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03

「………」


「あら……貴方……」


 部屋の奥に行った胡桃ちゃんは、キッチンに居る会長を見て動きを止める。


「まぁ……何となくそんな気がしましたよ」


「私もよ……でも、来るのが遅かったみたいね」


「随分必死なんですねぇ~年下相手に」


「えぇそうよ……絶対に負けたくないもの」


「………私もですよそれは」


 朝から二人とも火花をバチバチ散らせる。

 昨日から思っていたが、なんでこの二人は俺みたいな冴えない男が好きなのだろうか……まずその理由が不明だ。


「ま、まぁまぁ二人とも落ち着いて……学校にだって行かなきゃいけないし、あんまりここでもめるのも隣人に迷惑だし……」


 俺は二人の間に慌てて入り、これ以上揉めないように二人をなだめる。

 

「まぁ、確かに……あんまり時間もないですしね」


「周囲に迷惑をかけるのは確かにダメね……」


 よかった納得してくれたようだ。

 しかし、なんていうか……相変わらず空気は悪いな……。

 

「貴霞君、どうぜ」


「明嶋さん、こっちもどうぞ」


「あ、あはは……ありがとう……」


 まさか朝からこんな大量の飯を食べる事になるなんて……。

 会長は目玉焼きとサラダを作ってくれた。

 そして胡桃ちゃんは、昨日喫茶店で余った、サンドイッチを持ってきてくれた。

 朝からこんなに食事をとったのはいつ以来だろうか……。

 朝食を終えた後、気まずい雰囲気の中、俺たちは三人で部屋を出た。


「胡桃ちゃん、学校間に合う?」


「大丈夫ですよ、ここからなら明嶋さんたちの学校よりも近いですから」


「なら良いけど……」


「なら、さっさと学校に向かったら良いんじゃないかしら? 遅れたら大変よ?」


「ご心配なく、ちゃんと時間通りにつきますから」


「………」


 気まずい……非常に気まずい……。

 なんだこの空気どうすればいいんだよ!

 あれ?

 この状況って俺が悪いの?

 俺がモテてるのが悪いの?

 何の取り柄も無い俺みたいな陰キャがモテたから天から罰が下ってるのか?

 はぁ……俺、正直こういう重たい空気苦手なんだよなぁ……。

 俺がそんな事を考えていると、いつの間にか胡桃ちゃんの学校の近くに来ていた。


「じゃ、じゃあ胡桃ちゃん、またバイトで……」


「………はい」


「さぁさぁ、私たちも早く行かないと遅刻しちゃうわ、貴霞君、行きましょう」


 不満そうに俺と会長見つめる胡桃ちゃんと、ようやく邪魔者が居なくなったと喜ぶ会長。

 こんな板挟みの状態がこれからも続くのか?

 はぁ……俺の平和な登校時間が……。

 まぁしかし、あとは普通に登校するだけ、何も問題はない。

 そう……思っていた俺だったのだが……。


「おい、会長が男を連れて歩いてるぞ!」


「誰だ? あの冴えない男?」


「会長の下僕じゃない?」


「いや、奴隷だろ」


 俺は下僕でも奴隷でも無いっての!

 学校付近を歩くと、俺と会長は周囲から視線を集めた。

 まぁ、俺がというより会長がという方が正しいのだが。

 会長はその容姿の良さや人望から生徒からの人気が高い。

 まぁ、これだけ美人なんだし、それは当たり前なのかもしれないが……。


「会長、そう言えば朝は生徒会の仕事は無いんですか?」


「えぇ、今日は大丈夫よ、それより今日も生徒会の仕事を手伝ってくれるかしら?」


「それは良いですけど……今日はバイトもあるので、あんまり長くは手伝えませんよ?」


「えぇ、大丈夫よ。ちなみにアルバイトは何時までしているの?」


「えっと、大体16時から19時までですけど」


「そう……わかったわ、16時に間に合うようにするから安心して」


「わかりました、それじゃあ自分はこれで」


「えぇ、また放課後ね」


 俺はそう言って会長と昇降口で別れた。

 そして別れた瞬間、俺の背中を誰かが思い切り叩いた。


「おい、貴霞! なんでお前みたいなやつが、生徒会長と一緒に登校してんだよ!!」


「痛いなぁ……なんだよ急に……てか俺みたいなやつってどういう意味だよ」


 背中を叩いて来たのは同じクラスの大成だった。


「前々から気になってだが……お前と会長ってどういう関係なんだ? まさかお前! 水鏡というものがありながら!!」


「あぁ……実はそのことで相談があるんだけど……」


「相談? どうやって女を落とすかか? 悪いがそれなら俺も知らんぞ、逆に知りたいくらいだ」


「ちげーよ、良いからちょっと来てくれ」


「なんだよ、まぁ良いけど……」


 俺はそう言って大成を階段したの人気のない踊り場に連れてきて、昨日の出来事を話した。


「ほう……昨日そんな事が」


「あぁ……俺、告白されたのも初めてなのに……こんな状況どうすれば良いかわからなくて……」


「なるほどな……よし、俺にいい考えがある!」


「な、なんだその考えって!!」


「とりあえず屋上に行け」


「おう!」


「そして、紐無しでバンジーしろ以上」


「なるほど! それなら嫌なこと全部忘れて楽になれるってわけだな! 流石は俺の友達ってちげーだろ!! 死ぬはそんなん!! アホか!」


「うるせぇ!! なんだその相談! 自慢か! 学校の美人生徒会長に? バイト先の金髪美少女に? 同じクラスのゲーマー美少女? そんな三人から同時の告白されて困ってるぅぅぅぅ? モテない俺を馬鹿にしてるのか貴様ぁぁぁぁぁ!!」

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