は大丈夫だ。マヤ、グラッジの話を聞いてはいけない!
マヤ:……アンタに従えば、博士は助かるんだな?
研究者:えぇ。博士には、私が王になるお手伝いをしていただきます。
アラキ:マヤ、ダメだっ!
研究者:博士は、黙っていてくださいっ!
ー研究者、アラキの首の急所を殴る
アラキ:ぐあっ……。
マヤ:博士!!お前、何を!
研究者:少し眠ってもらっただけです。さぁ、どうするんです?
ー間
マヤ:わかった。ただ一つだけ、条件がある。
研究者:条件?
マヤ:……博士ともう1人、ユウマってヤツを見逃して欲しい。
研究者:ユウマ……ですか。しょうがないですね。人間1匹くらい大目に見ましょう。では、マヤ。私の前へ。
マヤ:……。
研究者:魂の共鳴を!
ー研究者、マヤに向かって闇のパワーを発する
マヤ:ぐっ……っ!
研究者:闇を受け入れるのです。
マヤ:あああぁっ!!
ーマヤ、回想。
ユウマ:ねぇ、もし世界にグラトニーやグラッジがいなかったら、どんな世界なのかな。
マヤ:どんな世界?
ユウマ:うん。この本のように、花や木が綺麗に咲いて、動物たちが豊かに生きて、人間が普通の暮らしをしているのかな。
マヤ:私には、わかんないや。
ユウマ:マヤは、本が苦手だもんね。
マヤ:細かい文字を見てると、こう、なんだか目が……。
ユウマ:ふふ、マヤらしいや。
マヤ:うるせぇ。
ユウマ:でも、そんな世界になったらいいのにね。
マヤ:そうだね。
ユウマ:グラッジがくるまでは、そんな世界だったのかな。
マヤ:さぁな。
ー回想終了
ーマヤ、ガクッと膝をつく
マヤM:あぁ、思い出した。なんで気づかなかったんだろう。大切な弟だったのに。ごめんね。ユウマ。
ユウマ:父さん!マヤ!!
マヤ:……。
研究者:おや、来たのですか。
ユウマ:グラッジ!お前、マヤに何を!!
研究者:今から、私たちはひとつになるのです。
ユウマ:ひとつになる?ふざけたこといってんじゃねぇ!うぉおおおおお!!
ーユウマ、研究者に体当たりしようとする
ー研究者、ユウマを吹き飛ばす
研究者:せっかく、お姉ちゃんが助けてくれようとしたのに!
ユウマ:ぐわっ!
研究者:所詮、人間。弱いものですね。
マヤ:……手を出すなと、言っただろう。
研究者:ん?
マヤ:私の家族に、手を出すなと言っただろ!!
研究者:ぐっ……魂の共鳴が、拒絶されている。
マヤ:元々、グラッジは信用してなかったが。
研究者:や、やめろ。
マヤ:私は、お前を許せなくなった!
研究者:クソっ。拒絶どころか、私を飲み込もうと?!
マヤ:なぁ。アンタは、私なんだろう?
研究者:離れ……っ!
マヤ:なら、私が取り込んでやる。
研究者:やめろっ!
マヤ:アンタの力を取り込んで、私が世界を救う!
研究者:うわあああああああっ!!!!
マヤ:ぐっ……っ。
ーマヤ、その場で蹲る
マヤ:かはっ……。ぐっ……私の闇だ。言うことを聞け。
ユウマ:マヤ!!
マヤ:はぁ……はぁ……。大、丈夫。
ユウマ:無茶し過ぎ。
マヤ:また大切な家族を失うのは、嫌だったから。
ユウマ:マヤ、僕も思い出したよ。
マヤ:私もだ。
ー数日後、研究所内
アラキ:よし、修復完了だ。
マヤ:ありがとう、父さん。
アラキ:……マヤ、すまなかった。
マヤ:え?
アラキ:私が研究に没頭したために、お前たち家族を巻き込んでしまった。本当にすまない。
マヤ:……父さんしたことは許されないことかもしれない。でも、今は自分の過ちと向き合っている。それは凄いことなんじゃないかな。
アラキ:マヤ……。
マヤ:父さんは凄いよ。
アラキ:……っ。
マヤ:私はアンドロイドになっても父さんの味方だ。
ーユウマ、研究室に入ってくる
ユウマ:僕も父さんの味方だよ。
アラキ:ユウマ……!
ユウマ:父さん、僕思い出したんだ。家族のこと。ずっと見ないふりをして、辛いのは僕だけだって。でも、父さんも辛かったんだよね。
アラキ:一人にさせてしまって、すまない。
ユウマ:父さん、僕も父さんの研究、手伝っていい?
アラキ:えっ?
ユウマ:僕はマヤみたいに戦ったりは出来ないけど、父さんと一緒に研究することは出来る。それに、マヤのサポートもできる。
マヤ:ユウマのサポートか、それは頼もしいな。
ユウマ:マヤもこう言ってるし、どうかな。
アラキ:しかし……。
マヤ:まさか、自分の失態にまた家族を巻き込んでしまうのか。なんて考えてる?
アラキ:……っ!
マヤ:父さん、アタマ固すぎ。
ユウマ:家族だからこそ、支えたいんだ。
ー間
アラキ:……分かった。今日から、ビシバシ教えていくからな!
ユウマ:そう来なくちゃ!
マヤ:頼もしいサポートたちだな。
アラキ:マヤ、ユウマ、本当にありがとう。頼りにしているぞ。
マヤM:グラッジは、今もどこかで魂を食い荒らしている。私は、これからも家族と共にグラッジを倒していく。世界を救うその日まで。




