肉体の籠(前編)
:1
私は飛びたい。
この鳥籠から。
痛んでも、痛んでも、どんなに痛んでも、
この籠は壊れてはくれない。
たとえ死が待っていようとも、あの大空へ飛んで行きたい。
いつか籠がこわれれば、あの大空へ飛んで行けるのだろうか。
ああ・・・きっと綺麗だろう。
こんな自分でもきっと綺麗だろう。誰かがきっと見ていてくれる。
ああ・・・
その人は涙を流してくれるだろうか。
:2
ガッシャーン
窓ガラスが砕けた。
敵は20メートル先の闇の中。
彼女は刀を上段に構えて走り出す。
闇の中から爪がもびてきた。
刺さる。
それでも彼女は退かない。
ウォォォォォン
この世のモノとは思えない断末魔があがる。
それをどこか遠い所にある耳で聞いた。
「寒い・・・」
紅い水たまりの中、彼女は倒れた。
はれぼったい目を開ける。
外では鳥の鳴き声。
「今日はどうやら春らしいな」
しばらくぼんやりとしていた。
「おはようございます。お嬢様。」
障子を開けて入ってきた男は昨日よりも随分と老け込んでいた。
「朝食はどうなさいますか。」
その男は昨日と同じ様に聞いてきた。
「もらおうか。朝食は一日の活力となる物だ。」
かしこまりました。と、言い男はその場を去った。
あの男のことだ、5分とかかるまい。昨日もそうだったのだからな。
ふと、庭に目をやると、手入れされた庭の中に大きな桜の木があった。
「はて、あんな物あったかな・・・。」
ぼんやり眺めていると、
「あの木は、お嬢様がお植えになったのですよ。」
男が朝食を持って隣に立っていた。
「そうか、そうだったな・・・。」
私の頬に一筋の涙が流れた。
:3
データを整理する。
名前、神無月 撫子。
有るを断絶する程度の能力。
有るとは存在しているということ。存在するか否かは、彼女の意識に因る。
彼女が有ると思うのであれば在る。それを断ち切ることの出来る能力。
つまり、何でも切ることが出来るということ。
この能力をもつのは、彼女が古くからある結界師の一族であることが要因である。
結界とは認識できないはずの「空間」を意識下に取り込み、世界から断絶させることで完成する。
彼女は、この一族が作りだした兵器である。
魂だけを結界でくくり、肉体から遠避けることで、肉体が損傷しても、魂が傷つくことはなくなる。結果、彼女は死なない体を手に入れることになった。体がどんなに損傷しても決して死なない。たとえ致命傷であっても、回復する。(ただし、魂が無いだけであって体は普通の体であるので、回復力は人並みである)
だが、一人分の魂が持つエネルギーだけではここまでのことは出来ない。
魂を通じて、どこからか膨大なエネルギーをひっぱって来ているはずだ。
私はそれが“無意識の海”ではないかと推測する。
メインヒロイン神無月撫子のターン。
ブロンドのセミロングで外に少し流れていて、目は琥珀色、身長161cm、
年齢不詳(見た目は16歳くらい)そんな感じで想像してください。コメントもらえるとうれしいです。バック転なんか決めちゃうかもよ!