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レベルイーター  作者: 亜掛千夜
エピローグ

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永遠に続くもの

 竜郎たちが異世界から帰ってきて、いくばくかの時が経った。

 今ではすっかりリアも竜郎の家族に迎え入れられ、仲良く暮らしている。

 もちろん、カルディナたちも一緒にだ。


 愛衣の家族とも仲良くしており、たまにリアたちは愛衣の家にお泊りに行ったりもしている。



 レーラも竜郎達が用意した資金で家を借りて、近くに暮らし始めた。

 今は図書館で色々な書物を漁る事に夢中なようだ。

 いずれは大学にも行ってみようかしら──なんて事も言っていた。

 そうなれば齢数百万歳の女子大生の爆誕だ。見た目は若く美しいので、共学ならさぞモテることだろう。女子大でも一部にモテそうではあるが……。



 イシュタルはあの後、少し異世界見学してから、お土産を持って帰っていった。

 今はもう竜大陸で忙しくしているはずなのだが、ちょくちょく遊びに来たりする。

 こちらに来るための転移装置を、個人的に使えるようにイシュタルにも渡してあるのだ。



 そして竜郎と愛衣。

 この2人は相変わらず仲良く過ごしている。

 地球と異世界を行ったり来たりして、毎日楽しく人生を謳歌している真っ最中だ。


 そして今日は地球での休日で、今は一通りデートした帰り道。

 とある美味しい魔物について話し合いながら、例の異世界に落ちる時にいた公園にまでやってきていた。



「色々あったねぇ。ここに来ると思い出すよー」

「そうだなぁ」



 世界が壊れた瞬間を見たのもここだった。

 正直、いい思い出ばかりの場所とは言えない。


 2人は手を繋いだまま、その中心に立った。



「だけど、悪い事ばかりじゃない。

 ここで異世界に落ちたからこそ、俺達の人生は大きく変わった」

「そうだね。それもとっても嬉しい方向にね」

「カルディナ達と会えた」

「リアちゃんと会えた」

「レーラさんやイシュタル、それに色んな人や仲間たちと知り合えた」

「美味しい魔物にもね」

「ははっ、そうだな」



 そこで自然と静寂が訪れ、2人はぼうっと公園の中央に立ったまま景色を暫く眺めた。



「そんで、たつろー。最後にここに来たいって言ってたけど、なにかあるの? ここにさ」

「あ、ああ。あるというか、することがある」

「すること?」



 少し緊張した表情の竜郎に、愛衣もつられて表情が硬くなる。

 そんな愛衣の顔をじっと見つめて、竜郎は決心がついた。



「愛衣」

「な、なあに? たつろー」



 竜郎はそっと愛衣の手を取り、真剣な眼差しで彼女の瞳を見つめ向かいあった。

 その真剣な表情に、愛衣も思わず背筋が伸びる。



「さっきも言ったが、俺達の人生は、ここから新しく生まれ変わった。

 だから、これからは、ここをいい思い出で埋めていきたい」

「う、うん。そうだね。それで……」



 何?と愛衣が目で問うと、竜郎は愛衣の左手だけを握ったまま一歩後ろに下がった。



「八敷愛衣さん」

「は、はいっ。なんでしょう、たつろーさん」



 いきなり改まってフルネームで呼ばれ、愛衣は戸惑いながら名前を呼び返す。

 そんな愛衣に、竜郎は意を決して口を開いた。



「俺達はまだ学生だし、そういうのは早いのかもしれない。

 けど、気持ちだけは本物だし、これからもずっとずっと、何があろうと変わることは無い。

 だからとりあえず、今回は予約と言う事で一つ」

「は、はあ……。えーと、なんのこと?」

「──俺と結婚してください」

「……………………──うひっ」



 愛衣は初め何と言われたのか解らずに固まったかと思えば、理解した途端、顔を真っ赤にして変な声が口から飛び出した。


 そんな愛衣に真剣な表情をしていた竜郎は思わず笑ってしまうが、そのまま口元に柔らかな笑みを浮かべた状態で、《無限アイテムフィールド》から小さな箱を取り出した。



「OKなら。これを受け取ってほしい」

「これって──」



 その箱を開けると、中には指輪が入っていた。

 そしてその指輪の台座に嵌っているのは、いつか竜郎と一緒に倒した最初の強敵──金のクマゴローのきらめく黄金水晶。



「もっといい虹水晶なんかもあったけどさ。最初の頃に、この黄金水晶をキラキラした目で見てただろ。

 そのときに思ったんだ。いつかこれで指輪でも作って贈りたいなってさ」



 それはほんの些細な思いだった。けれどしっかりと覚えていて、竜郎はあえてこれをリアに指輪に加工して貰ったのだ。

 リアお手製なので、当然指輪自体のセンスも非常にいい。



「──そ、そんな事思ってくれてたの? 言ってくれればいいのに……」



 愛衣は感動で少し震える声でそう言った。



「言ったらサプライズにならないだろ。それでお答えは? 八敷愛衣さん」



 フラれる、とは思っていないが、それでも緊張しながら、それを隠して不敵に笑う竜郎。

 けれど、そんなのは愛衣にはお見通しだ。


 そんな彼氏の気持ちが可愛くて愛しくて──、愛衣の目から一滴の涙が零れ落ちた。



「そんなの決まってるよ。

 ──大好きです、波佐見竜郎さん。私もずっと貴方と一緒にいたいです。

 だからこちらこそ──私と結婚してください!」

「あれっ!? 逆になってる!? こういう時はハイでいいんじゃないか?」

「それでお答えは? 波佐見竜郎さん」



 さっきのお返しだとばかりに嬉し涙を流しながら竜郎に笑いかける愛衣に、竜郎は心の底から可愛くて愛しくて──彼の目からも涙がこぼれた。



「そんなの決まってる! 答えはハイ──イエスだ!」

「じゃあ、私もハイ──イエスだよ!」



 なんだか締まらないプロポーズだなぁと2人笑ってしまいながらも、そんな所が自分たちらしいかとも思った。


 竜郎は笑いながらそっと箱から指輪を取り出すと、愛衣の左手を持ち上げ引き寄せた。

 愛衣も笑いながら、左手の薬指を少し上に持ち上げた。


 指輪をそこに優しく通していけば、ぴったりと愛衣の薬指にそれが嵌った。



「これからもよろしくね」

「ああ、これからもよろしくな」



 そうして2人は互いに見つめ合い、微笑みあい。

 どちらからともなく、ゆっくりと顔を近づけ──優しい口づけを交わした。



「──愛してるよ」

「私も──」



 これからどんな事があろうとも、2人はいつまでもいつまでも仲睦まじく、死が二人を分かつその時まで、永遠に互いに恋をし続けることだろう──。

これにて『レベルイーター』完結でございます。

長く続いてきたこの作品を最後まで読んで下さり、本当にありがとうございました。

私は今、最後まで書ききったという達成感で非常に気持ちがいいです(笑

よろしければ、感想や評価など頂けると嬉しいです。今後の参考にさせて頂きます。


また誰々の話が読みたい! などの要望がありましたら、感想などで教えてください。

話が思い浮かびそうなら、挑戦してみようと思いますので。




さて、今後の予定についてお話をいたします。

まずは全体の誤字などの修正を行いたいと思っています。

それと一部、加筆や修正もするつもりです。それはほんの少しですけどね。

かなり文量はありますが、誤字はご指摘いただいた読者様たちの情報のおかげで、それなりに早く終わると予想しています。


また本編後のお話については色々とまだ考え中なのですが、本編後の話として書きたい事を羅列していった時、意外と多かったことに気が付きました。

調子に乗って本編後の話の種もいくつか蒔いてきたので、そのせいでもあるのですが(笑

なのでもうそれは『レベルイーター』という題名の作品ではない気がしまして、新しい題名を冠した新しい物語として、まったり再スタートしようかなと考えています。

そちらは畜産水産などをしながら魔物や竜を生み出し、面白おかしく生きている竜郎たちの様を描けたらいいなと思います。


それに伴い、こちらの『レベルイーター』ですが、こちらには本編中に語られなかった閑話を不定期に更新していこうかと思っています。


現状で考えているのは──

イシュタルが竜郎に初めて会いに行った時の話。

レーラが氷の魔竜の所へ竜郎たちを追っていくまでの話。

アーレンフリートがあの後、どうしたのかの話。

竜郎たちに世界最高ランクの冒険者の地位を奪われた、冒険者パーティの反応の話。

──などでしょうかね。

他にも思いついたら更新してみようと思っています。


またレベルイーター関連とは別に、全く別の新連載も始めたいと考えています。

そちらとの兼ね合いもどうするか考え中です。月に1回だけ、週に1回だけ、などとはならないようにしたいとは考えていますが、とりあえずはそちらにもリソースを割こうと思います。


具体的な予定などは提示できませんが、上に書いたように修正作業はそれほど手間なく進むはずですので、年内には余裕で戻って来れるはず──です。

誤字報告機能なんていう書き手にとって凄く便利な機能が最近実装されたので、そちらで少し手伝ってくれてもいいですよ(笑

報告いただいた一文を見て、ボタン一つで修正されるので凄いです、便利です。


と、それは冗談として、具体的な予定は『イシュタルが竜郎に初めて会いに行った時の話』と、その日の活動報告などでお知らせいたします。


長くなりましたが、今後とも竜郎たちの物語にお付き合いいただけるよう、私も頑張っていきたいと思います。

それではまた、次の機会にお会いしましょう。

本当に、ほんっとうに、お読み頂き、ありがとうございました!!

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