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09

「しかし、急になんでそんな事を聞くんだい?」


「え? あぁいや……別に……ただの気まぐれですよ」


「………まさかと思うけど……君……胡桃の事を……」


 胡桃ちゃんのお父さんは鋭い目つきで俺を睨んでくる。

 怖い……きっと蛇に睨まれた時のカエルはこんな気持ちなんだろう。

 

「そ、そんな訳無いじゃないですか~、俺みたいな醜男、胡桃ちゃんに相手にすらされませんよぉ~」


「あぁ、確かにそうだね、明嶋君不細工だし、うちの娘がこんな不細工の相手するわけないしね」


「自分で言っておいてなんだけど、店長がそれを言うとムカつくな……」


「あはは、ごめんごめん、怖がらせてしまったねぇ、後でコーヒー奢るから許してくれよ」


「まぁ良いですけど……」


 俺がそう言うと、店長は事務仕事をしてくると店の奥に引っ込んでしまった。

 店内には人も居なくなり、店には俺と胡桃ちゃんの二人きり。

 気まずい……何を話して良いか分からない。

「明嶋さん」


「は、はい!!」


 俺がそんな事を考えていると、胡桃ちゃんが後ろから声を掛けてきた。


「なんでそんな驚いてるんですか?」


「い、いや……別に……」


 なんで今日の胡桃ちゃんはこんなにニコニコしてるんだ……。

 その笑顔が逆に怖い。

 

「お客さん居なくて、今日は暇ですねぇ~」


「そ、そうだね……平日だしね」


「そうですねぇ……ところで明嶋さん」


「な、なんだい?」


「学校であのメス共に何もされてませんよね?」


「メス共!?」


 今までの胡桃ちゃんからは考えられない単語が出てきた……。

 

「え、えっと……それって会長や水鏡の事を言ってる?」


「はい、何も無かったですか?」


「いや……有るわけ……」


「無かったんですか?」


「あぁ……いや……」


 まぁ、会ったと言えば……会ったけど……。 無かったと言えば無かったし……ど、どう答えたら良いだろうか?


「無かったですよね?」


 もうなんか、同じ言葉しか言わないし……胡桃ちゃん怖い……。


「な、無いよ! 有るわけ無いじゃん! 学校だよ?」


「そうですか……良かったですね先輩、まだ今日は生きて居られますよ」


「どういう意味!?」


 いつものあの胡桃ちゃんはどこに……。

 今日の胡桃ちゃんからはなんだか、黒いオーラみたいなものが出てる気がする。

 

「明嶋さん!」


「は、はい……」


「お父さんに昨日の話しをしたら……お父さん何をするでしょうかねぇ?」


 ま、まさかこんなわかりやすく脅してくるなんて……。


「な、何が目的だ……」


「まぁまぁ、そんなに警戒しないでくださいよぉ~、私はそんな嫌な女じゃないですからぁ~」


「わかりやすく脅してきたくせに……」


「おとーさーん!」


「わぁぁぁぁぁ!!」


 や、ヤバイ!!

 一つ間違えば俺は殺される(店長に)!! 

「はぁ……はぁ……そ、それで……な、何か話しが有るんじゃないの?」


「はい、実は映画のチケットがありましてね……公開日が今週の土曜日なんですよぉー」


「……それで?」


「デートしましょ!」


 笑顔でそう言う胡桃ちゃん、これは断ったらまたお父さん(鬼)を呼ばれてしまう……。 確実にうんと言わせることの出来るこの状況で言ってきたな……。


「……わ、分かった……多分土曜日は何も無かったかた良いよ」


「やったー! 初デートですね!!」


「そ、そんな大きい声を出さないで!!」


 もしこんな事が店長(殺人鬼)に聞かれたら、俺は明日の朝日を拝めなくなってしまう。

「大丈夫ですよ、事務所からは厨房の音は聞こえませんから」


「そ、それでも怖いよ……」


「うふふ……明嶋さん」


「なんだい?」


「私……欲しい物は絶対に手に入れる派の人間なので、覚悟して下さいね」


「あぁ、確かに覚悟は必要そうだね……」


 死と隣り合わせだからな……。

 てか、もし胡桃ちゃんを選んだとしても俺は店長に殺されるんじゃないか? 

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