姉と妹(後編)
:1
私たちはいま、町に買い物に出ている。妹の買い物の付き添いだ。妹は学校の規則で保護者をともなはければ校区外に出てはいけないと決められている。親が忙しいという事で私が代わりにに行くことになったわけだ。とうの妹は、とてつもなく不機嫌。気恥ずかしいとか、そんな事では無いということは分かっているのだが、妹と久しぶりのお出かけという事が私を妙にうきうきさせていた。
買い物も終わり、二人で両手いっぱいの荷物を抱え、帰路についた。信号が点滅していたので私は小走りでわたった。隣にいるみのりに声をかけようとして気づいた。彼女が居ない。振り返ると、道の真ん中でコケている彼女、信号はとっくに赤。瞬間、私は走り出していた。
最後に目に映ったものは、何もない真っ青な青空だけだった。
:2
姉が事故に遭った。意識不明の重体。
わたしのせいだ。わたしを助けようとして姉は・・・。
・・・あれ?どうしてわたしはこんなにも塞ぎこんでいるのだろう?わたしにとって姉はじゃまな存在でしかなかったはずだ。それなのにどうして・・・。
ああ、解っていたことだ。認めたくはないが、そう、わたしは姉が好きなんだ。あんなにもわずらわしく妬んでいたいたけれども、それ以上に憧れていたんだ。
“好き”の反対は“嫌い”ではない、“無関心”だ。わたしはいつも姉を意識していた。常に姉を見ていた。それだけ、そう、それだけ。大好きだったんだ。
ああ、今なら素直になれよう、きっと伝えられる。
だから・・・、だから早く起きて。
・・・お姉ちゃん。
:3
差し込む光で目を覚ました。どうやら私は死ななかったらしい。ここは病院の一室のようだ。私はしばらく天井を見ていた。何もない白色は私の心を表しているように空虚だ。私の目は確かに見ているのに、何も見えていない。体が白も黒も無い世界に落ちていっているような感覚に襲われた。いやだ、あんな所には戻りたくない。私は必死にあがいた。
どれくらい過ぎただろうか。
いや、実際はほんの数秒であったのだけど、無の空間において時間の観測は不可能。今の私はそれに近い。
と、こんなことを考えていても仕方が無い。私の体が起動可能なことは分かっている。この空虚さには耐えられない。
起き上がろうとし、何かが腕を引いた。何かと思い目をおとすと、彼女がいた。ベットに体をあずけ、私の手を握りながらぐっすりと眠っている。昨夜からずっとそこにいたのだと分かって、私は“識らず”彼女を抱きしめていた。
お粗末さまです。だいぶおそくなりました。学生は忙しいのです。←(いいわけ) 涼風みのり Age11