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さまざまな短編集

神様になったようですが、お気楽生活とは程遠いようです

作者: にゃのです☆

 皆さんは“悪魔の証明”をご存知だと思う。

 ついさっきまで悪魔とも天使とも関係ない世界にいたと思っていた。

 ここに来た瞬間に証明されてしまった。


浅井(あさい)さん。どうしました?」

「天使の輪っか、白い羽……」

「ああ、これですか? 私は天使ですから生えているんですよ」


 目の前のお姉さんは自分を天使という。

 何かひもで吊ってあるとか、支えているものなんてない。

 本当に天使だ。

 見たものがすべて現実。

 夢でもない。

 ほっぺをつねっても現実。


「何しているんですか? 早く行かないと神会議(しんかいぎ)に遅れますよ?」

「神会議?」

「はい。浅井さんは第28,564人目の神様継承者なのですから」

「神様の継承者? 俺が?」

「そうです。この神会議から転生者の割り出し、転移の選定をして世界に秩序を取り戻してもらいたいのです」

「神さまって何でもあり?」

「そうですよ? 何当たり前のことを言っているんですか」


 天使の彼女は笑ってくれるが。

 俺は笑えない。

 神様って何?

 転生ってもっと異世界に行くとかそんなんばかりを思っていたのに。

 神様に転生って……。


「あ、神継承者発見!」

「悪魔くん!?」

「あ、悪魔……」


 そこに来たのは文字通り悪魔の格好をした青年。

 悪魔と天使。

 珍体験中…………。


「どこ居たんだい?」

「さっき受付に来たのよ」

「そうか。んじゃこの扉をくぐれば天使ちゃんの仕事は終わりだな」

「そ、そうなの?」

「あ、はい。一応は……」


 話の流れ的に、天使ちゃんと悪魔くんは付き合っているということか……。

 目の前には立派なドアがたつ。

 この奥が仕事場……。

 物事はポジティブに考えよう。

 折角、神様になれたんだ。

 誠実に仕事をしてみようじゃないか。

 映画とか、小説とか、漫画では神様って案外ヒマだったりするしね。

 そう思ってドアを開けると、そこは秘書のような人物がずらっと並んだ会議室。

 みんな、自分の姿を見ると一糸乱れのない動作で立ち上がり、ザっ! と音を立てて一礼。

 すぐに机に向かって仕事を再開する。


「何この人たち……?」

「えっと、この方々は神様に直接お仕えしている近衛兵団の方々です。そ、それじゃあ、私はこれで!」

「天使ちゃん早く行こ! おいしいアイスクリーム屋さんで買ったアイスを一緒に食べよ!」


 天使と悪魔が恋人関係で、会議室がまんま会社のオフィス。

 社長が座るような椅子と机には今にも崩れんばかりの資料の山……。


「初めまして浅井さま。今日からよろしくお願いいたします。私、秘書長をしておりますオットー・デ・ダークと申します。これでも悪魔第一序列第一位です」

「初めまして浅井さま。今日よりよろしくお願いいたします。私は秘書副長をしていますミッター・ド・ラートルといいます。私は天使第一序列第一位です」

「二人ともよろしく……」

「早速ですが、今日中に転生者5,849人の能力決定と転生先の選定を採血していただきます」

「そのあとは、転生先の巡視。対象が23,685名となっています」

「至急案件です! 対象は交通事故死! 職業は看護師! 医療職転生希望世界は12,358ヵ所の世界からオファーが来ています!」

「最寄りの救急心霊保護科の悪魔を向かわせなさい。至急資料を回して!」


 ここは救急医療センターかなんかですか?

 とりあえず緊急という案件に目を通して、終わりの見えない仕事に取り掛かるとしよう。

 日本のサラリーマンをなめちゃいかん!


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― 新着の感想 ―
[一言] 神さま忙しそう! 休憩できるんでしょうか^^; サラリーマンは激務をこなしていますから、神さまには適任かもしれませんね。面白かったです。
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