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07



 放課後、俺は会長に呼ばれていたので生徒会室に向かった。

 会長は昨日の事を気にしているようで、朝から積極的だ。

 生徒会室では何もして来ないと良いのだが……。


「失礼します」


 俺は生徒会室のドアをノックし、部屋の中に入る。

 しかし、中に会長はいなかった。

 代わりに、会長以外の他の生徒会の人たちがいた。


「あぁ、明嶋君いつもすまないねぇ」


「いえ、自分は全然」


 俺に声を掛けてきたのは副会長の石山さんだ。

 三年生の先輩で落ち着いた感じの男の人だ。 生徒会選挙で会長と接戦を繰り広げ、惜しいところで負けてしまった人でもある。

 負けてはしまったが、石山さんは頭も良く人望もあり、この学校では会長と並ぶほどの実力を持っている。

 かく言う俺もこの人にはかなりお世話になっている。


「君も大変だね」


「え? 何がですか?」


「色々噂が流れてきてるよ、君が会長の弱みを握って脅してるって」


「なんでそんなことに……」


「君も大変だね」


「あはは……石山さんは知ってたんですか? その……会長の気持ち……」


「あぁ、もちろん。この生徒会のメンバーはみんな知ってたからね」


「え!? 何故!?」


「いや、会長結構分かり安いから……」


 そう石山さんが言った瞬間、他の生徒会の人たちがうんうんと首を縦に振る。


「まぁ、色々大変だと思うけど、会長の事真面目に考えてあげてよ、君も知ってると思うけど会長はいい人だから」


「ま、まぁ……それは自分も分かっては居るのですが……」


 まさか会長以外にも二人からアプローチされてるなんて言えないしなぁ……。

 俺がそんな事を考えていると、生徒会室のドアが開き会長がやってきた。


「あぁ、貴霞君。もう来てたのね」


「あ……ど、どうも会長」


「じゃあ、さっそく私と生徒会の倉庫の整理に行きましょうか」


「え? あ、はい……分かりました」


 まさか会長と二人きりで倉庫整理だなんて……何も無いと良いのだが。

 石山さんは俺に手を合わせて「よろしくね」と言っているような感じだった。


「まぁ、倉庫整理といってもすこしづつ何回かに分けて行おうと思ってるんだ、だからそこまで時間は掛からないから安心してね」


「は、はい……それは良いんですけど……あの……」


「何かしら?」


「なんか……近く無いですか?」


 倉庫に向かう途中、会長は俺の横にぴったりとくっついていた。

 

「そんな事は無いわよ、普通よ」


「いや、普通の男女はこんなにパーソナルスペースは近くないと思いますが……」


「大丈夫よ、私たちは普通の男女の関係じゃないんだから」


「その意味深な言い方やめて貰えませんか? 更なる誤解を招くので」


「大丈夫よ、その方が好都合だわ」


「俺にとっては大問題なんですが……」


 俺と会長はそんな話しをしながら、倉庫に向かった。

 生徒会の倉庫は生徒会室から少し離れた空き教室だ。

 中には今までの生徒会の活動の記録や、生徒会で使用した小道具なんかが仕舞われている。


「倉庫も定期的に整理しないと、直ぐにいっぱいになっちゃうのよ」


「まぁ、それはそうですよね……生徒会日誌は毎年増えますし」


「日誌なんかもパソコンで管理すれば、こんな倉庫整理なんて必要無いんだけどね」


「まぁ、まだそう言う時代じゃないって事ですね……」


 俺がそう言って倉庫の中に入ると、会長も続いて倉庫の中に入った。

 ガチャリ。

 ん?

 今何か鍵の掛かる音が聞こえたような?


「え? 会長?」


「何かしら?」


「今鍵を……」


「さぁ、整理を始めましょう」


「え? あ……はい」


 会長なんか誤魔化さなかったか?

 ま、まぁ会長に限ってそんな事をするわけないか……。

 俺はそんな事を考えながら、倉庫の整理を始めたする。

 倉庫の整理は会長の言うとおり、すこしで終わった。

 確かに整理する量が多く、一日では終わりそうにない。

 これは確かに少しづつやっていくしかないな……。

 なんて事を俺が考えていると、突然背後に柔らかい感触を感じた。


「え……あ、あの……会長?」


「やっと………二人きりね……」


 え?

 何!?

 会長が抱きついてきた!?

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