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悪役女王の足跡  作者: 綴月 結
第一章 悪役女王の目覚め
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8.悪役女王は魔法を使う

 三人がはっとした表情を浮かべる。


「今回の目的は魔法を教えることだったわね⋯⋯」

「ミシェル、優しく教えてあげてくれ⋯⋯」

「もちろんじゃないですかー。いいですか、お嬢様、魔法を使う上で一番大事なのはイメージ力です。自分の中にある魔力を外に出していくようにしながらどのような効果を外界に及ぼしたいか、イメージするのです。とりあえずやってみていただけますか」


 えっと、まずはさっきのお父様みたいに目を閉じて⋯⋯。それから体の内側から外側に力が出ていくようイメージしてっと。髪を染めるのはカラーリングのイメージで、瞳はカラコンのイメージ?おぉ、足元が光ってるのが瞼越しにわかる。これはいい線いってるんじゃない!


「お嬢様ストーーーーップ!!!」


 ミシェルの叫び声に驚いて目を開けたら、お父様とお母様がいた。いたにはいたのだが、どこかが違う。ってあれ??お母様のエメラルドグリーンの髪が栗毛になってる!!ということは、と思ってお父様の方を見ると、瞳がこげ茶からエメラルドグリーンに変わっていた。驚いてミシェルの方を見ると、ミシェルの瞳もエメラルドグリーンに変わっていた。


「お嬢様の魔力量を甘く見ていたようです⋯⋯。お嬢様、今のできっと、少なくともこの領の住民はみなお嬢様と同じ髪色に瞳の色になってしまったと思います⋯⋯」


 今のやり過ぎだったの?!普通にやっただけなのに⋯⋯。恐るべし、女王様の力⋯⋯。


「魔法を解くには出ていった魔力が自分の中に戻っていくイメージを浮かべてください」


 再び目を閉じさっきと反対のイメージを浮かべると、同じように足元が光るのが感じられ、その光が消えた後目を開けると、皆いつも通りに戻っていた。


「エイミー、今日はもう遅いからあとは明日にしたらどうかな?」

「いえ、今日中にやります!!」


 ミシェルが興奮気味に言った。いやミシェル、今お父様は私に聞いてたんだよ?ホントはもう寝ないと明日に響きそうなんだけどな⋯⋯。眠いよー。


「お嬢様は魔法のセンスがあるようですね! はじめからこんな複雑な魔法を使って、それをすぐに解ける人はなかなかいないんですよ! 明日からも色々教えたいので魔力の調節は今日中にできるようになっていただきます」

「ミシェル、優しく教えてくれといったよな⋯⋯。もうエイミーは眠そうじゃないか⋯⋯」

「あら、お嬢様? 眠たいのですか? なら私が物理的に雷を落としてお嬢様の目を覚まさせて⋯⋯」

「いえ! 全く眠くないです教官!!」


 びしっと敬礼して叫んだ。こわっ!物理的にって怖いんだけど!!ミシェルはこうして鬼教官と呼ばれてきたのか⋯⋯。


「旦那様、お嬢様もこうおっしゃっていることですし、いいですよね?」


 ミシェルの手が電気を帯びてビリビリしてる⋯。怖いよーーー。


「はい⋯⋯」 


 がっしりしたお父様までタジタジだ。


「やっぱりミシェルは魔法のことが絡むと怖いわねぇ」


 こんな状況でもニコニコしてるお母様はぼんやりしてるのか、強いのか⋯⋯。


 それからミシェルの怒涛のレッスンがはじまった。

「ストップです!! もっと効果範囲のイメージを⋯⋯」とか「力を外に出す量を減らすんです!!」とか言われ続けたけど全然自分の色だけを変えることが出来なくて、あ゛ー、もう!っと叫ぼうとしたらミシェルの手がビリビリしはじめたから急いで飲み込んだ。ミシェルに魔法を教わってるときはいい子でいよう。自分の体は大事にしようっと⋯⋯。


 ミシェルに怯えながらひたすらに挑戦し、最後は魔力量を抑えることを諦め、いかに魔力の全てを自分だけに向けるかに専念した。そして⋯⋯。


「お嬢様、目を開けてください!! やりました!!」


 目を開けると、お母様の髪はエメラルドグリーン、お父様の瞳はこげ茶、そしてミシェルの瞳もグレーのままだった。


「エイミー、よく頑張った!!」

「さすが私達の娘!!」


 わーーっと四人で円陣を組んで喜びあった。一通り喜んだところで解散し、ベッドにもぐりこんだ。気付けばすでに日付を超えていた。


 はじめて魔法を使ったけど、なんだかんだで楽しかったなー。ミシェルは怖かったけど⋯⋯。なんとなくさっきまでの興奮が残っていて寝付けなかったけど、貧乏男爵家の朝は早いことを思い出し、寝爆を使って強制的に寝た。


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