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胸のカタナはケルンで鐘を鳴らす その3

 エンジンニア。Engine_Near。


 彼のオリジンは、少し過激なライダーだった。愛バイクは、もちろんスズキのGSX1100S・KATANA。彼はスズキのバイクの中でも、このバイクのデザインとエンジンをこよなく愛し、まるで水を得た魚のようにそれを乗り明かす日々を過ごしていた。


 ある日、彼がいつものように山道を時速200kmの中で風を感じていると、悪質な自動車ドライバーと接触し、そのまま体勢を崩して転げ落ちた。相手は日本でもマナーの悪い運転で有名なキョートナンバーだったが、彼はそれに気づくことなく、心臓を損傷し、生死を彷徨った。もちろん、キョートの人間は人を轢き殺したところで罪悪感を抱くはずがなく、そのまま轢き逃げした。


 虚ろな視界の中、彼は死を悟る。無様に泣き叫ぶとか、後悔はしなかった。ライダーにとって、死は二輪免許を習得した日には悟っているものだ。


 だからこそ、彼は最期の時をGSX1100S・KATANAの傍で過ごそうと決心した。そして、欠損した心臓に彼が最愛としたエンジンを埋め込むと、そのエンジンは心臓の代わりにポンプの働きをはじめ、全身に血液がめぐり始める。4気筒だと言う事が功を成した。心臓には4つの部屋があり、それぞれの気筒が右心房、左心房、右心室、左心室の役割をしたのだろう。(この話はフィクションです。これらの理論は現実世界に則さない可能性が高いです)


 通報をした一般人によって救急車が来るまでの間、エンジンは拙いながらに人間の心臓とそん色ない働きをしたため、彼は一命をとりとめた。もちろん、こんな事例は過去になく、医者たちは驚天動地と言う風に彼の復活劇を目にした。


 そして、彼は機械や医療に遺伝子工学などの権威である波速博士に研究対象となる。そのまま、改造手術をされた彼は、鉄の皮膚を持ち、エンジンを胸に秘める男、エンジンニアとなって再び生と排ガスの息吹を受けて復活をした。


 波速博士のラボを抜け出した彼は、その力で日本国家に宣戦を布告する。彼がその力を誇示するのは、自分を強く見せたいからではない。最愛のバイクのエンジンの性能を世界に見せつける為である。


 彼は警察、機動隊、それに侍すら正々堂々と対決をし、その全員をあの世に送った。彼の目標は、立ち向かってくるすべての人間を薙ぎ払い、全速力で体当たりをするトラックさえ跳ねのけて、KATANAの性能を全世界にアピールすることだった。


 しかし、そんな無敵の彼は、今、最高潮の恐怖と興奮を与えるほどの存在を目前にしていた。

 

「すげぇな、お前。ライダーとして、点数稼ぎのポリ公やトラック、キョートドライバーなどを次々と殺し、いつしか侍すら打ち破った俺だが……。ちょっとヤバいと思ったのは初めてだ」


 エンジンニアは針井を指して語りかけた。彼の声は震えていたが、臆病者の震えでない事をこの場の誰もが理解していた。まるで武者震い。針井と言う、自身と対等に渡り合える生物との対決を前に、彼は心が震えていた。エンジンニアが針井を打ち破れば、愛車のエンジンへの自信が倍増するに違いない。


 しかし、戦闘フリークスの理解がない針井は、精神的に負けていた。彼が放った落雷は、正直に言って、通常の人体ならば丸焦げになって死んでいるレベルだ。エンジンニアに全く動く気配がなかった時、彼は「あー、やってしまった」と思ったくらいである。


 まずいなぁ。


 針井は困惑が顔に出る。小人に頼めば、もっと大きな速度でエンジンニアを焼いてくれるだろう。しかし、それでは周囲の被害はもちろん、エンジンニアを本格的に殺してしまうだろう。


「やい、いつまで空に浮かんでいやがる。降りてこい、対決だ」


 エンジンニアが怒鳴りつけて針井に命令をする。しかし、針井は嫌々と眉を顰めて、拒否感を遠まわしに伝えた。エンジンニアに怒りを覚えたらしく、


「ふざけるな! テメエ、安全圏から雷を降らす気だな! なら、考えがある!」


 エンジンニアが怒鳴りを利かせてそう言うと、野次馬の中からメタボ系の男を1人だけ胸元を掴み取り、そのまま針井に見せつけた。メタボ系男は必死に抵抗をするが、流石に力で押さえつけられては抵抗も無に等しい。他の奴らも、他人の為にエンジンニアに立ち向かう度胸はなく、腰を抜かしてどこかへ散らばった。


「どうだ、お前が戦わないと言うのならば、コイツの命はない!」


「ヒエッ! た、助けてクレメンス」


「なんて卑怯な」


 と、針井は嘆いた。彼は人質の震える声に同情を覚え、そしてエンジンニアの残虐な行動に遺憾の感情が芽生え、苦しい表情を出した。しかし、空中から降りて来る様子は中々ない。


「おい、降りてこい。さもないと、エンジンで高熱になったオイルがこのオタク顔に火を吹かすぞ」


「う、うわぁ~。た、助けてぇ~!」


「た、たいへんだ……」


 驚いて見せるが、しかし針井も命を張りたくないのが事実。名前も知らない他人の為に、自身を危険に晒そうとは思えなかった。


「いや降りてこいや! てめえその恰好を見るにヒーローだろ! このメタボ男がどうなってもいいのか!」


「そうだぞ! 降りてこいダサヒーロー野郎! 人質の為に命の2、3個くらい犠牲にしてみろ!」


 と、エンジンニアと人質の男が主張。


「なんで俺が責められてるんだよ。これだから日本人はダメなんだ。自分が守られるべきだなんて考えていやがる。お前が銃を持っていれば、こんな事態にならなかった。これも全部政治が悪い。恨むなら自民党を恨むんだ。もっと銃に寛容な社会ならば、君は死ななかったはずだ」


「ふざけやがって!」


 人質のメタボが何やら騒ぎ出し、己を救う義務を主張しはじめた。しかし、針井が『さっきまでエンジンニアと針井の姿を喜んで撮影し、ツイートしていたこと』から、Twitterのリツイートやいいね稼ぎかネットのアフィリエイト収入を生業とした野次馬の一人じゃないのか? という言葉に、メタボは反論を迷った。結局のところ、すべては彼の危機管理不足である。それなのに、いざとなったら誰かに助けるのはどうなのか、と針井は責め立てると、ついにメタボは何も言わなくなった。


「畜生、お前には人質が利かないのか」


 エンジンニアが人質の価値の低さを察し、彼は予言通りに油冷オイルをメタボの顔に噴射する。油冷のエンジンオイルはだいたい150度近い温度になる為、メタボの顔の肉はみるみる溶けていき、ついに原型から遠く離れたものになった。そして、エンジンニアがネッグハングをすると、掴んだ腕の部分がメタボの体を溶かす。エンジンで発生した熱を腕に集中させているのである。(エンジンニアの愛車は油冷ではありませんが、ご了承)


 メタボがついに死亡し、エンジンニアは早くも次なる手段に着手する。


 エンジンニアが大きな石を手に取ると、時速何十キロというスピードでそれを針井目がけて放つ。


 針井は流石に「うわぁっ!」と声を荒げて、その石を避ける。被弾こそしなかったものの、途中で浮遊の制御にエラーが発生し、そのまま地面へ真っ逆さまと落下した。


「しめたぞ!」


 エンジンニアが針井へ向って突撃をする。針井は急な展開に頭が回らず、エンジンニアがやって来ることにすら気づかなかった。


『ジュンさん! 平気ですか!?』


 古椅子の声で、針井はハッ、と朦朧とした意識を鮮明にさせた。


 針井はエンジンニアの大振りなラリアットを低い姿勢になって避ける。そして、エンジンニアの背後を取った針井は電撃を放つと、流石のエンジンニアも電撃の勢いでにそのままどこかへ転がっていく。


「YES。もういいだろ。俺帰る」


『が、頑張ってください……。あれを倒せるの、日本では、もうジュンさんくらいしかいませんよ……。侍も負けたそうなんですから』


 古椅子に鼓舞をされるものの、しかし針井は弱腰で、また宙に浮かび始める。すると、エンジンニアはそれを察していたのか、すぐに小石か何かを針井へと投擲する。そして、針井はまたも転げ落ちて、地面に叩きつけられる。


 エンジンニアはそのまま隙だらけの針井へ飛びかかり、何度と連打を向けた。針井はそれを紙一重で避けていく。針井の身体能力は、もともとそれほどに高くなかった。せいぜい、全高校生の平均かそれ以下。それがエンジンニアの怒涛のラッシュに何とか対応できるのだから、彼は小人を認識し、命令するだけではなく、身体能力もそこそこに強化されているに違いない。


「やるなぁ! これでこそ倒し甲斐があるものよ!」


 エンジンニアの体から今まで以上の熱と排気ガスが溢れ出るのが、近場にいる針井には体感できた。


 エンジンニアが拳を針井に向けて叩きつける。針井はそれを何とか避けると、彼の拳はそのままコンクリートの方へ飛んでいき、大きな音を立てて、辺り一面に大きな穴を作った。針井も思わず、目を丸くする。


「見ろ、これがKATANAの力……。最大出力95PS/8,500rpm、最大トルク8.6kg・m/4,000rpmのなせるわざよ!」


 最大出力は、そのバイクがどれだけの仕事をできるか。最大トルクは、タイヤが回る時の回転の力と思ってくれればよい。しかし、これらの単位に理解がなくとも、約250キロにもなる鉄の塊と人間が時速200キロ以上の速度を出せるエンジンと一体になっているのだ。そのバイクの力を存分に振るうことができれば、相当のパワーが得られることくらいは想像できるだろう。


 エンジンニアはニヤニヤと余裕の顔。対して針井は呼吸が酷く乱れている。未だにその場で2人の対決を映像に収めている野次馬たちには、どちらが優勢かくらいははっきりとわかった。


 針井が焦って、小人にアベコベな命令を出して、辺りに放電を発生させる。しかし、運が悪くエンジンニアはそれをすべて潜り抜け、針井の懐に強烈な拳を叩きつけた。


「痛っあああ!」


 針井は衝撃に勢いよく吹き飛んで、たまたま無断駐車していた車に衝突した。背骨のどこかを痛めたのか、針井は体を動かすのに苦労した。


『ジュンさん、大丈夫ですか!? 一旦、逃げましょう! エンジンニアは想像以上に手ごわいです!』


 針井は古椅子の慌てふためく様子を聞き流し、エンジンニアを警戒する。


 エンジンニアがゆっくりと静まる針井に近寄って来る。右手にはマンホールのふたを携えていた。針井が逃げ出そうとすれば、瞬時にそれが飛んでくるだろう。そのせいで、針井は下手に動けなかった。もし、飛んでくるマンホールに反撃しようとすれば、確実に膨大な小人を走らせる必要がある。彼には動体視力もそこそこだったが、エンジンニアが見せた投擲速度から考えると、正確に撃ち落とすのは不可能だ。


 針井に残された選択肢は少なかった。やけくそに放電を打ち放ち、突進するマンホールやエンジンニアを消滅するか、一か八か空へ急上昇して、尻尾を巻いて逃げ出してしまうか。前者はやっても構わないが、エンジンニアはもちろん、周囲の被害は相当数になる。それこそ、針井の向こうにある銀行はすべて姿を消し、一般人の犠牲はとんでもなくなる。後者は針井のリスクが高い。


 しかし、前者を選んで犠牲者を出したら、俺たちに遺恨ができるなぁ。


 他人か自身が死ぬかを比べた時、普通の針井は他人が死ぬことを選ぶだろう。さきのメタボが良い例だ。しかし、それはたった一人の場合だ。もし、自身と古椅子による行為の結果で多くの無垢な犠牲者が出た場合、正義感の強い古椅子は気に病むだろう。そんな考えを持つと、中々決断ができない。


「キミ! あんな奴に勝てへんやろ! 逃げるで!」


 ……は?


 針井がその声にすぐさま反応すると、そこにはカナがいた。買い物の途中だったのか、夕飯の食材が入ったエコバックが目についた。エコバックにはチーズが入っていて、今日もまたチーズの料理をするらしい。それとも、たこやきにチーズを入れる気だろうか。


「だっさい恰好してヒーロー気取りはええけど、あんなん勝てへんって! ほら、逃げるで」


 カナは針井の手を取り、何とか引っ張って行こうとした。しかし、針井に動く気はない。元々、彼が静止していたのは竦んでいたからではなく、動けばエンジンニアがマンホールを投擲する気満々だったからである。


「なんだお前」


 エンジンニアも、流石に呆れるように声を漏らす。


『まさか、倉石さんがいるんですか?』


「ああ」


 針井は小さい声で肯定した。傍のカナに聞こえない程度の音量だ。


「おいおい、そこの女。殺すぞ、どっかにいけ」


「なんやねん! お前だって、こんな格好の変態を殺して何になるねん! ほら、変態のキミ、はよう財布を出しな! 金目の物や通帳を投げ渡してやるんや! 障碍者手帳を見せてあげれば、ちょっとは同情してくれるかもしれへんで! わかるで! 精神病棟から抜け出してきた露出狂かなんかやろキミ!」


「言いすぎだろ」


『言いすぎですね』


 カナは針井の黄色いコスチュームの至る所を弄りだし、財布を探しだした。エンジンニアも流石に呆気に取られ、黙ってカナの行動を見ていた。


 しかし、針井と古椅子、またはそれを見ていた野次馬たちの中ですら、1つの懸念が生まれる。下手なことをしでかしたカナが、エンジンニアに殺される可能性である。それに、これまでならば針井はトンズラすることが出来たが、カナにがっちり掴まれている現在では、それも難しくなる。針井がカナを見捨てるか否かはともかく、カナを連れて逃げるには、単独よりもロスが大きい。


 針井は警戒心をより強くして、エンジンニアに身構えた。


『ジュンさん、通信機のマイクとスピーカーを、音量を最大にして、エンジンニアに投げ渡してください。考えがあります』


「……わかった」


 針井は古椅子の指示通り、耳に付けていた通信機のスピーカーと、マスクの内側に付けていたマイクを取り外す。


「何の真似だ」


 エンジンニアが身構えて、針井に尋ねた。しかし、針井はエンジンニアの言葉を無視して、マイクに語りかけた。


「いいか? 自分の本名だけは言うなよ。俺と、お前の名前、それに特定につながる物は全部だ。それだけは何があっても言うな、いいな?」


『遵守します』


 針井は渋々とマイクを口元から外して、それらをエンジンニアの元へ投げ捨てた。完全には古椅子の言葉を信頼していない、という感じだった。


「お前と話したがっているヤツがいる」


 針井がそう言うと、エンジンニアは不審そうな顔を見せたが、興味の仕業かそれを拾い上げた。


『下っ端がお世話になったな』


 古椅子はどこか威厳があるという風にまずそう答える。


「なんだお前」


『そこの雑魚のボス。Mr.chair』


ぶっ! とその場の全員が失笑した。しかし、古椅子は続けた。もちろん、針井もである。そして、針井はつい最近、針井と古椅子とでスパイダーマン・ホームカミングを見に行ったのを思い出し、古椅子は椅子の男に大きく好感を抱いていたのを思い出した。


『強いヤツと闘いんだって? 俺とやろう。そこの奴はまだ闘いに慣れてないしな。力を持つと、すぐに使いたくなるから困る』


「おい、何言ってるんだ」


 針井の制止の言葉。しかし、古椅子は止まらない。


 針井がマイクを燃やして、無理にその通信をシャットダウンしてやろうかと小人に語り掛けようとすると、それに水を差すように、彼のスマホのラインにメッセージが入った。


《自分が、隙を作りますから、その間にカナさんを連れて逃げてください》


「な、なにを言って……」


『ていうか、お前の乗ってたバイク、ダサ過ぎだろ。あんなのが道路で走ってたとか笑えるね。走る公然猥褻だな。あんなのに乗ってる奴の気がしれないわ』


「は?」


 エンジンニアの血管が破裂する程に浮かび上がる。顔は真っ赤で、エンジンの音が今までにないほど高鳴り、排気ガスはどんどん膨れ上がる。


 古椅子は、エンジンニアのことを徹底的に調べ上げていた。もちろん、彼の愛車のこと、そしてそれを狂うほどに愛していることも承知している。もしエンジンニアの注意を逸らしたいならば、愛車を馬鹿にすることは効果てき面だった。


「上等だ、今すぐここに来い」


『どこだよ。俺の近所にしろ。そうだな……木曽川公園だ。まぁ、お前のダサいバイクに乗って来るのが恥ずかしいなら、考えてやってもいいが』


「無論。てめえぶっ殺す」


 バキッ! と通信機はエンジンニアに握りつぶされる。そしてそのままどこかへ投げ捨てる。


「さて。まぁ雑魚だったんなら、お前に興味はなくなったね。命拾いしたな。お前は、まぁ俺とお前のボスの決闘に水を差さなければ何でもいいさ。そうだな、その為に一応……」


 エンジンニアはズボンのポケットから一丁の拳銃を抜き出した。


「動けなくなるくらいには痛めつけておくか」


 針井が抵抗しようとする暇なく、エンジニアの銃は音を出して発砲し、弾は針井の腹部に直撃した。黄色いコスチュームに穴が空き、辺りは赤色に滲んでいく。


「あっ、ああ……」


 カナが声を震わせる。


「もう一発入れておくか。これで死ぬようなら、俺と闘うに値しない」


 エンジンニアがそう言って、銃口をもう一度と針井に向ける。そして、すぐさま適当に引き金にかけた指に力を入れる。


 カナは咄嗟に、針井に抱き着いて、銃弾から彼を庇おうとした。


 ……お、おい!


 抱き着かれた時の強烈な痛みで、針井はカナが何をしたかを瞬時に気付いた。解こうにしても、体は動かないし、とてもじゃないが迫りくる銃弾を2人で避けるのには間に合わない。


 ぼんやりとはっきりしない針井の思考回路は、目まぐるしく運動し、対策を導き出そうとした。逃げるのはダメだ。銃弾が迫る以上の運動をすれば、人体がただでは済まない。


 __お、踊れ。小人たちよ!


 カンッ、と音が鳴る。どうやら銃弾は針井から外れたようだ。銃弾は近くの自動車に当たって、弾かれたらしい。


「ん?」


 エンジンニアは、いささか弾の軌道が外れ過ぎたことを疑い始め、試しに2、3発と弾を発射する。しかし、銃弾は針井に届くことなく、それどころか弾は前よりも大きく外れていった。


 __もっと、もっと激しく踊れ。


 針井が強く命令し始めると、彼の後ろにあった車が宙に浮かび始める。最初はゆっくりとだったが、次第にスピードを持ち始める。


 そして、そのまま車はエンジンニアの方へ凄い勢いで突っ込んだ。エンジンニアも咄嗟のことで対応が遅れ、そのまま衝撃で後ろの方へ吹き飛ばされていった。


「逃げるぞ」


 針井がカナの手を取り、猛スピードでどこかへ飛んで行った。



エンジンニアが油冷で熱したオイルを使いましたが、彼の愛車は水冷ですね

まぁ、油冷ってちょっとカッコいいので、研究者たちはノリで彼に搭載したのでしょう


バイクの知識がにわかですみません

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