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レベルイーター  作者: 亜掛千夜
第十編 妖精郷

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第555話 魔王種と半神種実験

 さて。竜郎としても孵化させるのは問題ないとしてもだ。

 一つ大天使と大悪魔の魔王種の卵の等級を調べた時、こちらは金のくまごろーの上位種、虹水晶のクマを半神獣にさせた神竜魔力による孵化をやってみても面白いかもしれないと思った。



「せっかく色々こねくり回して魔王種にしたのにいいの?」

「まあ、複製してからやるから原本は手元にある。

 だからいつでも生み出せるし、なにより吸血鬼種と人狼種の魔王種が予定外に手に入ったから今回、魔王種はそっちにまかせて、久しぶりに半神系実験の方をやってみてもいいかなってな」

「それもそっか。んで、魔王種の天使と悪魔の等級はおいくつなの?」

「シロクマの白太と同じ等級8、もっと細かく言えば8.7もあった。だから──10まで上げてみたいと思ってる」



 竜郎の同じ魔卵の合成で上げられる等級の数は最高で2。なので8あれば、理論的には10まで上げられるはず。



「お、おおぅ。今まで手を出してこなかった、等級10に手を出しちゃうんだね。大丈夫かな?」

「最悪、ヤバかったら俺達で倒すぞ。レベル1ならどんなヤバい奴でも、今の俺達ならそれもできるだろうし」

「了解。そん時は気を引き締めとくね」



 等級9もそうだが10の領域は一度も踏み込んでいない。なので少々過剰に警戒しておいても罰は当たらないだろう。



「まあ、とにかく最初はヴァンパイアとワーウルフだ。とくに外見もいじる必要もないだろう」



 ということで、まずは前菜──という言いかたはこれから生まれてくる2種に失礼かもしれないが、それくらい気楽な気持ちで《強化改造牧場》に2つ魔卵を収容した。今回はダブルで孵化させるつもりだからだ。

 魔卵に必要な魔力量くらいなら、竜郎だけでも余裕で捻出できるので問題も無い。


 そうして竜郎はそれぞれの初期スキルを選択していき、ヴァンパイアにはデフォルトで最初から付いていた《吸血【真祖】》《血液操作【真祖】》《吸血眷属化【真祖】》《日光克服》の他に、《血使治癒》《部分獣化》《呪傷》《超増血》などの以前戦った魔王種の吸血鬼にもあったスキルをつけておいた。

 レーダーチャートを見る限りでは、双方の特化型には劣るが前後衛どちらも任せられる遊撃タイプと言った所。


 一方、人狼は月の光で強化される《月光興起》や、巨大な狼になれる《獣化》。自然の多い場所ほど自分や他人のスキルによる治癒力が大幅に上がる《大自然治癒力増加》。

 他にも《気力収束砲》や《自己治癒》などなど、こちらは最前線で多少の負傷は無視して自分の身一つで突き進んでいける脳筋タイプだった。

 耐久力もさることながら魔法抵抗力もそこそこ高いので、1人で特攻を仕掛けてもそうそうやられることは無いだろう。



「まあ、こんな所か。それじゃあ孵化させるぞ」



 《強化改造牧場》内にある2つの魔卵に神力を少し混ぜた、それぞれが必要とするだけエネルギーを注いでいく。


 そうして新たに産まれた魔王種候補の2体を表に出してみる。

 ヴァンパイアの方は、異常に肌が白い美しい外見をした160センチほどの背丈に、真っ赤な血のような紅の瞳。そして黒と赤の露出の少ないドレスを纏った女性。

 という所までは先ほど見た普通に孵化させた時と同じだが、爪と長い八重歯がプラチナ色になっていた。


 また人狼の方も基本的に外見は、全長2メートル弱。二足歩行するガタイのいい灰銀色の毛皮の狼といった所だが、金色のタテガミがプラチナ色に変化していた。


 ちゃんと生まれた所で、さっそく愛衣がそれぞれに名前を付けていく。

 方法は男には「○○た」、女には「○○こ」の法則を当てはめるだけ。

 そうしてヴァンパイアには千子ちこ(血を吸う子だからね! 千は当て字だよ!)。

 ワーウルフにはウル太《ウルフの「うる」だよ!》。となった。

 これでもいい方の中から選択した末に決まったものなので、相変わらずのネーミングセンスに脱帽である。



「うー……。フワフワかと思ったのに、ゴワゴワしててかたいぃ……」

「ォオ~ン?」

「そういや、ライオンのタテガミもフワフワじゃなくて結構ゴワゴワしてるって聞いたことがあるな。

 急所を守るための盾変わりにもなりそうだから、しょうがないさ」

「そっかぁ。これで首を守れるなら無理にトリトーメントして柔らかくするわけにはいかないね」

「トリートメントする気だったのか……」



 そんなにモフモフしたいなら豆太や白太、パンダブラザーズでもいいだろうに。

 そんなことを思いながら一旦、千子とウル太には《強化改造牧場》内に戻って貰う。

 そしてまずは大天使の魔卵を取り出して、魔卵錬成による同種の魔卵合成で等級を上げていく。

 そうして2回の合成で等級9.1。それからは0.1刻みで9.9まで上げきった所で異変が生じた。



「あれ……? 《魔卵錬成》が発動しないぞ?」

「ってことは混ぜられないって事? なら悪魔ちゃんの方はどうなのかな」

「やってみよう」



 すぐさま大悪魔の魔卵を取り出して、同じように合成を繰り返していくと、やはりこちらも等級9.9にした途端、それ以上の合成が出来なくなってしまった。



「等級10ってのが、そもそも存在しないのか?」

「さあねぇ。でも実際にできないって事は、とりあえずその2つの魔卵に限っては存在しないって事なのかもよ」

「だな。サンプルが2つだけじゃあ何とも言えない。まあ、9でもお初なんだから別にいいか。

 じゃあ念のため、何があってもいいように身構えていてくれ」

「うん。解ってる。たつろーも気を付けて」

「ああ、解ってる」



 お互いに気を引き締めあいながら、竜郎はまず大天使の魔卵を《強化改造牧場》に収容した。

 等級が1上がった大天使の見た目は大して変わってはいない。だが良く見ると背中側に小さな光の盾が一つ浮遊していた。

 スキルを見るに、これを時には自在に時には自動で動かして防御に回し、自身はより攻撃に専念できるようになったようだ。

 他にも《石化邪眼》などの元の大天使が覚えていたスキルも低コストで最初に付けられ、前衛タイプとして自身や他人への治癒スキル、攻防優れた優秀なスキルの数々を有しており、このまま普通に生み出しても頼りがいがありそうだ。



「よし。初期スキルや能力値の強化もこんな感じでいいかな。それじゃあ、いくぞ」

「うん。こっちはいつでも大丈夫だよ」



 愛衣の返事を耳にしながら竜郎は神竜魔力を練り上げていき、それを魔卵にぶち込んでいく。



「うおっ──」



 白太の時は直ぐにエネルギーが通らずに詰まるような感覚があったので、こちらもそうだと思っていたら存外簡単に通っていき思わず驚きが口から出る。

 感覚的には、もう一段階段があると思ったのに無かった──そんな感じだろうか。


 それに愛衣がビクッと反応して攻撃態勢に入ったのが横目に見えたので、大丈夫だと手振りで示してから目の前のことに集中していく。

 詰まるような感覚を覚えたのは、ざっと白太の時の10倍ほどの神竜魔力が入った後だった。



(ようやくここまで来たか。白太の時はこっから無理やり押し通せば行けたんだが、調整作業を少しでもミスったら破裂しそうになったんだよな)



 一度経験したことなので、今度は慌てずに対応できる。一度深呼吸をして心を落ち着かせてから、細かな網目のように感じる壁を一気に破って押し通していく。

 ここからが勝負どころ。下手をしたら、ただ魔卵を破裂させるだけに終わってしまう。

 杖の魔力頭脳を最大限に使用しながら完璧な調整を続けていき、孵化の兆候を感じたのでゆっくりと供給量を減らしていく。

 そうして竜郎の過剰供給による魔卵の変質は上手くいき、《強化改造牧場》の中で大天使王が無事孵化したようだ。



「それじゃあ、出すぞ……」

「うん。ってか、これだけ警戒するならスキルでどんな存在なのか見てから出せばいいのに」

「見た目で変な先入観をもって対処が遅れても嫌だからな。逆に何が起きてもいいように身構えていた方がいいだろう」



 そう言う考え方もあるかと愛衣が納得した所で、竜郎はいよいよ等級9.9の大天使王を表に出した。


 それは背丈もシミュレートと変わらず190センチ程で、キラッキラッな黄金の聖気を周囲に振りまき、非常に眩しく豪華な印象を与えてくる天使の王様だった。

 まあ見た目的にはそれほど変化はない──と思いきや、石化邪眼を封じていた目を覆うように環状に頭についていた金属アイマスクがなくなり、普通に正面に2つ目が付いているだけ。

 元の大天使は前後左右に2つずつの計8つの目が付いていたのだが、こちらはそれが普通の状態になったようだ。

 けれどその代り、背中の後ろに浮遊していた光の盾が8つになり、その表側には閉じた目のような黒い模様が描かれていた。



「察するに、あの光の盾の目を開かせて、8方向に石化の邪眼を飛ばすことが出来るんだろうな」

「対策を取るのが難しそうだねぇ──って、それはまあいいとして、特に問題はない感じ?」

「ああ。ちゃんとテイム契約のパスも通ってるし、こんな風に──」



 竜郎がその天使の王様に向かって右手を差し出すと、天使もアルカイックスマイルを浮かべながらギュッと握手を交わしてくれた。

 まるで戦隊ヒーローとの僕と握手! 並に爽やかだった。

 ここから暴れる様な感じもなく、非常に状態も落ち着いていて何も問題はないようだ。


 スキルを使って貰ったり、軽く愛衣とスパーリングをして貰ったりしても妙な兆候は一切ない。

 これなら問題なしと判断して大天使王には《強化改造牧場》に戻って貰い、その種族について調べてみれば──そこには半神級天族種と表示されていた。



「やっぱりこの方法で孵化させると半神系の魔物になれるみたいだな。

 それに等級9の魔物をあんな風にして生み出しても大丈夫っぽいと解っただけでも収穫だ。

 それじゃあ、今度は大悪魔の女王様をやってみよう」

「まだ魔王種になったわけじゃないけどね」



 今度は大悪魔女王を孵化させるべく、竜郎は筋力などの能力値を強化しつつ初期スキルを与えていく。

 こちらは敵対相手に強力な弱体化デバフをばら撒きつつ、大魔法をバカスカ撃ってくる攻撃型の魔法タイプ。

 大天使系の魔王種候補とは違い味方に対しての補助的な魔法には一切適正がなく、敵を殺すだけに特化したスキルばかりが覚えやすいようだ。

 やはり近接戦は得意ではなく、そちらを補助するために先ほど手に入れた防御特化の悪魔たちをお付につかせるのも有りかもしれない。


 ちなみにこちらは盾ではなく2本の闇の剣が背後に浮遊しており、苦手な近接戦も補助してくれるようだ。


 さて、大分尖った性能ながら十分強力なスキルを覚えさせ終わった所で、いよいよ孵化させるために神竜魔力を練っていく。


 そして3回目となる神竜魔力による魔卵変質孵化を集中してこなしていき、こちらも破裂させる事なく終えることが出来た。



「それじゃあ、たぶん大丈夫だと思うが一応警戒してくれ」

「うん。解ってるよ」



 念のため相手側の魔法スキルによる攻撃を無効化できるように竜郎が準備してから、表に出してみる。

 するとやはり黒銀の王冠がプラチナ色に染まっており、他には外見的違いは見受けられない。

 けれど後ろに浮遊していた2本の闇剣は6本に増加していて、それで何が出来るのかと竜郎が尋ねてみれば、どうやらその剣先からレーザービットのように邪力の細い光線が撃ち出せるようになっているようだ。試しに海に向かって何度か放って実演してもらった。

 けれどもちろん切る事も出来るので、遠距離補助も出来る浮遊する剣といった感じだろう。



「こっちの子も大丈夫そうだね」

「ああ、ちゃんとパスも繋がってるし問題はなさそうだ。種族も半神級魔族種に変わってるし」

「ってことは最後に名前を付けてあげないとね」



 そうして付いた名前は、大天使王はエンター(エンジェルのエン太と迷ったけど、こっちにしたの!)。

 大悪魔女王は亜子あこ(悪魔っ子で亜子ちゃん。デビ子ちゃんは反対されたの……)。

 2体にもちゃんと認識させて、どちらも嫌がる素振りは無いのでそれで決定し、《強化改造牧場》で適度に休憩を挟みながらのトレーニングに勤しんでもらう事にした。


 こうして本日の実験では愛衣のアシストも上手く決まり、竜郎の満足できる結果となった。

 ということで、そろそろカルディナ城に帰って皆にも報告しようか──なんて言いながら2人手を繋いで歩き出したところで、ふと竜郎の悪い虫が囁いてきた。


 ──大天使王と大悪魔女王の魔卵を合成させたらどうなるんだろう、と。


 一旦気になってしまうと、どうにもやってみたくなってしまうのが竜郎だ。

 ピタリと足を止めて愛衣に不思議そうな目を向けられた。なので軽く思い付きを話してみた。



「天使と悪魔って真逆だよね。また属性変換するって事?」

「いや。それは多分、元の魔卵よりも等級が低くなると思う。普通の大天使と大悪魔でやってみたから間違いないだろう。

 だから今回は属性変換はしないで、そのままくっ付けたらどうなっていたのかなって気になってな」

「うーん……。まあ、SPさえあれば複製ポイントもいくらでも稼げるし、最悪変な感じなってもいっか。やってみれば? たつろー」

「ああ、やってみる」



 明日は妖精郷に行き、向こうは歓迎してくれるらしいので、こちらもお返しに美味しい食べ物を準備するつもりなのであまり時間はかけたくない。

 竜郎はさっと複製したての等級9.9同士の魔卵を取り出し、何も考えずに合成した。

 すると灰色で5メートルもある巨大な魔卵が出来あがった。



「「でかっ」」



 開口一番出た感想は、2人ともそれだった。だが竜郎が等級について調べると、大きさなんてどうでもよくなったのであった。



「この魔卵……等級10だ……」

「──ええっ!?」

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