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04

「ま、待て! 急にどうしたんだよ! 落ち着けって……」


 俺が昨日の話しをすると、大成は急に声を上げて俺にそう言い始めた。


「お前はぁ~……水鏡だけでは飽き足らず! 生徒会長やバイト先の女の子にまで手を出したのか!!」


「いや、俺は別に何も……」


「やかましい!! こっちはいつになったら水鏡とくっつくのかイライラさせられてたってのに!」


「そ、そうだったのか?」


「あぁそうだよ! それがなんだ!? 同時に三人? しかも全員美少女? てめぇはどこのラブコメ漫画の主人公だ!!」


「わ、悪い……なんかごめんな……」


「うるせぇ! 謝んじゃねぇ!! 俺が惨めになってくる……」


 大成はそう言うと、そのまま壁に頭をつけ、凹んでしまった。

 怒ったり凹んだり忙しい奴だ……。

 まぁ、大成が言いたいのは要するに「なんでお前だけモテるんだよ!」って事だろうな……。


「で、でも俺だって困ってるんだ、頼むよ! 相談に乗ってくれ!」


「馬鹿野郎!! お前なんか今日から友達でも何でもねぇ! お前なんて……お前なんて……今日から俺の敵だぁぁぁぁぁ!!」


「あ、おい!」


 大成はそう言うと、その場から走り去ってしまった。

 結局俺は大成に昨日の事を話しただけになってしまった。

 しかも、俺の敵になるとかわけの分からないことまで言われてしまったし……。


「はぁ……なんなんだまったく……」


 俺は大成が走り去った後、自分の教室に向かって歩き始めた。

 そして、教室付いてドアを開けた瞬間だった。

 

「………」


「……っち……」


「…………クソが……」


 なんか空気悪くね……。


「お、おはよう……」


「………」


 無視!?

 入学してからこんな事無かったのに!!

 しかも全員!?

 い、一体何があったと言うんだ?

 昨日までのあの暖かい教室はどこに行ってしまったんだ?


「よ、よぉ……おはよう……」


「気安く話しかけんな、このたこが……」


「え?」


 とりあえず近くにいたたまに話しをするクラスメイトの男性に声を掛けてみたのだが……返ってきたのは挨拶ではなく罵倒だった。


「ど、どうしたんだみんな? 昨日までは普通の……」


「ふっふっふ……もうここはお前の知っているいつもの教室では無いと言うことだ……」


「お、お前は! って……大成じゃないか……なんだよ、さっきはいきなり走り始めて……今度はいきなり現れて……」


「ふっふっふ……お前は知らないかもしれないが……」


「あ、俺の話は無視なの?」


「良いから黙って聞け! このクラスの男性全員にさっきお前から聞いた話しを流しておいた!」


「お、お前! なんてことを!!」


「さっきも言っただろうが! 俺は今日からお前の敵だ! そしてお前は、モテない男全員の敵だ!!」


 さっきからこいつは何を言ってるんだ?

そもそも、さっきの俺のこんな妄想みたいな話しを信じる奴がクラスに何人居ると思ってるんだ?

 このクラスの男子だって、そこまで馬鹿じゃ……。


「へへぇ~あ…明嶋君! ちょ、ちょっと僕といっしょに屋上にバンジーでもしに行かない?」


「いや、こいつは山に埋め……山に行った方が楽しいぜ!?」


「殺す……殺す………抹殺……」


 あれ?

 俺のクラスメイトって……こんな殺気溢れる方々だっけ?


「お、お前ら落ち着け! 大成の話しを信じるのか?」


「信じるもなにも!」


「お前は今朝! 生徒会長と登校してきただろうが!!」


「二年のアイドル、水鏡さんだけでは飽きたらずぅ……もう我慢出来ん!!」


 およそ、クラスの男子のほとんどが俺に殺意を込めた視線を向けてきていた。

 くそっ……迂闊だった……まさか会長との登校がそこまで羨まれるものだったなんて……もっと気を付けるべきだった……。


「ふははは! どうだ! もうお前に仲間なんて居ない! 居るのは嫉妬に狂った敵ばっかりだ、はーはっはっはっはぁー!!」


「お前それ、自分で言ってて悲しくない?」


「うるせぇ!! 俺たちは誓ったんだ! 必ずお前を不幸のどん底に叩き落とすってなぁぁぁ!!」


 そう言う大成に同調する男子、そしてそんな男子達を冷たい目で見る女子達。

 こいつら、俺への憎しみで何か大切な物まで失ってないか?

 俺がそんな事を考えていると、俺の背中を誰かがトントンと叩いた。


「悪いけど今取り込みちゅ……って水鏡!?」


「うわっ! そ、そんなに驚かなくても……わ、私までビックリしちゃったよ」


「あ、いや……すまん」


 ヤバイ……非常にヤバイ……ただでさえ教室はこんな雰囲気で面倒だというのに、ここに水鏡まで加わったらまさにカオスだぞ……。

「お、おはよう」


「おう……おはよう……」


 気まずい……昨日あんなことがあった後だし、水鏡とは同じクラスだ。

 嫌でも一日同じ教室に居る上に、席は隣だ。 いつもならゲームの話しで盛り上がるのだが、今日は何を話して良いか分からない。

 しかも教室中の男子からは俺に殺気を向けてるし……なんでこうなるんだ……。

 昨日までの俺の平和な学園生活はどこに行ってしまったんだ……。

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